概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

米国によるベネズエラ征圧の真の目的は鉱物資源か <コモディティ特集>

特集
2026年1月14日 13時30分

米国はベネズエラのマドゥロ元大統領を拉致して米国へ連れ去った。米精鋭部隊がベネズエラの大統領公邸を襲撃し、年明けの世界を震撼させた。米軍の海上包囲網もあって、反米政権が完全に転覆する見通しだ。

ルビオ米国務長官は、ベネズエラ再建について、安定化、復興、移行という3段階の計画で進める方針であると発表した。ベネズエラ産の原油など石油資源を活用して経済を安定化させ、米国や西側企業がベネズエラ市場へのアクセスを得られるようにし、国内経済や社会の再建を進める見通しだ。そのうえで新政権への移行を目指すという。石油販売で得た資金は米政府が管理する。米国が分配する利益でベネズエラは米国から農産物や医薬品、産業用機器を輸入するようで、ベネズエラは国として存在するが、主権はなくなる。

●米国のコントロール下に置かれるベネズエラ

ルビオ米国務長官は、米国がベネズエラ政府を日常的に統治するつもりはないと述べ、トランプ大統領の「米国がベネズエラを運営する」との発言と距離を置いている。ただ、ベネズエラ政府が石油収入を自由に活用することはできなくなり、政権移行も米国次第であることからすれば、21世紀に米国の新たな隷属国が誕生するのと同義である。ベネズエラの英雄であるチャベス元大統領を敬愛するような人物が政権を握ることはないだろう。

米フォックスニュースとのインタビューで、バンス米副大統領はベネズエラを管理する方法について、財布の紐を握ることと、エネルギー資源をコントロールすることであると述べた。また「米国の国益に奉仕する限りにおいて、石油を売ることを許される。米国の国益に奉仕できないなら、売ることは許されない」とも述べている。

麻薬の密輸問題を背景にベネズエラを出港した小型船舶を爆撃し始めた米国は、ベネズエラの石油タンカーを封鎖し、マドゥロ元大統領を拉致して米国に連れ去った。そして、ベネズエラから石油資源を取り上げたうえで、米国の国益に奉仕できないならベネズエラは石油を販売することができないという。「力こそが正義」であるという言葉をトランプ米大統領は実践している。

スコッツデール・ミントによると、米政府はテネシー州に南米を供給元とする国内最大級の金属製錬所の建設を計画している。処理能力は110万トン規模で世界最大級。精錬する金属は、亜鉛、鉛、同のほか、金や銀、アンチモン、インジウム、ゲルマニウム、パラジウムなど13種類。今年から建設準備が始まり、来年着工する見通し。生産開始は2029年の予定だが、ベネズエラは石油だけでなく鉱山も有望で、ベネズエラ産の鉱物が米国へ輸出される可能性が高い。ベネズエラのオリノコ鉱業ベルトの金埋蔵量は南米最大級とみられている。

●真の目的は原油ではなく鉱物資源?

従来のベネズエラ経済は、ロシアや中国が支柱となっており、米国が入り込む余地はなかったものの、デルシー・ロドリゲス暫定大統領のもとで、これまでの状況が一変するだろう。米国の発表によると、ロドリゲス暫定大統領はルビオ米国務長官らと常に連絡をとっており、米国に対してかなり協力的である。ロドリゲス暫定大統領は中国やロシアのベネズエラに対する関与を一つ一つ断ち切り、石油や鉱物を米国に差し出すと思われる。ベネズエラの石油埋蔵量はマドゥロ政権の前のチャベス政権の当時から誇張されている可能性が高く、米国がベネズエラの制圧した真の目的は鉱物資源かもしれない。

一帯一路政策のもとで中国の資金がベネズエラに入っているため、強引な政策を続けるのであれば、米国と中国の摩擦は再び強まるだろう。ベネズエラの暫定政権が中国などとの契約を破棄するようなことがあれば、衝突は必至である。協調や対話が前提にある現代社会で「力こそが正義」という言葉は場違いだが、国際法は不要と言い切るトランプ米政権の行動はこの信念に基づいている。ただ、暴力的なトランプ米政権は切羽詰まっているように見えるが、貴金属市場がドルの処分場となっていることに恐怖しているのだろうか。

軍事力でベネズエラをねじ伏せた米国のやり方は世界にとって危険である。この危険な相手に対して対話が基本の世界が手をこまねくようだと、 原油も含めて金融市場は揺さぶられるだろう。軍事力には軍事力で対抗するほかないためである。米国と武力衝突が可能なのは中国やロシアであり、両国の動きに目を向けておきたい。ただ、その前にイランが戦場となる可能性がある。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集