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金は内外で史上最高値、地政学的リスクや米FRB独立性問題で <コモディティ特集>

特集
2026年1月21日 13時30分

のドル建て現物相場は、米軍がベネズエラを急襲しマドゥロ大統領を拘束したことや、トランプ米大統領がイランの反政府デモで参加者を殺害すれば軍事介入を示唆したこと、グリーンランド買収に反対する欧州8ヵ国に関税を課すとし、地政学的リスクが高まったことを受けて、21日のアジア時間の午前中に4800ドル台に乗せ、史上最高値の更新が続いている。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がFRB本部改修で刑事捜査の対象になる可能性から、FRBの独立性に対する懸念が出たことも支援要因になった。JPX金先限は2万5300円台まで上値を伸ばし、上場来高値をつけた。

トランプ米大統領は、西半球を支配する「ドンロー主義」を掲げ、ベネズエラでの軍事行動を説明した。ベネズエラの麻薬組織壊滅や石油利権獲得も目的であり、米国が石油資源を管理すると主張。暫定大統領に就任したロドリゲス副大統領は米国に協調する姿勢を見せている。また、米大統領は野党党首マチャド氏と会談しており、こうした介入によりベネズエラは民主化に向かうとみられている。

一方、イランでは昨年末の通貨暴落を受けて反政府デモが起こった。イラン政府の弾圧は強力で多数の死傷者が出ている。拘束されたデモ参加者の処刑が予定されていたが、米大統領が「殺害すれば軍事介入する」と警告したことで処刑は中止された。ただ、イランのインターネットは政府によって遮断されたままであり、イラン情勢はまだ予断を許さず米国の軍事介入の可能性が残っている。

また、米大統領がグリーンランドを購入しようとしている件について、北大西洋条約機構(NATO)にロシアの脅威を排除するように求めたが進展していないとして、購入できるようになるまで欧州8ヵ国に10%の追加関税を課すとした。軍事攻撃の可能性も示唆しており、NATOや欧州との協議の行方を確認したい。関税に関しては、米最高裁は米政権が根拠としている1977年の国際緊急経済権限法について近く判断を下す見通しだが、グリア米通商代表部(USTR)代表は無効とされた場合、新たな関税を施行するとしている。

●米FRBの独立性に対する懸念と次期FRB議長発表

パウエル米FRB議長が5月に退任することを受け、次期FRB議長が近く発表される見通しである。ただ、パウエル氏が刑事捜査の対象になる可能性が出たことでFRBの独立性が懸念されており、FRB人事を承認しないとする議員も出ている。米大統領の利下げ要求を「FRBの独立性に対する攻撃だ」と非難したパウエル氏だが、議長退任後も理事として残る可能性が出ている。米大統領はパウエル氏を解任する計画はないとしているが、今後の政策に影響が出るようなら攻撃が続くとみられる。一方、次期FRB議長について、トランプ大統領はハセット国家経済会議(NEC)委員長は「現職にとどまってほしい」と述べ、ハセット氏が候補から除外されるとみられている。

●金ETFに逃避買いが入る

世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールドの現物保有高は、1月16日に1085.67トン(12月末1070.56トン)となった。地政学的リスクの高まりや米FRBの独立性に対する懸念などを受けて投資資金が流入した。ブルームバーグ商品指数の年次リバランスで金のウェイトは引き下げられたが、投資家の買い意欲が強い。

一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは1月13日時点で25万1238枚(前週22万7632枚)となり、昨年9月30日以来の高水準となった。ファンド筋の買いが続くと、引き続き上値を試すとみられる。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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