米国のイラン攻撃見通しで中東は緊迫化、トランプ米大統領に残された時間的猶予はわずか <コモディティ特集>
USSエイブラハム・リンカーンを中心とする空母打撃群が中東に到着し、まもなく米国のイラン攻撃が始まる可能性がある。25日、米空軍は中東全域で数日間にわたる軍事演習を実施すると発表しているため、すぐに攻撃が始まる可能性は限定的だが、緊張感は根強い。
ベネズエラのマドゥロ元大統領が米国に連れ去られ、ベネズエラの反米政権が一瞬で消滅するような事態はイランでは考えられず、衝突が始まった場合は長引く可能性が高い。昨年、紅海で航行妨害を続けるイエメンのフーシ派に米軍が繰り返し攻撃を実施したものの、イランの支援を受けるフーシ派を封じ込めることが出来なかった。このことから、イランが制限なく軍事力を行使すれば、米軍にも相応の被害が発生すると思われる。トランプ米大統領は軍事作戦に伴う米軍の被害を以前からひどく嫌っており、戦争が始まるまでにかなりためらいがつきまとうと思われるが、いざとなればトランプ米大統領は実行に移すだろう。
トランプ米大統領は、イランの反政府デモで多数の死者が発生したことを武力行使の手掛かりとしようとしているが、ただの口実に過ぎないことは明らかである。ベネズエラで反米政権が消滅すると、米軍のベネズエラ侵攻のきっかけとなった麻薬密輸問題は解決したかのような扱いとなった。ベネズエラの麻薬組織は完全に撲滅されたのだろうか。
●11月の米中間選挙までに道筋をつけたいトランプ大統領
米国はイラン最高指導者のハメネイ師を排除したがっている。世界最大の反米国家で、反イスラエルのイランを作り変えるにはハメネイ師が邪魔である。また、高齢のハメネイ師だけでなく、次期最高指導者をイスラム法学者で構成される専門家会議が選出する枠組みも根本から作り変えなければ、イランはイスラエルの天敵のままである。イスラエルがパレスチナ自治区ガザを手に入れるためには、パレスチナ問題へのイランの干渉を完全に封じなければならない。イスラエルの侵攻から生き残ったパレスチナ人をガザ地区からベネズエラのような米国の支配地域に移住させ、瓦礫だらけのガザ地区を再建するにはイランには新たな体制に移行してもらう必要がある。
グリーンランド領有問題など、トランプ米大統領の言動からはっきりとしているように、今の米国は「力こそが正義」「弱肉強食」という言葉を体現している。軍事力が全てである。支持率が低迷するトランプ米大統領の共和党は、このままであれば上下両院で過半数を失う可能性が高いことから、11月の米中間選挙までにガザ地区の再建に道筋をつけなければならない。トランプ米大統領に対する逆風が強まり大仕事が出来なくなるまでに、米国はイランを打倒し、ガザ地区からパレスチナ人を排除して再建計画を固めるとなると、時間はあまり残されていない。
中堅産油国であるイランは中東最大の軍事大国である。米軍が一気呵成に攻めたところでイランの反撃は確実であり、トランプ米大統領が短期間で反米政権を転覆させるつもりなら、ためらっている場合ではない。
(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)
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