プラチナは金主導で行き過ぎた値動き、中長期の強気見通しに変わりなし <コモディティ特集>
プラチナ(白金)の現物相場は、地政学的リスクや米連邦準備理事会(FRB)の独立性問題、米政府機関の一部閉鎖の可能性を受けて 金が急伸したことにつれ高となり、史上最高値2920ドルをつけた。ただ、米与野党間で米政府閉鎖回避を合意したことや、トランプ米大統領が次期FRB議長にタカ派のウォーシュ元FRB理事を指名するとドル高に振れ、利食い売りが出て調整局面を迎えた。一方、長期的にはドル安見通しに変わりがないことやプラチナの供給不足見通しが中長期の支援要因である。金が地合いを引き締めると、プラチナの押し目は買われるとみられる。
米軍のベネズエラ急襲や、イランの反政府デモについてトランプ米大統領が「デモ参加者を殺害すれば攻撃する」と警告したこと、グリーンランド領有発言などを受けて地政学的リスクが高まった。ただ、ベネズエラではロドリゲス副大統領が暫定大統領に就任し、米国が石油資源を管理することで合意した。また、グリーンランドに関しても北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長と会談し、将来の取り組みに関して大枠で合意した。一方、イランに関しては、米国の空母打撃群がインド洋に派遣され、攻撃が秒読み段階に入った。ただ、核開発問題の協議を6日に再開するとしており、対話によって武力省徳が回避できるかどうかを確認したい。
パウエル米FRB議長に対する刑事捜査の可能性を受け、FRBの独立性に対する懸念が高まった。米上院銀行委員会のティリス議員は刑事捜査の問題が解決するまで次期FRB議長の承認に反対すると述べた。パウエル議長は米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で「FRBの独立性が損なわれることはない」と述べ、市場の関心を集めた。トランプ米大統領が次期FRB議長にタカ派のウォーシュ元FRB理事を指名したが、ティリス議員の主張は変わらず、次期FRB議長の承認の行方も当面の焦点である。FOMCではフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を3.50~3.75%に据え置くと決定、ミラン理事とウォラー理事が反対した。
●中国の広州プラチナ先物取引
中国の広州先物取引所(GFEX)でプラチナとパラジウムの先物とオプション取引が昨年11月に開始され、投資需要増加に対する期待が高まった。GFEXの特徴として、地金の他にスポンジの受け渡しもできるとしている。ただ、今年に入ってから金や銀の暴騰に関して、上海金がディスカウントからプレミアムに転じるなど、中国の個人投資家の行き過ぎた動きも指摘されており、調整局面で強制決済の売りが下げを加速させたようだ。
一方、中国の2025年国内総生産(GDP)は前年比5.0%増となり、中国政府の成長率目標を達成した。好調な輸出が成長をけん引したが、不動産不況や内需低迷で先行き不透明感が残っている。3月に開催される全国人民代表大会(全人代)で高い成長率目標が掲げられるとみられるが、内需拡大の経済政策を打ち出せるかどうかが焦点である。
●プラチナETFに投資資金が流入
プラチナETF(上場投信)残高は2月2日の米国で45.06トン(12月末43.95トン)、30日の英国で11.34トン(同10.82トン)、南アフリカで6.50トン(同6.47トン)となった。史上最高値更新を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月27日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万3922枚(前週1万5124枚)に縮小した。昨年12月16日の2万3293枚から大幅に買い越しが縮小し、高値更新場面で利食い売りが出ている。
(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)
株探ニュース