あのグーグルがAI提携で大株主に、時価総額400億円企業の未来
気になる会社を診断
億トレ・ガチホ企業~noteの強さと課題-最終回
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| この記事を読んで分かること |
| 1. AIで競争優位を高めるnoteの戦略 |
| 2. 利用者の増加につながる3つの追い風 |
| 3. プラットフォーマーとして避けられないリスクと対策 |
これら大物たちとの提携には、いずれも共通点がある。それはAI(人工知能)だ。経済産業省とは同省のAI開発支援プロジェクト「GENIAC(ジーニアック)」において、noteは生成AIが参照する大規模データベースの構築プロジェクトに採択されている。
ネットの台頭でオワコン化する新聞や出版といった従来メディアを、ネットの力で復権に挑んできたnoteは、AIの力でその動きを加速させようとしている。
AI開発では、豊富な資金力を背景にする巨大テックやユニコーン企業がしのぎを削る中、時価総額が400億円台のnoteは、どのようにして存在感を示そうとしているのか。
シリーズ最終回は鹿島幸裕CFO(最高財務責任者)に、同社のAI戦略について聞いた。
■noteの鹿島幸裕CFO

AI時代の新たな収益モデルを模索
――今期(2026年11月期)の売上高は56億円と、前期比35.2%の増収を計画しています(下の表)。25年の増収率25.0%から、さらに10%ポイント伸びる見込みです。要因の1つが新規事業のAI事業です。
鹿島幸裕CFO(以下、鹿島): 経済産業省からAI関連のプロジェクトを受注し、売上高として5億円ほど計上する予定です。今期の増収額は15億円で、そのうち3分の1をAI事業が占める計算になります。プロジェクト期間は最長2年間なので、来期(27年11月期)も収益計上の可能性があります。
このプロジェクトは「GENIAC」と呼ばれ、国を挙げて生成AIの開発や社会実装を進める取り組みです。noteが担当しているのが、生成AIが回答を作る際に参照するデータベースの構築。出版社や報道機関、学術機関などが持つ、信頼性の高いコンテンツを幅広く集めたものです。
当社としては、今回のデータベース構築をきっかけに、AI時代の新たな収益モデルを築けないかと考えています。AIがコンテンツを参照した分に応じて、データ提供元に収益が還元されるような仕組みです。
■『株探プレミアム』で確認できるnoteの通期業績の長期・成長性推移

創業の原点をAIで磨いていく
――noteは、インターネット上で個人が記事を販売し、対価を得られる仕組みを作ってきました。GENIACでの取り組みも、これまでの取り組みの延長線にある?
鹿島: 前回に触れられているようにnote事業は、広告モデルに対する問題意識から、2014年4月に始まりました。インターネット時代になり、良質なコンテンツが流通する仕組みが弱くなっているのではないかと感じていたのがきっかけです。
ネットの普及前夜は、書籍なら取次・書店を通じて、新聞は販売店経由で、テレビは広告モデルですが放送枠を広告会社が買い取る形で、コンテンツが流通していました。
今もこの仕組みは存続していますが、ネットの普及で紙離れやテレビ離れが進み、従来の流通モデルのみでは良質なコンテンツを充実させるのは残念ながら困難になってきました。
――ネットでのコンテンツ流通の中心は、検索やSNS(交流サイト)になっています。
鹿島: 検索ではSEO(検索エンジン最適化)対策で、記事の内容とは無関係に人気上位に表示することができます。
SNSでは、表示されたインプレッション数に応じて広告収入が分配される仕組みなどから、手っ取り早くインプレッションを集めるために過激な発言で炎上を狙う投稿も見られるようになっています。
既存メディアでも、過激な見出しで販売増を狙う例はあります。ただし、ネットの場合は、その気になれば誰でも明日からコンテンツの制作者になれる点が、既存メディアとの大きな違いです。
もちろんネットの場でも、良質で信頼性の高いコンテンツの制作を目指す人は大勢います。ただし、広告モデルでは、その対極の考えでコンテンツを制作しようとする動きを排除するのは困難です。
こうした広告モデルの弱点を乗り越える仕組みが課金モデルです。制作者の収入は読者がコンテンツを購入したときのみに発生するようにすれば、質の高さで読者に注目を集めようとする制作者が広がっていくと考えたのです。
■媒体ごとの流通手段と収入源
| 媒体 | 流通手段 | 収入源 |
| 書籍 | 取次、書店 | 書籍の販売収入 |
| 新聞 | 販売店 | 新聞の販売収入 |
| テレビ番組 | 電波 | CMの販売収入 |
| ウェブコンテンツ | アルゴリズム | PVに応じた広告収入など |
「良い記事を出していこう」という雰囲気が強みに
――クリエイティブの質を高めていくのは、ノウハウの研鑽、経験の蓄積が欠かせず、これは一朝一夕ではなし得ない面があります。投稿プラットフォームのnoteが、出版社の編集者のような企画内容の精査やファクトチェックなどの機能を、完全に代替できるのでしょうか。
鹿島: プロの編集者や記者の記事のように洗練されていなくても、個人ならではのオリジナリティーの高いコンテンツはたくさんあります。動画配信サイトの「YouTube」でも、個人が作るコンテンツが評価され、テレビより動画を見る人も増えていますよね。
その中でnoteが意識してきたのは、noteという「インターネットの街」の雰囲気をどう作るかです。「自分の思いを込めた記事を書こう」「クオリティーの高いものを出そう」と思ってもらえる空気をいかにつくるか。
雰囲気というと曖昧に聞こえますが、実はそこが大事なポイントです。曖昧だからこそ、第三者が簡単には模倣できない独自の強みになり得ます。
街の雰囲気と同じで、場所によって人の振る舞いは変わります。銀座や青山に行くときはおしゃれをしますが、自宅の近所なら普段着で出かけますよね。
noteは「自分の思いや力作を投稿する場所」。そう思ってもらえる雰囲気づくりに、これまでこだわってきました。
■noteが掲げるミッションとバリュー

提供:note
生成AIでメディアの環境に変化、どう向き合うか
――インターネット時代ならではの仕組みを築いてきた一方、多くのメディアのビジネスモデルを脅かしているのがAIの存在です。noteはAIにどう向き合っていきますか。
鹿島: 当社では今のところ、AIは利用者の増加につながる追い風になると考えています。そのポイントは3つあります。