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原油価格高騰と金融市場~2022年、および2007-2008年【フィリップ証券】

市況
2026年3月25日 15時43分

イランがホルムズ海峡を事実上封鎖したことを受けて原油価格が高騰し、日本株市場も大きな影響を受けている。原油価格高騰の時期における金融市場の見通しについては、WTI原油先物価格が1バレル100ドルを超えて上昇した2つの時期が参考になるだろう。

第1に、4年前(2022年)の2/24に勃発したロシアによるウクライナ侵攻の時期である。原油輸出国のロシアに対する経済制裁に伴う禁輸政策によって世界的なエネルギー供給不足を招き、WTI原油先物価格が一時1バレル130ドルまで上昇した。その後、概ね6月頃まで1バレル100ドルを上回って推移した。その間、日経平均株価は3/9に年内安値2万4681円を付けた。ロシアによる侵攻直前の2/23終値が2万6243円だったことから、下落率は約6%に過ぎなかった。これは、今回の米国とイスラエルによる軍事攻撃の直前となる2/27の日経平均株価(終値)の5万8850円から、3/9に付けた年初来安値の5万1407円まで約13%下落したのとは対照的だ。

2022年は、前年秋に発足した岸田内閣の政策への失望感から既に日本株市場が軟調な状況にあり、2021年9月の高値3万795円からウクライナ戦争の直前の時点で約15%下落していた。2021年9月高値から2022年の3/9安値まで約20%の下落率だった。それに対し、今年は2/8に投開票が行われた衆議院総選挙で自民党が大勝したことを受けて海外投資家の大量の買いが短期的に流入していた。

第2に、米国の信用力が低い層や過去に返済遅延がある個人向けの住宅ローンである「サブプライム・ローン」の問題で金融システム不安が顕在化しつつあった2007年7月~2008年6月の時期である。この時期は、ブラジル、ロシア、インド、中国など「BRICs」と呼ばれる新興国市場ブームを主な要因として、WTI原油先物価格が2007年7月の1バレル70ドルから2008年6月に1バレル140ドル台まで倍増する一方で、サブプライム・ローンの損失に伴う金融危機が露呈していた。2007年8月の「パリバ・ショック」で投資ファンドが償還を凍結したほか、2008年3月には米大手投資銀行ベア・スターンズが実質破綻し、JPモルガン・チェースが救済買収を行っていた。

ところで、今年はスポーツの年だ。ミラノ・コルティナ冬季オリンピック・パラリンピックに続き、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催された。6・7月にFIFAワールドカップ2026が米国・カナダ・メキシコで共同開催される。2028年ロサンゼルス五輪では、インドをはじめイギリス連邦諸国で絶大な人気を誇る「クリケット」が128年ぶりに正式種目として採用された。競技人口は世界で3億人以上であり、バレーやバスケットと並び、サッカーに次ぐ水準にある。日本のスポーツ用品・スポーツブランド関連企業にも恩恵が及ぶと見込まれる。

■日経平均株価のPER・PBR水準~それぞれかつての上限水準をまだ上回る

過去15年間における日経平均株価の加重平均ベース予想PERと同PBRを見ると、予想PERは2/27に20.92倍まで上昇し、新型コロナ禍後の例外的な場合を除いて2013年4月以来の高水準を記録。PBRは2/27に最高水準の1.88倍となった。予想PERとPBRから計算される3/17の予想EPSとBPSは、それぞれ2732円と3万1221円となる。

2014年以降2024年は、予想PERが12-17倍、PBRが1.0-1.6倍のレンジ内を推移していたが、2025年以降、それぞれレンジ上限を上抜いた。それでも原油価格の高騰が実体経済と企業業績に悪影響を与える可能性が高くなれば、予想PERやPBRの水準も切り下がらざるを得ない。日経平均株価への寄与度が高い銘柄の予想PERとPBRの動向に注意すべきだろう。

【タイトル】

参考銘柄

キャンドゥ<2698>

・1993年に埼玉県戸田市で、100円ショップのフランチャイズ店への卸売業および直営店の小売業を事業として設立。間接保有分を含めてイオン<8267>が51.1%を保有。商業施設への出店に特色。

・1/8発表の2026/2期9M(3-11月)は、売上高が前年同期比4.0%増の649億円、営業利益が同181.6%増の15億円。直営既存店売上高が0.6%増、加盟店含む全社売上高が3.8%増。粗利益率が0.9ポイント改善、販管費率が0.6ポイント改善した。イオングループとの協業推進が奏功した。

・通期会社計画は、売上高が前期比10.1%増の918億円、営業利益が同27.2%増の10.8億円、年間配当が同横ばいの17円。お気に入りのシールを集めて貼ったり交換したりする遊びのための「シール帳」への注目が高まり、若い人から大人まで幅広い世代を巻き込んで社会現象化している。同社で販売するシール帳も人気化していることから、来店客の増加と売上増加の加速が見込まれる。

コーエーテクモホールディングス<3635>

・2009年に光栄とテクモの経営統合により設立。主にエンタテインメント事業、アミューズメント事業、不動産事業を展開。「信長の野望」などの歴史物および「仁王」や「無双」などのアクション物に強い。

・1/26発表の2026/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比1.6%減の517億円、営業利益が同3.3%減の145億円、経常利益が同6.2%減の311億円。売上比率92%のエンタテインメント事業は営業利益が4.8%減の141億円。3Q(10-12月)では前年同期比18%増収、営業利益が同49%増。

・通期会社計画は、売上高が前期比10.6%増の920億円、営業利益が同3.5%減の310億円、年間配当が同17円減配の43円。任天堂<7974>が3/5に発売した家庭用ゲーム機「Switch2」専用ソフト「ぽこ あ ポケモン」が大ヒット。コーエーテクモは株式会社ポケモンやゲームフリークと同ソフトを共同開発。3/18終値PBR(株価純資産倍率)が2.34倍と競合他社と比べて低水準である点も注目される。

セイコーエプソン<6724>

・1942年に時計部品の加工等を目的として大和工業を諏訪湖の畔に設立。プリンティングソリューションズ、ビジュアルコミュニケーション、マニュファクチャリング関連・ウェアラブルの3事業を展開。

・2/3発表の2026/3期9M(4-12月)は、売上収益が前年同期比2.0%増の1兆438億円、事業利益が同13.7%減の637億円。事業セグメント利益は、主力のプリンティングソリューションズとビジュアルコミュニケーションが減益の一方、マニュファクチャリング関連・ウェアラブルが82億円へ黒字転換。

・通期会社計画を上方修正。売上収益を前期比2.0%増の1兆3900億円(従来計画1兆3700億円)とした。事業利益は同16.3%減の750億円、年間配当は同横ばいの74円と従来計画を据え置いた。同社は3/13、3年間の中期経営計画を発表。プリンターなど事務機への依存から脱却し、AI(人工知能)データセンター向け水晶デバイスや製造装置向け精密部品など「産業領域」を成長の柱とした。

キヤノン<7751>

・1933年に高級小型カメラ研究で発足。複合機・プリンターなど「プリンティング」、デジタルカメラなど「イメージング」、CT装置など「メディカル」、半導体露光装置など「インダストリアル」の4事業を展開。

・1/29発表の2025/12通期は、売上高が前期比2.5%増の4兆6247億円、営業利益が前期の一時的要因の反動から同62.8%増の4553億円。事業別営業利益はプリンティング(売上比率53%)とインダストリアル(同8%)が減益の一方、メディカル(同12%)が33%増、イメージング(同22%)が14%増。

・2026/12通期会社計画は、売上高が前期比3.0%増の4兆7650億円、営業利益が同5.2%増の4790億円、年間配当が同横ばいの160円。配当方針は累進配当かつ配当性向40%を目途としている。生成AI(人工知能)需要で半導体製造の露光装置の売上が伸びていることに加え、人工衛星などを手がける子会社のキヤノン電子をTOBにより完全子会社化。宇宙・防衛関連としても注目される。

※執筆日 2026年3月19日

フィリップ証券
フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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