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楽観論に変化の兆しも、6月下旬に向けて好機となる可能性【フィリップ証券】

市況
2026年4月22日 15時22分

日経平均株価が4/16、一時5万9688円まで上昇し、2/26の高値5万9332円を上回って史上最高値を更新した。年初来安値の5万558円を付けた3/31から12営業日での急回復だった。その要因となる二本柱は、米国とイランの停戦協議進展への期待を受けた原油先物価格の下落と、AI(人工知能)の進化に伴う半導体・データセンター関連銘柄への買いである。WTI原油先物価格(期近物)は4/7の高値の1バレル117.83ドルから4/15の安値の1バレル86.96ドルまで下落。米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3/30の安値7084ポイントから4/16の高値9356ポイントまで32%上昇した。

この流れに僅かながら変化の兆しが出ている。4/16のWTI原油先物価格は、イラン戦争の終結が近づいているという楽観論が支配する中、和平交渉が進展しても原油貿易の要衝であるホルムズ海峡の航行が停滞した状態が続くのではないかとの警戒感から一時1バレル95ドル台まで反発した。WTI原油先物価格は、2011年から2014年頃まで概ね1バレル100ドルを中心とした三角保ち合いの形で推移した。ナフサ(粗製ガソリン)をはじめ、生活のあらゆる分野で必要不可欠な石油化学製品の供給不足が広く認識され、前倒しで調達を急ぐ動きが加速することが考えられる。WTI原油先物価格が再び1バレル100ドルを均衡水準とする時代となっても不思議ではない。

AI半導体およびAIデータセンターについては、AIがChatGPTに代表される「生成AI」の時代から、自律的にタスクを実行する「AIエージェント」の時代へと進化するのに伴い、需要がますます高まることが予想される。ところが、データセンターは、その稼働に大量の電力消費が必要であるほか、建設のための資金調達も重要だ。そのため、AI半導体・データセンター関連企業が市場の期待通りに成長を持続していくためには、エネルギー供給の観点から原油価格が低位で推移すること、および、資金調達のための借入金利が低下することが必要だ。エネルギー供給のための発電所を建設する上でも金利の低下が重要だろう。4/21の米上院銀行委員会で開催予定のウォーシュ次期米FRB(連邦準備理事会)議長の指名公聴会は、米金利見通しを通じてAI半導体・データセンター相場の持続性を占う面もあるだろう。

米国では4/15が確定申告最終日で「Tax Day」と呼ばれる。税還付金の株式市場への資金流入が一服する5月に「セル・イン・メイ」のアノマリーが発生しやすいのはそれなりの理由がある。日本では、株主総会が集中する6月下旬頃に、配当金の再投資と夏季賞与の支給といった需給面から株価上昇要因が重なりやすい。もし仮に、4月中旬からゴールデン・ウィークを経て株価が下落することがあれば、押し目買いの好機になりやすい条件が揃うと見込まれる。

■系統用蓄電池の市場が拡大中~再エネ普及に伴う需給調整ニーズ増大

排出量取引制度は、政府が企業ごとに温室効果ガスの排出上限枠を定め、枠を超えて排出した企業と、削減して枠が余った企業間で取引する仕組みである。日本は2026年4月から本格稼働を予定しており、直近3年度の平均排出量が10万トン以上の事業者を対象として参加が義務化される。「キャップ&トレード」方式を採用し、企業に排出枠を割り当てて上限を「キャップ」、余剰分または不足分の売買を「トレード」と呼ぶ。

排出削減コストが低い企業は、削減した枠を売却して収益化するメリットを享受できる。鉄鋼、セメント、化学、紙・パルプなど既存の大規模排出事業者で、早期削減に取り組んで削減目標を達成した企業、再生可能エネルギー関連産業などへの恩恵が見込まれる。

【タイトル】

参考銘柄

住友電気工業<5802>

・1897年に住友本店が日本製銅株式会社を買収し、大阪市北区に住友伸銅所を開設。環境エネルギー関連、情報通信関連、自動車関連、エレクトロニクス関連、産業資材関連の5部門で事業展開。

・2/3発表の2026/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比7.1%増の3兆6868億円、営業利益が同31.0%増の2710億円。主な事業別営業利益は、環境エネルギー関連(売上比率23%)が7%増の560億円、自動車関連(同58%)が14%増の1184億円、情報通信関連(同6%)は4.4倍の460億円。

・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比4.7%増の4兆9000億円(従来計画4兆7500億円)、営業利益を同16.9%増の3750億円(同3400億円)とした。年間配当は同21円増配の118円と従来計画を据え置いた。足元では情報通信関連で生成AI拡大を背景にデータセンター向け製品増が利益に貢献。電気集積回路と光学部品を同一パッケージ化する「CPO」の成長が見込まれる。

日本精工<6471>

・1916年設立のベアリング(軸受)メーカー。一般産業向けの軸受や精密機器関連を扱う「産業機械事業」、自動車・部品メーカー向けの軸受を扱う「自動車事業」、および「ステアリング事業」を展開。

・2/3発表の2026/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比10.3%増の6584億円、営業利益が同75.2%増の273億円。主な事業別営業利益は、産業機械事業(売上比率42%)が4%増の86億円、自動車事業(同46%)が52%増の126億円、ステアリング事業(同9%)が52億円(前年同期はゼロ)。

・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比13.0%増の9000億円(従来計画8850億円)、営業利益を同30.0%増の370億円(同300億円)とした。年間配当は同横ばいの34円と従来計画を据え置いた。同社は超小型・高精度ベアリングや低摩擦ベアリングの開発で世界を主導し、特にヒト型ロボットの関節に求められる高トルク・軽量・コンパクトな技術に強みを持つ。低PBR銘柄としても注目される。

東洋電機製造<6505>

・1918年に鉄道車両用電気機器の国産化を目的として設立。交通・産業・ICTソリューションの三事業を展開し、電気機械器具の製造・販売および付帯工事を行う。JR東日本<9020>が約10%を保有。

・4/13発表の2026/5期9M(6-2月)は、売上高が前年同期比0.2%減の289億円、営業利益が同47.2%増の18.9億円。受注高は7.1%増の339億円。セグメント利益は、交通事業(売上比率69%)が72%増の38億円、産業事業(同28%)が24%減の7.7億円。両事業ともに受注高は堅調に拡大した。

・通期会社計画は、売上高が前期比1.3%減の400億円、営業利益が同0.7%増の24億円、年間配当が同5円増配の75円。国内ではインバウンドの回復等による鉄道利用者増を背景に鉄道事業者の車両投資や車両用製品の機器更新需要が旺盛となっていることに加え、海外でも中国の高速鉄道向け部品の引き合いや各国の鉄道インフラ投資が旺盛。予想PERやPBRの面でも割安水準にある。

サイゼリヤ<7581>

・1973年に千葉県市川市で設立。低価格イタリアワイン&カフェレストラン「サイゼリヤ」を直営展開。24年11月末時点で国内1041店舗、中華圏・シンガポール合計564店舗。豪州に自社工場を保有。

・4/8発表の2026/8期1H(9-2月)は、売上高が前年同期比17.5%増の1428億円、営業利益が同39.9%増の86億円。粗利益率が0.8ポイント悪化した一方、販管費率は1.8ポイント改善した。主な地域別営業利益は、日本(売上比率67%)が5.2倍の33億円、アジア(同33%)が4%減の51億円。

・通期会社計画は、売上高を前期比15.7%増の2970億円(従来計画2763億円)へ上方修正の一方、営業利益を同17.4%増の182億円(同190億円)へ下方修正。年間配当は同横ばいの30円と従来計画を据え置いた。値上げに消極的な方針は市場関係者からの評価が低いものの、相対的に高収益性のアジアで、中国・成都市とインドネシアで店舗展開を進めるとしており、見直し余地がある。

※執筆日 2026年4月17日

フィリップ証券
フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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