明日の株式相場に向けて=米中首脳会談で激動の幕が上がるか
きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比495円高の6万5513円と4営業日続伸。今年は敬老の日、国民の休日、秋分の日が土日とつながってシルバーウィークとしては珍しい5連休となり、きょうはその大型連休明けの取引となったが、前週末時点で買い建玉を持ち越し難かった分だけ上値が軽く、一時1200円以上の上昇をみせる場面もあった。しかし買い戻し主導ゆえ、後場だけみれば結局安値引けとなった。テクニカル的に日経平均は日足一目均衡表の雲抜けが視野に入っているが、8月中旬以降は雲を抜けるかどうかというポジションで、ことごとく上値を押さえつけられる形を強いられ、吹っ切れない投資家心理を反映するチャートとなっていた。今回も二の足を踏む可能性は十分にある。しかし、TOPIXの方は今のところ雲の上で空の青さを満喫中、スタンダード市場指数やグロース市場指数も雲のはるか上空を走っている。日経平均を司(つかさど)るAI・半導体の限られた銘柄の復活だけが第一義的な課題ではなく、内需大型株や新興系の中小型株など循環物色の輪が広がっていることは前向きに捉えて良い事象である。
金利上昇への警戒感が世界的に高まるなか、今月最大のカタリストであった中銀の政策決定会合は、ECB、FRB、日銀いずれも政策金利を0.25%引き上げるという結果となった。利上げ自体は既にマーケットで織り込まれていたが、問題は今後の展望で、とりわけFRBは想定を超えてタカ派に傾斜しているという見方が支配的である。フェドウォッチによると、年内あと2回利上げする確率が50%に迫る勢いで急上昇している。ひと月あまり前の段階では「年内利上げなし」という見解を示していた市場関係者すら珍しくなかったくらいで、目先の状況変化に株価も動揺するかと思いきや、そうならないところが理論通りには動かないアマノジャクな相場の特性を浮き彫りにしている。
年内2回ということは事実上、10月27~28日及び12月8~9日開催のFOMCを指すわけで、つまり9月から3会合連続の利上げとなる。特に前者は米中間選挙の直前であり、利下げ要請をあからさまに叫ぶトランプ米大統領の面目は丸潰れとなりかねない。そもそも今回の中間選挙でトランプ政権がレームダック化した場合、物は言いようで暴走機関車を止めるチャンスという認識がポジティブに作用する可能性はあるものの、基本的に株式市場目線で吉と出るとは思えない。なぜなら、これまで機関車の政策推進力の方を株高材料としてきたマーケットそのものに矛盾が生じるためだ。ここら辺を日米の株式市場が10月相場でどう織り込んでいくかを見極めていく必要がある。他方、日銀の利上げに関しては「ハト派寄りの利上げ」とされるが、植田日銀総裁にすれば「引き締め」ではなく「正常化」のプロセスであることを前面に押し出し、景気を注視しながら拙速な利上げは行わないというニュアンスを明示した。これは株式市場に良い形で受け入れられている。
そして、直近は米中首脳会談がどういう着地をみせるのかに耳目が集まる。日本時間25日未明から早朝にかけてその結果が明らかとなっていく。ベッセント財務長官いわく、年内に最大4回の米中首脳会談が行われる可能性に言及している。今回の会談が2回目であることを考えると、年内は11月に深センで行われるAPEC首脳会議、12月にフロリダで開催されるG20サミットに併せて組まれる可能性を示唆するものだ。ベッセント氏のコメントから推察されるのは、米国が中国との歩み寄りを期待しているという印象が強い。相対的に中国の方が態勢優位にあるイメージは拭えない。米中会談に先駆けて行われた高市早苗首相とトランプ氏の会談についても、「日米同盟の結束の強さを誇示し、中国との交渉を少しでも有利な方向にもっていきたい米政権の思惑が透けて見え、果たして日本にとって有意義なものだったのか現時点では未知数といえる」(国内証券ストラテジスト)という市場筋の見方も十分な蓋然性を有している。
きょうの東京市場は米中首脳会談で両国が歩み寄りの姿勢を見せた場合に、株式市場で日本にとって不利な思惑も投影された。AI・半導体関連や自動運転関連株には好パフォーマンスをみせる銘柄が相次いだが、一方でレアアース関連株に売りがかさんだのはその表れであったと思われる。AIに関しては脅威論が高まるなか、アンソロピックのアモデイCEOの発言を起点とするIT大手経営者の開発減速への同調が、株式市場目線ではネガティブな風を吹かせることへの警戒はある。しかし、事態は思っているよりも先に進んでしまっている公算が小さくない。米中首脳の発言から推し量られるように、軍事力としての観点でむしろ安易に縮小できなくなっている実情が窺われ、投資テーマとしては逆に輝きを増すような気配すら漂う。AIバブルなどと言っているうちに、AIエージェントが暴発する可能性に危惧せざるを得なくなっている人類だが、株式市場においてこの終着点を織り込むには、まだ時間を要しそうだ。
あすのスケジュールでは、8月の食品スーパー売上高、8月の全国百貨店売上高がいずれも後場取引時間中に発表される。また、IPOが1社予定されており、東証スタンダード市場にレイヤード<634A>が新規上場する。このほか、個別企業の決算発表では、あさひ<3333>、ハローズ<2742>、パレモ・ホールディングス<2778>など2月決算企業の27年2月期中間期(26年3~8月)決算が開示される予定。一方、海外では8月の米耐久財受注にマーケットの視線が集まりそうだ。なお、この日は台湾市場(~28日)と中国市場が休場となる。(銀)