【杉村富生の短期相場観測】 ─売られすぎ銘柄を攻める戦術は有効!
「売られすぎ銘柄を攻める戦術は有効!」
●悪材料続出は強力な買いシグナル!
ひどい、ひどすぎる。セリング・クライマックス(売りの最終局面)は通過した、と考えていたが、認識が甘かったようだ。これは終わりではなく、始まりではないか。そんな感覚に追い込まれるような“場味”になっている。ここ数年、急騰相場を牽引してきたAI(人工知能)、半導体、データセンター関連セクターが総崩れである。
アメリカの中間選挙はトランプ政権の与党(共和党)が惨敗した。民主党の地滑り的な圧勝だ。上院、下院ともに、民主党が過半数の議席を獲得、トリプルレッド(共和党のシンボルカラーの赤が大統領、上院、下院を支配する構図)は消滅だ。なぜ、強烈なブルーウェーブ(青は民主党のシンボルカラー)が起こったのだろうか。
その理由は物価高、生活苦、所得格差などに対する国民の怒り、不満、反発にあろう。トランプ大統領はMAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)を旗印に掲げ、関税政策、イラン戦争などを強引に仕掛けた。しかし、この政策はインフレを招いただけだ。イーロン・マスク氏の共和党支援はテキサス州が好例だが、逆効果だった、と思う。
アメリカ国民は選挙による政策転換を求めた。これはまだ、救いがある。しかし、フランス、ドイツは違う。若者中心の暴動が多発している。マスコミは「台頭する極右勢力、極左勢力の影響」と解析しているが、参加者の多くは思想的な背景はないようだ。純粋に、教育、格差、就職難などの問題を解消できない社会・政治に対する抗議だろう。
ただ、この矛先が株式市場に向けられると、怖い。すでに、日本では高齢者の医療費負担に金融所得を反映させよう、との動きがみられる。近年の株式市場の活況、増配ブームによって、「彼らは儲かっている」との単純な発想である。いずれ、「有価証券売却益・配当課税の税率を引き上げよ」と言い出すに違いない。こんな短絡的な考えは危険である。
●腹をくくって、日経レバを買おう!
日銀の保有ETF(上場投資信託)の売却ペースの増額は同様の感覚だろう。日銀は10月30日、保有ETFの売却額を年間約3300億円→約8600億円(簿価ベース)にする、と発表した。時価換算だと、年間2兆4600億円規模だ。1日当たりの売却額(100億円)が売買代金に占める比率は0.1%程度にすぎず、「影響はない」(市場筋)という。
とはいえ、なぜ、このタイミングでの増額(約2.6倍)なのか、との疑念は残る。実施は2027年1月だが、保有ETFの残高は時価ベースで100兆円を超える。その売却額を安直に決められては……。日銀は「金融正常化」を急いでいる。利上げはその一環だが、保有ETFの売却を焦るのは「株高阻止」(昔、「株高はインフレ心理を助長する」と述べた日銀総裁がいた)の思惑があるのだろうか。
さて、株式市場は大荒れである。5日のNYダウは1833ドル(3.44%)安の5万1523ドル、 NASDAQ指数は1421ポイント(5.52%)安の2万4314ポイントと暴落した。NASDAQ指数の下げがきつい。投げ売り商状だ。民主党(議会)主導のハイテク規制に警戒が強まり、手仕舞い売りが加速している。経験則的には悪材料の続出は強力な買いシグナルとなる。
日本市場はこの世界の潮流に逆らえない。5日のシカゴ日経平均先物(円建て)は3570円安の5万7350円だった。チャート的には底抜けだ。日経平均株価はハイテク指数であり、NASDAQ指数に連動する。当面、底値模索の展開となろう。株式市場は引き潮だ。下値のメドはない。情けない話だが、ここは外部環境の落ち着き待ちだろう。
まさに、ここ数週間の相場は踏んだり蹴ったり(弱り目にたたり目)だ。JT(日本たばこ産業 <2914> [東証P])ショックを気にする向きもある。足元の状況は6日(金)の暴落になぞらえて「令和のブラックフライデー」との声が浮上している。ただし、1987年のブラックマンデー時とは根本的に異なる。その再来はないだろう。
まあ、先人は「嵐のときは動くな」と諭しているが、ここは腹をくくってNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 <1570> [東証E]の5万1000円絡み、キオクシアホールディングス <285A> [東証P]の8000円前後、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]の3400~3500円に買い指し値を考えてみてはどうか。古来、「パニックは政策の母」、「肝要なのはリスクを取る勇気」と言うではないか。
2026年11月6日 記
株探ニュース