概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

環境破壊の懸念高まる、脱「マイクロプラスチック」で浮上する妙味株6選 <株探トップ特集>

特集
2026年11月7日 19時30分

―生態系や人間の健康に影響を及ぼす可能性、海外では規制強化の動きが強まる―

微細な粒子である「マイクロプラスチック」の拡散が懸念視されている。プラスチックごみが砕かれて小さい粒子やかけらとなり、それが生態系や人間の健康に影響を及ぼす可能性が指摘されている。対策の焦点は使い捨てプラスチックの削減から、素材そのものの転換や流出防止、回収・再資源化へと広がりつつある。環境負荷の低減という社会的な要請が、新たな技術や市場も生み出す原動力となりつつある。脱マイクロプラスチックの動向を探った。

●海底に沈んだプラスチックごみなどによる環境汚染警戒

海底に沈んだプラスチックごみは、静かに残り続けてくれるとは限らない。三重大学と東京大学の研究グループは今年5月、海底に生息する植食性の貝4種が、餌を削り取る歯舌(しぜつ)でプラスチック表面を削り、数十マイクロメートル以下の微細な破片を生じさせることを実験で確認したと発表した。

一般に5ミリメートル以下のプラスチック片を指すマイクロプラスチックは、日常の幅広い活動からそもそも発生してしまう。両大学による実験結果が示すように、人間がつくりだし、海に流出したごみが回収困難な粒子へと変わっていく経路は想像以上に複雑で、問題の根深さを改めて意識せざるを得ない。ちなみに、2025年の国内調査では、タイヤ由来の粒子が36地点中32地点の堆積物から検出された。今年7月には国立環境研究所などが、日本周辺の海で採取したマイクロプラスチックから、可塑剤や難燃剤などの化学物質を検出したと発表した。これらはプラスチックを柔らかくしたり、燃えにくくしたりするために使われる添加剤で、一部は人体や生態系への影響が懸念されている。

●対策に向けた研究や政策の後押しも進む

一方、対策に向けた研究も進んでいる。10月22日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、東京大学、海洋研究開発機構、群馬大学のチームが生分解性プラスチックに天然由来の分解酵素を練り込み、深海での分解を従来比約30倍に加速させたと発表した。

更に、対策に向けた政策の後押しも具体化している。例えば環境省は10月27日、コメを原料に含む生分解性樹脂を使った徐溶性被覆肥料の実証事業を選定したと発表した。肥料の被覆材のように農地へ広く散布され、使用後の回収が難しい用途では、素材転換の意味は大きい。「使い捨て容器を紙に替える」という消費者向けの脱プラから、回収できない用途の設計を変える段階へと、対策の焦点は移りつつあると言える。海外でも、EUは製品に意図的に添加される微小プラスチックへの規制を23年に開始。包装・包装廃棄物規則は今年8月に適用が始まり、30年以降、再生材の利用やリサイクル適性に関する要件を段階的に強化する。

マイクロプラスチック対策は、素材の設計から使用後の管理まで、社会の在り方を組み替えていく長期的な産業テーマとして注目していきたい。以下では、生分解性・ バイオプラスチック、脱プラ・紙・セルロース代替素材、廃プラスチック再資源化などを含めた関連する企業を紹介する。

●カネカやダイセル、中越パ、ZACROSなど注目

カネカ <4118> [東証P] ~塩化ビニール樹脂や機能性樹脂、電子材料、太陽電池、医療、食品など幅広い事業を展開する総合化学メーカー。独自の発酵技術を活用した生分解性バイオポリマー「Green Planet」を手掛ける。植物油などを原料に微生物が生産する樹脂を用いて、海水や土壌中の微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解される。国内に年産2万トン規模の実証設備を持ち、ストロー、カトラリー、食品容器、包装材などへの用途拡大を推進。海洋生分解性に関する国際認証も取得している。

ダイセル <4202> [東証P] ~セルロース化学を基盤に、化学品、電子材料、自動車エアバッグ用インフレーター、医療関連などを展開する化学メーカー。木材などの非可食バイオマスを原料とした酢酸セルロース樹脂「CAFBLO」を展開。透明性や成形性に優れ、海洋環境下での生分解性を持ち、釣り用ルアーにも採用実績がある。また、酢酸セルロース製の真球状微粒子「BELLOCEA」は、化粧品に使用されるマイクロプラスチックビーズの代替素材として展開している。

DIC <4631> [東証P] ~印刷インキで世界トップクラスのシェアを持ち、有機顔料、合成樹脂、包装材料、電子材料などを幅広く手掛ける化学メーカー。生分解性プラスチックの課題である使用中の耐久性と廃棄後の分解性の両立を目指し、光や水によって分解開始時期を制御する技術を開発している。また、少量添加することで生分解性樹脂の加工性を改善する添加剤「Exp.N-030」も開発している。

中越パルプ工業 <3877> [東証P] ~印刷用紙や包装用紙、パルプなどを製造する製紙メーカー。木質資源の加工技術を活用し、セルロースナノファイバー「nanoforest」など環境対応素材の開発にも取り組む。紙パウダーを50%超配合したバイオマス複合樹脂「MAPKA」を展開。通常のプラスチックに近い加工性や耐久性を持ちながら、石油由来樹脂の使用量を削減できる点が特徴だ。

ZACROS <7917> [東証P] ~医薬・医療用包装材、ディスプレイ用保護フィルム、産業用資材、環境配慮型包装材などを展開する高機能素材メーカー。偏光板保護フィルムで世界トップクラスのシェアを持つほか、化粧品向けつめかえパウチにも強みがある。環境ソリューション事業では、樹脂使用量を削減する包装材やリサイクルしやすい単一素材包装などの開発を推進。更に、100%バイオマス由来で土壌や海洋での分解性を目指す「海洋生分解性バイオマス樹脂」を育成事業として位置付ける。

TREホールディングス <9247> [東証P] ~廃棄物処理のタケエイと金属リサイクルのリバーを中核に、廃棄物処理・再資源化、資源リサイクル、再生可能エネルギー事業などを展開する。8月には埼玉工業大学と共同で、農業副産物のもみ殻を60%配合したポリプロピレン系バイオプラスチックの量産実証を発表。9月には荏原環境プラント(東京都大田区)、三菱ガス化学 <4182> [東証P]と連携し、使用済みプラスチックなどを原料とするグリーンメタノール製造の事業化検証を開始した。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集