【村瀬智一が斬る!深層マーケット】AI規制懸念の世界株安、需給調整の長期化を警戒
「AI規制懸念の世界株安、需給調整の長期化を警戒」
●日経平均、TOPIXがともに52週線割れ
米国中間選挙の結果を受け、データセンターの建設規制の強化が警戒され、米国市場でAI(人工知能)・半導体関連株が急落した。上昇相場を牽引してきたAI投資拡大シナリオの見直しが進み、日本や韓国など世界の株式市場にも売りが波及。日経平均株価、TOPIX(東証株価指数)はともに52週移動平均線を割り込み、中期的な上昇トレンドの持続性に疑義が生じている。一方、急ピッチの下落により短期的な売られ過ぎ感は強く、買い戻しや自律反発が入る場面も想定される。
ただし、投資家のリスク許容度が低下するなかで、レバレッジ型ETF(上場投資信託)のリバランスや機関投資家の持ち高調整など、需給面の売り圧力が続きやすい。戻り局面では上値の重さが意識され、AI・半導体関連の比率を引き下げる一方、相対的に業績の安定した内需・ディフェンシブ分野へ資金を振り向ける動きが強まろう。今後は米国のAI規制の具体化や長期金利の動向、AI投資計画の変化を見極める局面となり、底入れの確認までは戻り売りと選別物色が中心となろう。
●活躍が期待される「注目5銘柄」
◆パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス <7532> [東証P]
「ドン・キホーテ」「アピタ」「ピアゴ」などを展開する大手小売りグループ。独自の売り場づくりやプライベートブランド(PB)商品、訪日客需要の取り込みを強みとする。2027年6月期の連結売上高は前期比9.9%増の2兆6870億円、営業利益は同2.4%増の1790億円と38期連続の増収・営業増益を見込む。7月にOlympic(オリンピック)グループを傘下に収め、食品強化型の「ロビン・フッド」といった新業態も育成する。10月末には日本トイザらスの154店舗を承継し、グループ総店舗数は1000店を突破した。物価高を背景とする節約志向、インバウンド消費、店舗網再編が成長テーマである。株価は10月8日の673.1円を直近安値にリバウンドをみせており、13週線の突破から26週線トライへと進むかが注目される。2027年6月期第1四半期決算は11月12日に発表予定。
◆フリー <4478> [東証G]
中小企業や個人事業主向けにクラウド会計、人事労務、請求書管理などのソフトを提供。業務データを一元管理する統合型プラットフォームと、継続課金型の収益基盤を強みとする。2026年6月期の連結売上高は前の期比27.6%増の424億円、調整後営業利益は同41.3%増の26億円で着地し、プラットフォームARR(年間経常収益)は435億円を超えた。続く27年6月期は売上高が前期比23.0%増の522億円、調整後営業利益は同2.2倍の57億円と好調が続く見通し。10月にはAIエージェントと業務システムを連携する「freee-mcp」の対応領域を拡大し、請求から債権管理までを支援する新サービスも投入。中小企業のデジタル化、人手不足対策、生成AIによるバックオフィス自動化が成長テーマとなる。株価は上向きで推移する13週線を支持線としたトレンドを形成。足元で年初来高値を更新してきており、押し目狙いのスタンスで臨みたい。2027年6月期第1四半期決算は11月11日に発表予定。
◆トライアルホールディングス <141A> [東証G]
九州発のディスカウントストア「トライアル」を全国展開する。低価格戦略に加え、独自の物流・食品加工基盤や、決済機能付きの買い物カート「Skip Cart」などリテールAI技術が強みである。2025年に西友を買収し、2027年6月期の連結売上高は前期比8.2%増の1兆4582億円、営業利益は同28.4%増の390億円とともに過去最高更新を見込む。西友との商品共同開発や調達統合、店舗運営の効率化を推進し、小型店「TRIAL GO」の出店も加速する方針。食品の低価格需要に加え、流通DX(デジタルトランスフォーメーション)やAIによる省人化、買収効果の顕在化が注目テーマである。株価は上向きで推移する52週線からのリバウンドにより13週線を上抜いてきた。4月8日につけた上場来高値4840円を意識したリバウンド狙いのスタンスで対応。2027年6月期第1四半期決算は11月12日に発表予定。
◆アシックス <7936> [東証P]
ランニングシューズを中核に、競技用スポーツ用品やライフスタイル商品を世界展開する。研究開発力と機能性に加え、「オニツカタイガー」などのブランド力が強みである。8月に発表した2026年12月期第2四半期累計(1-6月)の連結売上高は前年同期比32.7%増の5344億円、営業利益が同48.5%増の1204億円と大幅増収増益で着地。併せて通期の売上高を従来予想の9500億円から1兆0500億円、営業利益を1710億円から1950億円に上方修正した。6月にはオニツカタイガー事業を統括する新会社「OT GROUP」の概要を発表し、ブランド価値向上を加速。世界的なランニング人気、健康志向、訪日客需要や高付加価値商品の拡大が追い風となる。株価は足元のリバウンドで52週・26週・13週線を上抜き、8月につけた上場来高値5440円が射程に入ってきた。2026年12月期第3四半期決算は11月13日に発表予定。
◆ニトリホールディングス <9843> [東証P]
家具・インテリア用品の「ニトリ」を中心に「デコホーム」「Nプラス」などを展開。商品企画から製造、物流、販売までを一貫管理するビジネスモデルを強みとし、価格競争力と安定供給を実現する。海外出店も進め、2026年10月末の海外店舗数は218店に達する。一方、季節商品の販売不振が響き、10月の国内既存店売上高は前年同月比2.4%減と4カ月ぶりの前年割れとなった。今後は新商品の投入や販促効果に加え、海外事業の拡大が焦点となる。円高による輸入原価低減の恩恵が期待できる一方、国内消費の動向には注意が必要である。株価は上向きで推移する13週線を支持線としたリバウンド基調を継続。2027年3月期第2四半期決算は11月13日に発表予定。
2026年11月6日 記 (次回は11月21日に更新予定)
株探ニュース