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【特集】鈴木英之氏【急騰モード突入の日経平均、上値追いどこまで】(2) <相場観特集>

鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)

―政局不安から一転して“変化”を買う相場に様変わり―

 週明け6日の東京株式市場は日経平均が大幅続伸、一時570円以上の上昇で2万9700円台まで買われる場面があった。8月は上値の重い展開を強いられていたが、最終週に地合いが一変し、そこから2週間あまりで日経平均は3万円大台を視界に入れる強力な上げ潮相場に突入している。自民党総裁選や衆院総選挙に絡み思惑が錯綜するなか、ここからのマーケットの見通しについて、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「3万円視野も戻り売り出やすい水準に」

鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)

 日経平均株価は、先月20日に一時2万7000円割れとなり年初来安値を更新した。しかし、その後は急速に値を上げている。

 足もとの株価上昇要因としては、「菅首相の退陣表明で自民党大敗リスクが後退した」ことの要因が大きい。また9月は株価が上昇することが多いというアノマリー(経験則)があるほか、9月下旬は配当権利取りが見込める。更に新型コロナウイルス感染拡大の「第5波」も感染者数はピークを打ちつつあるように見えることも株価の上昇要因に働いているのだろう。9月下旬には自民党総裁選があり、今秋には衆院選が予定されているが、「選挙まで株価は高い」という経験則もプラス材料となる。

 ただ、日経平均株価の2万9500~3万円の水準は過去の出来高も多く、戻り売りが出やすい水準だ。こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価のレンジは、2万9000~3万500円前後を予想する。いったんは、調整も予想されるが今月下旬からの配当取りで新規資金が流入し、10月からは業績の上方修正期待を背景に年初来高値を試すという展開が見込めそうだ。

 個別では、高配当利回り銘柄など注目できそうだ。日本郵船 <9101> など海運株が買われているが、ENEOSホールディングス <5020> や長谷工コーポレーション <1808> 、MS&ADインシュアランスグループホールディングス <8725> 、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> といった銘柄も注目されそうだ。また、自民党総裁選に絡み有力候補の関連銘柄が物色され、再生可能エネルギーのレノバ <9519> や脱ハンコ関連で弁護士ドットコム <6027> [東証M]などの銘柄が見直される局面も増えそうだ。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

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