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【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─利上げを恐れず、目先調整色の強い銘柄を拾う!

株式アドバイザー 北浜流一郎

「利上げを恐れず、目先調整色の強い銘柄を拾う!」

●世界の市場の耳目を集める次期FRB副議長

 ある女性の話から始めたい。彼女は非常に聡明(クレバー)で、飛び抜けて金融に強い。

 生年月日は1962年1月1日だ。夫は前米国務次官補のカート・キャンベル。卒業大学はウェズリアン大学。ハーバード大学で経済学博士号を取得している。

 ここまでの紹介で、「ああ、あの人だ」と分かった人は「エ・ラ・イ」。そう、彼女の名はラエル・ブレイナードだ。そう、FRB(米連邦準備制度理事会)理事の……。

 いまや米国のというより、世界の金融市場が彼女の発言に大きく左右されるようになっている。一時は彼女が口を開くと、米国市場はもちろん、東京市場も急落することが多かった。

 それは、彼女が利上げを強く主張する発言を繰りかえしてきたからだ。そんな彼女の発言を金融関係者達はなぜ重視するのか。彼女はFRBの次期副議長への就任が決まっているからだ。

 実はパウエル議長に代わって彼女が議長に就任するとの見方もあったのだが、パウエル議長が再任されたことで理事から副議長に昇格することになったのだ。

 だが、4年後、パウエル議長の任期が終わった後を考えると、彼女が望むなら議長に就任する可能性が非常に高い。

 それは、イエレン前議長に続き二人目の女性FRB議長ということになるだけに、市場関係者たちの関心は高く、発言のたびにその言葉は重みを増しつつある。株式投資を行う以上、日銀総裁の発言はスルーしても、彼女の発言には最大の関心を払う必要がある。

 彼女は副議長への昇格が決まるまでは、金融引き締めを急ぐべきではないとするハト派的な発言が多かったが、昇格が決まってからは引き締めの必要性を強く訴えるタカ派的な発言が目立つようになっている。

●利上げは経済正常化を目指す手段

 彼女が発言すると株式市場が下げてしまうため、彼女が口を開くたびに正直、「今日もまた株価は下げるのか……」と憂鬱になってしまうのだが、4月12日の発言にはこれまでとは異なるところがあった。

 単に金融を引き締めるのではなく、「金融当局は政策金利を、経済を刺激も減速もしない水準に引き上げるために、速やかに行動する。そうすることで、われわれは労働市場に打撃を与えずに、インフレを抑制することができる」と。

 つまり、利上げは米国経済を正常化するためのもの、との方向性を示したのだ。ここは、金利上昇による株式市場の乱高下の回避、つまりソフトランディングに期待して、目先調整色の強い銘柄に投資しておこう。

 具体的には、まずはローランド ディー.ジー. <6789> [東証P]だ。広告・看板用インクジェットプリンタで世界首位級であり、需要が好調ながら株価は調整中なので投資しておきたい。

 ゴールデンウイークが近づきつつあることを考えると、富士急行 <9010> [東証P]を。富士急ハイランドの集客力は高く、株も見直し買いが見込める。

 カメラやプリンターの部品不足が続いていたキヤノン電子 <7739> [東証P]だが、次第に部品不足は解消しつつあるため、需要拡大に対応可能となったと見てよく、株価も復調方向にあると見てよい。

 物流の一括請負に強いことで知られる日立物流 <9086> [東証P]も、3月下旬から前週まで株価は軟調だった。ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、好調だった国際物流が失速するとの見方からだが、織り込みが進んでいる可能性は高く、すでに株価は3月に付けた上場来高値を視野に捉えている。

 軟調な展開どころか、好調すぎる銘柄にも目を向けておこう。三陽商会 <8011> [東証P]だ。4月14日に発表した決算は、2023年3月期に11億4000万円の経常黒字転換を見込み、3期ぶりに40円復配の予想だ。株価は目先小反落があっても、その後続伸が見込める。

2022年4月15日 記

株探ニュース

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