明日の株式相場に向けて=ソフト復権の波、ティアフォー関連に刮目
きょう(14日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比500円高の6万7743円と反発。それにしても、上下に振れまくる相場である。これが高値波乱の特徴であるが、この逃げたい向きと押し目を買いたい向きの音を立ててのぶつかり合いは、踊り場形成後に下降トレンド転換の前兆となるケースが多い。チャンバラを繰り返すうちに徐々に足場が緩んでくるのが株式市場の特性である。足もとでは相変わらず、韓国KOSPIの動きに連動する展開で、ともすればコピー相場のような様相をみせている。このKOSPIは時価総額加重型指数であり、つまりKOSPIの時価総額の過半を占めるSKハイニックスとサムスン電子のメモリー半導体ツートップの値動きが、AI・半導体指数と化している日経平均を振り回す、という構図となっている。
ただ、いったん崩れてもどこまでも下がり続けることはない。半導体セクターだけでは地盤は崩壊しない。怖いのはそこを端緒に負の連鎖が他に波及する場合で、リーマン・ショックのような、金融システム不安が地下に潜在しているような場合は崩落へとつながっていくが、一部の地銀を除けば今すぐにはそういう連鎖するような要素も国内には見当たらない。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>が時価総額トップに浮上するという40年ぶりの金融機関首位の意味を「金融復権」と解釈するのは難しいものの、トヨタ自動車<7203>の代わりに座るのが、ソフトバンクグループ<9984>でもキオクシアホールディングス<285A>、東京エレクトロン<8035>でもなく、三菱UFJというのが何かを暗示しているとするならば、それは金利の上昇で説明するよりも、AI・半導体一極集中相場に対する警鐘と捉える方が妥当かもしれない。いすれにせよ時価総額の“三日天下リレー”の行方にも注目しておきたいが、どこかで製造業の盟主トヨタが返り咲くのが自然であるように思える。
AI関連もツルハシ銘柄を買い過ぎたきらいはあり、ロング・ショートのショートサイドに位置していたマイニングや精製業者の銘柄群(ソフトウェア関連株など)に買い戻しの動きが顕在化している。キオクシアの深押しを狙うのは、短期的には妙味があるが、中期で保有しても全値戻しのイメージはなかなか湧かない。今週はASML<ASML>やTSMC<TSM>の決算発表を控えるが、いずれも好調な数字であることはほぼ間違いないものの、市場期待というハードルを首尾よく越えられるかどうかは未知数。仮にAIモメンタム相場復活となってもツルハシ銘柄の上値は限られそうだ。
一握りのスター銘柄の戻り売りに買い向かっていくよりも、どうやらその蚊帳の外に居たもともと出遅れていた銘柄群、リターンリバーサルの流れに乗った方が良さそうだという雰囲気が徐々に醸成されている。きょうは業種別でみると33業種中30業種が上昇し、値上がり率の上位5傑は「鉱業」「海運」「化学」「サービス」「鉄鋼」であった。
AI関連の切り口でもスタイルローテーションが利いている。ツルハシの方ではなく、株価のポジションが低位に沈んでいたソフトウェア関連株であれば、売りのタイミングをせわしく考えず、スイングトレードで寝かせておくということも可能である。目先戻り足の目立つ銘柄では好決算発表のSansan<4443>などが挙げられるが、こうした見直し買いの動きは徐々に太い流れとなっていきそうだ。当欄で6月下旬に取り上げたソフト関連ではTDCソフト<4687>やAppier Group<4180>などが良い動きを示している。そしてここで、もう一つスパイスを加えるのであれば、今月22日に東証グロース市場に上場する 自動運転開発・導入支援などを手掛けるティアフォー<593A>に関連する銘柄群に注目したい。自動運転専業の上場は国内初ということもあり、関連するソフトウェア株には物色人気にバイアスがかかる。
ティアフォーの大株主で3%を保有するアイサンテクノロジー<4667>は、業務面でも連携が厚い。また、高精度3Dマップの生成・ソリューションを手掛けるダイナミックマッププラットフォーム<336A>、車載用組み込み関連ソフトを手掛けトヨタとも取引関係がある東海ソフト<4430>。そして、独立系ソフト開発企業の先駆で自動運転や交通インフラ分野で実績が高いアドソル日進<3837>も要注目だ。このほか、組み込み系車載用ソフトや検証ソフトなどで実績が高く、セキュリティー分野に精通するデジタル・インフォメーション・テクノロジー<3916>も関連有力銘柄に位置付けられる。
あすのスケジュールでは、5月の機械受注のほか、2016年1~6月開催分の日銀金融政策決定会合の議事録がいずれも取引開始前に開示される。後場取引時間中には5月の第3次産業活動指数、取引終了後には6月の訪日外国人客数が発表される。この日はIPOが1社予定されており、チャットプラス<598A> が東証グロース市場に新規上場する。海外では4~6月期の中国実質国内総生産(GDP)、6月の中国工業生産高、6月の中国小売売上高、6月の中国固定資産投資、6月の中国不動産開発投資、6月の中国70都市新築住宅価格のほか、5月のユーロ圏鉱工業生産、カナダ中銀の政策金利決定、6月の米生産者物価指数(PPI)、7月のNY連銀製造業景況指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)などがある。また、ウォーシュFRB議長が米議会上院で議会証言を行うほか、クックFRB理事の講演も予定されている。(銀)
株探ニュース