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アウトソシング Research Memo(7):2021年12月期はコロナ禍・生産調整等が重なるも、過去最高業績を更新

特集
2022年4月18日 15時17分

■アウトソーシング<2427>の決算概要

1. 2021年12月期決算の概要

2021年12月期の業績(IFRS)は、売上収益が前期比55.9%増の569,325百万円、営業利益が同82.1%増の24,186百万円、親会社の所有者に帰属する当期純利益が同56.5%減の832百万円と、コロナ禍の影響による厳しい事業環境が続くなかでも、大幅な増収及び営業増益を達成し、いずれも過去最高を更新することができた。期初予想に対しても、営業収益は上振れ、営業利益もおおむね計画圏内で着地している。一方、親会社の所有者に帰属する当期純利益が減益となったのは、海外子会社の業績上振れに伴う一過性の金融費用が主因であり、業績の落ち込みを示すものではないことに注意が必要である。

半導体不足やサプライチェーンの混乱等による生産調整、デルタ株・オミクロン株の流行に伴う経済活動への規制など、厳しい事業環境が続くなかでも、すべての事業で増収を確保した。特に、国内事業が生産調整や残業規制、入国規制などの影響を一部受けたものの、新たな需要の取り込みや派遣DX化を見据えた差別化提案、積極的な採用などにより堅調に推移したほか、海外事業についても、2021年1月にグループ入りしたCPLによる寄与(シナジー創出を含む)や好調なeコマース関連事業の拡大などにより、計画を上回るペースで大きく拡大した。したがって、コロナ禍の影響を受けた一部事業の下振れを好調分野でカバーすることにより、グループ全体として高い成長性を維持しているところは特筆すべきポイントと言える。

利益面でも、コロナ禍による影響に加え、旺盛な人材ニーズに応えるための募集費の前倒し投下、コロナ禍の影響を勘案した減損処理の実施※等、様々なマイナス要因が重なったものの、すべての事業で増益を確保し、計画圏内で着地することができた。一方、親会社の所有者に帰属する当期純利益が減益となったのは、海外子会社OTTOの業績上振れに伴ってプットオプション債務(残余株式の買取債務)が増加したものであり、その分を金融費用として約111億円計上した。ただ、2022年1月に残余株式のすべてを取得しており、2022年12月期の完全子会社化以降は本件に係る金融費用は発生しないことになる。

※コロナ禍の影響を勘案し、国内外10社で合計約14億円の減損処理を実施。

財政状態については、増収により「営業債権等」が増加したことや、CPLのM&Aに伴う「のれん」の拡大等により、資産合計は前期比15.9%増の350,934百万円に拡大した。一方、親会社の所有者に帰属する持分は内部留保の積み増しにより同9.1%増の65,957百万円となり、その結果、「親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率に相当)」は18.8%(前期末は20.0%)と若干低下した。

2. 事業別の実績と主な活動

(1) 国内技術系アウトソーシング事業

売上収益は前期比19.8%増の123,797百万円、セグメント利益は同32.7%増の9,891百万円となった。各産業におけるエンジニアニーズは引き続き高く、それに対応するための人材確保が順調に進んだことが業績の伸びにつながった。特に、リモート勤務等による残業減で売上収益は期初計画を若干下回ったものの、利益面ではリモート化による効率向上や公的助成金により計画を上回る増益を実現した。採用面では、新卒採用(2,364名)や積極的な中途採用等により8,259名と突出した実績を上げており、期末の外勤社員数は計画を上回る21,622名(前期末比3,472名増)と後発ながら業界トップに躍進している。特に、IT系、輸送機器・電気・電子等のR&D系、医薬品・医療系、建設系といった、幅広い業種でのエンジニアニーズに対応していることや、教育カリキュラムの充実が採用面でも有利に働いているようだ。また、注力する「派遣2.0」についても順調に伸びてきた(詳細は後述)。

(2) 国内製造系アウトソーシング事業

売上収益は前期比54.7%増の99,727百万円、セグメント利益は同19.8%増の7,319百万円となった。製造派遣・請負等については、半導体不足やサプライチェーンの混乱等に伴う生産調整が生じたことにより、売上収益は期初計画を若干下回ったものの、コロナ禍からの復調が進むなかで、「CSM」による差別化提案等により大幅な増収を実現した。また、生産調整による影響についても振替生産が見込まれるため、一過性の要因と捉えることができる。一方、利益面では、今後の人材ニーズへ対応するため、募集費を前倒しで投下したことにより、増益ながらも期初計画比では未達となった。期末の外勤社員数は、新卒採用や他社との採用アライアンス等により21,443名(前期比4,904名増)に増加した。一方、管理業務受託については、顧客メーカーの技能実習生ニーズは堅調であるものの、実習生の入国規制が想定よりも長期化しており、本格的な回復は2022年4月以降になる見通しである。期末の委託管理人数は20,004名(前期末比2,292名減)と減少したものの、突出した業界トップ水準を維持している。

(3) 国内サービス系アウトソーシング事業

売上収益は前期比17.7%増の29,191百万円、セグメント利益は同42.5%増の4,048百万円となった。引き続き、米軍施設向け事業がコロナ禍の影響もほとんどなく順調に伸長した。売上収益は第4四半期における米軍基地内のクラスター発生により期初計画を若干下回った一方、入札に必要なボンド(履行保証保険)枠の拡大により、高効率案件を選別して獲得できるようになったことから、利益面では期初計画を上回る増益を達成することができた。

(4) 海外技術系事業

売上収益は前期比263.4%増の139,799百万円、セグメント利益は4,586百万円(前期は127百万円の利益)と大きく拡大した。英国での公的債権回収受託事業は、コロナ禍の断続的な影響を受け回復途上にあるものの、2021年1月にグループ入りしたCPLがシナジー創出分※を含めて、業績の伸びに大きく貢献した。また、オセアニアにおけるエッセンシャルワーカー向け事業等も好調に推移した。

※具体的には、CPLの地盤であり、先端技術が進むアイルランドにおいて、IT、医療、ヘルスケア向けの派遣事業が、同社のグローバルネットワークを活用した人材提供により計画を上回るペースで伸びている。CPLによる業績寄与は売上収益863億円(計画比+236億円)、営業利益40億円(計画比+15億円)となっている。同社では、同事業を周辺諸国へも拡大していく計画である。

(5) 海外製造系及びサービス系事業

売上収益は前期比32.0%増の176,750百万円、セグメント利益は同92.3%増の6,716百万円となった。オランダを中心とした流通eコマース向け派遣が需要拡大を受け大きく拡大したほか、英国の自治体向けBPO等の受託事業や公共系派遣も好調に推移した。また、南米でも、物流向け派遣や小売り向けファシリティ関連事業(清掃業務等)が拡大傾向にある。一方、ドイツでは、製造系が原材料の調達不足の影響を受けながらも、医療系とともに回復に向かっているようだ。

3. 2021年12月期の総括

以上から、2021年12月期を総括すると、様々なマイナス要因が重なったなかで、計画どおりの大幅な業績の伸びを実現したところは、改めて同社の収益基盤の強さを示すものとして評価できる。特に、グローバル規模での地域や業種分散を含め、これまで取り組んできた景気変動の影響を受けにくい事業構造への転換が順調に進んでいることの証左と見ることができる。また、OTTOに加え、CPLのM&A(及びシナジー創出)により、さらなる事業拡大に向けて成功モデルを確立したところや、派遣DX化を見据えた次世代ビジネスモデル(派遣2.0、CMS)が順調に伸びてきたところも、常に進化を怠らない企業姿勢とともに評価すべきポイントと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《ST》

提供:フィスコ

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