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ADワークスグループ Research Memo(3):2022年12月期は2ケタ増収増益を達成

特集
2023年4月3日 14時33分

■業績動向

1. 2023年12月期の業績概要

ADワークスグループ<2982>の2022年12月期の連結業績は売上高で前期比11.6%増の27,856百万円、EBITDA※で同41.2%増の1,515百万円、経常利益で同46.6%増の953百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同68.8%増の527百万円と2ケタ増収増益を達成し、会社計画に対しても売上高を除いてすべて上振れて着地するなど好調な決算だったと言える。また、収益不動産残高も積極的な仕入れ活動を行ったことにより、前期末比で43.4%増の41,476百万円と過去最高水準まで積み上がった。

※EBITDA(償却費等控除前営業利益)=営業利益+減価償却費+ソフトウェア償却費+のれん償却費

世界的な金融引締めや物価上昇、急激な為替変動などにより景気の先行き不透明感が続くなかでも、同社が主要エリアとしている都心部の投資用不動産の事業環境は、低金利を背景として活況が続いた。オフィスビルの賃料については、大規模オフィスビルで下落傾向が続いたものの、同社が注力する10~20億円規模の中小規模のオフィスビルでは下げ止まっており、優良物件については入居率も底堅く推移した。また、東京都内の居住用マンション賃料については緩やかに上昇しており、安定的なキャッシュ・フローを求める投資家を中心として物件購入意欲も引き続き堅調に推移した。

こうしたなか、売上高は収益不動産販売事業で前期比9.8%増、ストック型フィービジネスで同18.7%増といずれも伸長し、利益面でも収益不動産販売事業における取扱物件の大型化による営業効率の向上、並びに賃料収入等の増収によりEBITDAマージンが同1.1ポイント上昇の5.4%となり、大幅増益につながった。

なお、地域別売上高では国内が前期比9.5%増の23,400百万円、海外が同24.1%増の4,455百万円となり、コロナ禍以降、伸び悩んでいた米国事業も回復してきた点は注目される。米国では金利上昇により新築住宅の購入意欲が冷え込んでいる一方で、賃貸住宅の需要が増加し賃料も上昇傾向にある。賃貸物件の仕入環境については金利上昇もあって需給が軟化しており、現金で購入可能(バックファイナンスを活用)な同社にとっては追い風となっているようで、海外の期末収益不動産残高も前期末比82.2%増の4,357百万円と積み上がっている。

取扱物件の大型化により営業効率が向上

2. 事業セグメント別動向

(1) 収益不動産販売事業

収益不動産販売事業の売上高は前期比9.8%増の22,314百万円、EBITDAは同14.4%増の1,713百万円と増収増益となり、EBITDAマージンも取扱物件の大型化による営業効率の向上を主因として、前期の7.4%から7.7%に上昇した。また、仕入活動を積極的に推進したことにより、期末の収益不動産残高も同43.4%増の41,476百万円と過去最高を大きく更新している。

国内販売については前期の179億円(25棟)から194億円(15棟)となった。販売棟数は減少したものの、オフィスビルを中心に大型物件の販売が進んだことで金額ベースでは増収となった。一方、仕入高は前期の177億円(20棟)から247億円(24棟)と大きく増加した(将来、組成を予定しているREIT物件も含む)。組織体制を強化し、中古マンションを中心に優良物件の仕入れを積極的に進めたことによるもので、仕入単価についても前期比で約16%上昇した。

販売に関しては、需要を的確に捉えた商品企画を軸とした仕入れから販売までの好サイクルにより競争力が高まったことや、不動産小口化商品販売事業において金融機関との提携による販売ネットワークの拡充が進んだことが収益増につながった。不動産小口化商品「ARISTO」シリーズについては、第6弾となる「ARISTO西麻布」(販売総額10.5億円)を完売したほか、第7弾となる「ARISTO 表参道」の販売を一部開始したことで、合計約21億円の売上を計上した。販売提携先となる金融機関は30行まで拡大しており、こうした販売チャネルをその他の投資商品(国内、米国の1棟不動産や現在発行を目指しているデジタル証券等)の販売にも活用することで、販売力の強化につなげている。

また、多様なワークスタイルに対応した新商品としてフレキシブルオフィス「Colony♯(コロニー)」シリーズの展開を開始し、第1弾となる「Colony♯15高田馬場」を2022年7月にオープンした。創業間もない起業家や、設立3~5年のスタートアップ企業、ベンチャー企業などを対象として、セットアップオフィス※、コワーキングオフィス、ドロップインオフィス※、シェアオフィスなど様々な形態のオフィスを提供する。オープン当初から人気で、入居率も高稼働で推移している。当面は自社で保有・運用する方針であり、今後5年間で都心エリアに10拠点程度の開設を目指している(当面はストック型フィービジネスの収益として貢献)。

※セットアップオフィスとは、内装工事段階でデスクや什器などを揃えて、借主である事業主がすぐに利用できる環境を整えたオフィスを指す。ドロップインオフィスとは、出張中や外回りの営業、テレワーカーなどが、電子メールやWeb会議、簡単な業務などを行うために、短時間仕事ができるオフィスを指す。

一方、米国販売については前期の24億円(9棟)から28億円(6棟※)に増加した。2021年まではコロナ禍で仕入活動が制限されたことにより販売も伸び悩んでいたが、仕入活動の再開や開発事業によるタウンハウスの区分販売(4戸、4.5億円)を売上計上したことで増収につながった。また、仕入高は前期の7.9億円(3棟)から33億円(11棟)に増加しており、期末の収益不動産残高も前期末の2,391百万円から4,357百万円に積み上がった。米国における収益不動産残高は2019年6月末の5,821百万円が過去最高水準となっており、今後も事業拡大に向けて残高を積み上げていく方針だ。

※LA住宅開発事業(タウンハウス)での1棟(区分販売4戸)含む

(2) ストック型フィービジネス

ストック型フィービジネスの売上高は前期比18.7%増の5,868百万円、EBITDAは同79.7%増の1,335百万円となった。期中平均の収益不動産残高が同25.5%増の34,876百万円と積み上がったことで、賃料収入が同21.3%増の1,369百万円と伸長したほか、PM収入や米国でのオーナー物件売却に伴う仲介手数料収入の増加が増収要因となった。一方、スミカワADDによる内装工事については物価上昇の影響もあって伸び悩んだ。EBITDAはその大半を占める賃料収益の拡大に加えて、米国での仲介手数料収入の増加が主な増益要因となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

提供:フィスコ

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