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クオール Research Memo(3):2018年3月期は過去最高益を更新。保険薬局事業の収益が大きく伸長

特集
2018年6月27日 16時55分

■業績の動向

1. 2018年3月期決算の概要

クオール<3034>の2018年3月期決算は、売上高145,516百万円(前期比10.7%増)、営業利益9,091百万円(同32.4%増)、経常利益9,333百万円(同32.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,986百万円(同14.5%増)と、大幅増収増益で着地した。

同社は期中に2度、通期見通しを上方修正したが、最終的に利益は直前予想を上回り、売上高・利益ともに過去最高を更新した。売上高は11期連続増収、営業利益は4期連続増益となった。

事業セグメント別では、主力の保険薬局事業が増収・大幅増益となり、BPO受託事業の減収減益をカバーして全社ベースの業績を押し上げた。詳細は後述するが、保険薬局事業では、成長戦略の核である店舗拡大(M&Aを含む)の効果が収益に大きく貢献したほか、既存店においても数量(処方せん枚数)と単価(処方せん単価、及びその構成要素である調剤技術料)がともに拡大して前期比増収を確保した。

BPO受託事業は減収減益ではあったものの、中核事業であるCSO事業は安定稼働を維持したほか、成長事業と期待される派遣・紹介事業も順調に収益を伸ばした。

前期の大型M&A店舗がフル寄与で大幅増収。既存店売上高も順調に拡大

2. 保険薬局事業の詳細動向

保険薬局事業は、売上高135,109百万円(前期比12.0%増)、営業利益8,652百万円(同40.4%増)と大幅増収増益で着地した。

売上高は前期比14,489百万円の増収となったが、その内訳として、(株)共栄堂の子会社化(2016年10月)等大型M&Aの通期寄与による増収効果が9,527百万円と売上高を大きく押し上げた。これに、既存店の増収効果(2,349百万円)、2018年3月期中の新規出店(M&A含む)の増収効果(2,185百万円)が続いた。

利益面では、上記の増収による利益増に加えて、ジェネリック医薬品の使用促進等による調剤技術料の増収が利益増に貢献した。また、新在庫システムを全店に導入したことで、医薬品の在庫管理・医薬品調達コストのコントロールがより精緻化・適正化され、増益に寄与した。これらの結果、保険薬局事業の営業利益は前期比2,490百万円の増益となり、営業利益率は、2017年3月期の5.1%から2018年3月期は6.4%に、1.3ポイント改善した。

2018年3月期は35店を新規出店し、13店を退店したため、総店舗数は前期末の696店から22店増加し、718店となった。35店の内訳は、オーガニック出店によるクオール店が17店、M&Aで取得したクオール店が14店、ローソン店が3店、売店が1店となっている。一方、退店13店については、クオール店が7店、ローソン店が2店、駅クオール(JR西日本)が1店、売店が3店という内訳だ。

処方せん応需枚数は全社ベースで前期比12.1%増の13,084千枚と順調に拡大した。ただしこれには直近(過去2期間)のM&Aや新規出店の影響が大きく出ており、実態的には既存店ベースの前期比5.1%増という伸び率がより正確な状況を表していると言えるだろう。

処方せん単価は、全社ベースで前期比0.6%増、既存店ベースで同1.1%増となった。処方せん単価には薬剤料が含まれており、その変動の影響も受けるため数字を読み解くうえでは注意が必要だ。

保険薬局事業に対する利益影響という点では、調剤技術料の変動がより重要となる。基本的には、2年に1回の調剤報酬改定で技術料が一旦押し下げられ、それを加算点の獲得等で押し戻すという流れだ。調剤基本料、基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算の3つは、そこで算定された点数が当該店舗で取り扱うすべての処方せんに適用されるため業績インパクトが非常に大きい。

CSO事業と派遣紹介事業は順調な推移。CRO事業と出版事業の不振で減収減益に

3. BPO受託事業の詳細動向

BPO受託事業は、売上高10,824百万円(前期比2.9%減)、営業利益1,341百万円(同10.5%減)と減収減益となった。

BPO受託事業の中核事業であるCSO事業は、マーケットが横ばいとなるなか、同社は契約会社数を維持して安定稼働を達成した。ただ、同社が抱えるCMR数は、2018年3月期第2四半期末時点の540人から2018年3月期末には520人へと減少している。大きな方向性としては、同社はCMR数の増加を目指しているが、マーケットの状況に応じて拡大ペースを抑制したものと弊社ではみている。

医療従事者を対象とした人材の派遣紹介事業は2018年3月期も高い成長が持続している。同社は薬剤師、看護師を中心に、登録販売者や管理栄養士、産業保健師等の派遣・紹介を行っている。医療従事者は全般に人手不足の状態にあり、これを追い風に2018年3月期の薬剤師派遣者数は計画を上回った。

2018年3月期に不振だったのはCRO事業だ。上期おいてCRO事業の再編を実施したが、その影響は下期にも継続したとみられる。結果的に案件受注数は伸び悩み、前期比減収となったとみられる。

以上のような状況の結果、BPO受託事業の中核事業会社であるアポプラスステーションの業績は、売上高9,725百万円(前期比4.1%増)、営業利益1,413百万円(同11.7%減)と、増収減益で着地した。BPO受託事業セグメントの売上高が前期比減収となったのは、他の子会社が手掛ける出版関連事業が減収となったためと弊社では推測している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《MW》

提供:フィスコ

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