ラクトJPN Research Memo(1):2024年11月期第2Qは、第2Qとして過去最高の売上高、利益を更新
■要約
ラクト・ジャパン<3139>は、海外から乳原料・チーズ(以下、乳製品原料)と食肉及び食肉加工品などの食品原料を輸入する独立系の食品専門商社である。乳製品の取扱高は日本市場でトップクラスのシェアを誇る。乳製品原料の輸入販売を主力事業として、食肉及び食肉加工品や機能性食品原料などの輸入販売事業、そしてアジアにおける乳製品原料の輸入販売事業とチーズ製造販売事業と、事業領域を拡大してきた。2023年に発表した長期ビジョンにおいては、将来目指す姿として食品専門商社からグローバルに展開する商社とメーカーの両機能を併せ持った「複合型食品企業」への進化を掲げ、さらなる成長を目指している。
1. 2024年11月期第2四半期の業績概要
2024年11月期第2四半期の連結業績は、第2四半期としては過去最高の売上高、利益を更新した。売上高は前年同期比5.1%増の84,560百万円、営業利益は同42.6%増の2,432百万円、経常利益は同68.1%増の2,260百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同79.3%増の1,654百万円となった。2024年4月に第2四半期の期初予想を上方修正したが、売上高、利益ともに修正予想を上回る結果となった。新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行後、国内の経済活動が正常化し、インバウンド消費の増加などに伴い業務用需要を中心に国内事業が回復したほか、アジア事業のチーズ製造販売部門が順調に伸長した。国産脱脂粉乳の在庫水準が低下し落ち着いた水準で推移したことも輸入調製品の需要回復につながった。また、国内事業の乳原料・チーズ部門及びアジア事業の利益率が改善し、売上総利益率は6.0%と前年同期を1.0ポイント上回り大幅な増益に結びついた。
2. 2024年11月期の業績見通し
2024年11月期通期の連結業績は、2024年7月12日付で期初予想を上方修正し、売上高は前期比3.6%増の164,000百万円、経常利益は同44.0%増の4,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同46.4%増の3,000百万円と過去最高の業績更新を見込む。下期は、乳業メーカーなどによる価格引き上げが消費に及ぼす影響、2024年2月以降の生乳生産の増産傾向が国内の脱脂粉乳在庫に及ぼす影響などが懸念され、上期をやや下回る売上高を見込むが、通期では過去最高の売上高、利益を予想する。また、猛暑の影響を受けて、アイスクリームなど乳製品の消費増加や、国内の生乳生産量の減少が輸入調製品の需要増加に結びつく可能性もあるが、計画にはこれらのシナリオは織り込んでいない。配当予想も期初予想の1株当たり前期比14.0円増を2倍の28.0円増とし、76.0円配当に上方修正した。
3. 中期経営計画の進捗状況
同社は2023年1月に、新たな経営理念、長期ビジョン「LACTO VISION 2032」とともに中期経営計画「NEXT-LJ 2025」(2023年11月期?2025年11月期)を公表した。長期ビジョンでは、「商品の複合化」「事業の複合化」「貿易事業の複合化」により、「複合型食品企業」へと進化することを目指し、2032年11月期に連結経常利益6,000百万円、同利益の海外比率40%を達成する目標を掲げた。そのファーストステップとなる中期経営計画「NEXT-LJ 2025」では、2025年11月期の売上高200,000百万円、連結経常利益4,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,900百万円を目標とした。事業環境の回復が中期経営計画策定時より1年程遅れ、2023年11月期の実績は中期経営計画を下回ったが、2024年11月期の修正予想は経常利益4,100百万円を見込み、1期前倒しで中期経営計画を達成する見通しだ。売上高の修正予想は中期経営計画の180,000百万円には及ばないが、トップラインの拡大のみならず、ROICを試行するなど企業価値向上に向けて収益性の改善と資本効率を意識した企業体質への転換を進めてきた成果が窺える。同社では、中期経営計画を現時点では変更せず、次期中期経営計画という新たなステージを見据えながら2025年11月期の事業戦略を策定していく。
■Key Points
・国内事業が回復し、2024年11月期第2四半期の業績は第2四半期として過去最高を更新
・2024年11月期通期も過去最高の業績更新を見込む
・中期経営計画の連結経常利益目標を1期前倒しで達成する見通し
・2024年11月期の配当予想は1株当たり前期比28.0円増の76.0円に上方修正
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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