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サンコーテクノ Research Memo(6):浦和電研プリント基板への表面実装に強み

特集
2019年7月4日 15時16分

■中期経営計画と成長戦略の進捗状況

2. 浦和電研の概要と今後の取り組み

サンコーテクノ<3435>が2019年2月に子会社化した浦和電研は、埼玉県さいたま市に本社を置く企業で、プリント基板の表面実装・加工を行っている。ICチップ(半導体チップ)の表面実装を得意分野としており、サイズ的にも小型から大型まで多様な基板に対応している。年商は約5億円で利益面でも黒字を確保している。

プリント基板に関しては、同社は連結子会社にスイコーを有しており、今回の浦和電研の子会社化はまさに、スイコーとの垂直統合によるシナジー効果を狙ったものと言える。

製品の流れに沿って説明すると、様々な家電製品や電子機器の内部には半導体チップを始め様々な電子部品が組み込まれている。それらが取り付けられている、(多くのケースでは緑色の)基板を“プリント基板”あるいは“プリント配線板”と呼ぶ。PCB(Print Circuit Board)と略されることもある。このプリント基板そのものを製造しているがスイコーだ。

プリント基板の上にCPUやマイコン、メモリといったICチップや、コンデンサー、抵抗器といった一般電子部品など様々なものが取り付けられ(これを“実装”、あるいは“表面実装”と呼ぶ)、PCや家電製品に組み込まれることになる。浦和電研はプリント基板上への実装を業務としている。

顧客の側からすればプリント基板の製造だけでなく、電子部品の実装も任せてしまいたいというニーズが出るのは当然と言える。それに対しスイコーは、コンデンサーなどの一般電子部品の実装は自社で行っているが、ICチップの実装については外注している状況にある。

すなわち、スイコーと浦和電研は製造プロセスにおいて、川上と川下の位置関係にあり、また、実装という部分では得意領域が異なっている。ここにシナジーを生み出すチャンスが生まれるというのが、同社のシナリオだ。

両社の特長や設備、顧客関係等を比較した表を見ると、納品・需要先の部分が異なっており、例えば、スイコーが製造した鉄道車両用のプリント基板を浦和電研に送り、そこで表面実装を行う、という流れに至るには相応の時間を要すると弊社ではみている。しかし、前述のようにスイコーは半導体チップなど一部の表面実装について外注しており、この外注先を浦和電研にすることは、浦和電研自身がその領域を得意分野としているため、問題なく実行できると期待されている。完全・理想形の実現には時間を要するにせよ、すぐにでもできることがたくさんあるということだ。

プリント配線板の製造や、そこへの表面実装は、大量生産によるスケールメリットが肝となるため中国・東南アジアへの海外移転が進み、現在国内に残っているのはニッチ市場を対象とした多品種少量生産など、何らかの特徴・特色を持った企業だけとなっている状況だ。それらの企業の多くは中小企業で、後継者問題などの悩みを抱える企業も少なくない。同社はこうした状況をチャンスと考えており、スイコー・浦和電研の両社に加えてさらにシナジーを追求できる企業があれば、更なるM&Aに積極的に取り組む考えだ。

同社の国内営業拠点網を活用して成光産業の商材の拡販を目指す。将来的にはそこを足掛かりにメンテナンスの事業化にも意欲

3. 成光産業グループの概要と今後の取り組み

2019年4月に連結子会社化した成光産業は、東京都杉並区に本社を置く機械商社だ。主要な取扱機材は、プラスチックの真空成形機(プラスチックの原料樹脂シートに熱を加えて飲料用カップや食品トレーを製造する機械)や、シュリンクパック機(透明なフィルムで対象物を密封する機械。スーパーの食品トレーへのラップ掛けや、通販業者の配送物へのラップ掛けなどに使用)などがある。同社はこれらの機材を欧州から輸入し、国内で販売・メンテナンスを行っている。また、子会社の成光パックは、千葉事業所において、真空成形機でプラスチック成形品を製造している。グループの年商は約10億円で、利益面では黒字を確保している。

これらの機械は国内外に多種多様なものがあり、フラグメンテド(断片化した)マーケットとなっている。そうしたなかで成光産業は、欧州のトップメーカーの機種を取り扱い、国内で約3%の市場シェアを有し、一定の存在感を持つ企業となっている。

こうした特色・強みのある企業ではあるが、成光産業の事業は、同社のファスニング事業は言うまでもなく、機能材事業の既存事業(電動油圧工具やアルコール検知器関連など)ともまったく関連がない、完全な“飛び地”ビジネスと言える。

それにも関わらず同社が成光産業を傘下に収めたのは、浦和電研とは異なるシナジー追求シナリオがあるためだ。それは同社の営業力・販売拠点の活用だ。同社は全国20ヶ所の販売拠点を有し、営業担当者を常駐させている。一方、成光産業は東京の本社以外には大阪と福岡に2ヶ所の営業拠点を有するにとどまっており、世界トップシェア機やベストセラー機を含む充実した商品ラインアップを収益に十分に結び付けられていない。これを、同社の20ヶ所の営業拠点を活用して収益拡大を実現するというのが買収の大きな狙いとなっている。さらにその先には、これら機械のメンテナンスを手掛けてきた知見を生かし、メンテナンス自体を事業化する構想も有している。現在は各メーカーやその販売代理店がアフターサービスの一環で機械メンテナンスを行っているが、そうしたサービスの枠組みが、崩れつつあると同社では分析しており、そこにビジネスチャンスがあるという考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

《MH》

提供:フィスコ

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