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霞ヶ関キャピタル Research Memo(6):物流施設開発事業を大幅に拡大。新規事業にも積極的に取り組む(2)

特集
2023年5月25日 15時16分

■霞ヶ関キャピタル<3498>の事業別の取り組み

2. ホテル開発事業

ホテル関連市場のうち国内旅行は、行動制限緩和や全国旅行支援により、2022年9月から2023年1月までの宿泊者数はコロナ禍前の同期間(2019年9月から2020年1月)を上回った。これに対してインバウンド需要は、2022年10月11日の新規入国制限見直しをはじめ水際対策措置が見直され、前年の同時期と比較すると大幅な回復傾向にあるものの、本格的な需要回復にはもうしばらくの時間がかかる見通しだ。

同社は従来からホテル市場回復時の成長を見据えた方針を打ち出している。具体的には、一般的にグループ旅行者が全体の6割弱を占めるのに対し、3~6人部屋の供給は4割に満たないことから、同社では多人数向けホテルの需給ギャップに着目し、グループ旅行者向けのホテル開発を推進している。同社は家族・グループ旅行等の需要に対応した「アパートメントホテル」の開発を手掛けているが、駅から徒歩5~10分圏内に立地し、キッチンや洗濯機等の長期滞在に対応した設備を完備した部屋を低額で提供できることから、旅行客の取り込みを見込んでいる。

同社が開発しているアパートメントホテルは、ブランド名を「FAV HOTEL」とし、3人以上のグループステイのために「広く、快適で、スタイリッシュ」な客室をリーズナブルな値段で提供することをコンセプトに、ゲストの「“Fav”orite」な空間でありたいとの願いから『FAV HOTEL』と名付けている。各室の広さは35~40m2、定員は4名以上を標準プランとし、1人当たりの宿泊単価はビジネスホテル以下になるよう設定している。

アパートメントホテルでは、徹底した省力化・低コスト化オペレーションにより、コロナ禍でも収益を生むビジネスモデル・運営体制を確立している。具体的には、フロント業務の省人化や、チェックアウトベースの清掃、飲食を提供しない宿泊特化のサービス等、固定費の削減により、同業他社と比べて低い稼働率でも損益分岐点を上回る運営を行っている。コロナ禍により稼働中シティホテルの平均定員稼働率は61~70%から14~31%に下落し、多くのホテルが休業や赤字経営を強いられるなか、同社のFAV HOTELは20%未満の稼働率でも運営収支が黒字化する仕組みを構築しており、すべてのホテルが黒字化している。ポストコロナには従来のように海外旅行者の利用増加も期待できることから、市場回復時には大きな利益貢献が見込まれる。

アパートメントホテルについては、土地確保済み5件/150億円(2022年8月末比111.2%増)、着工済・竣工済16件/367億円(同16.5%増)のプロジェクトパイプラインがある。稼働中11件、2023年7月開業予定1件、開発中9件の合計21件で、事業規模は517億円に達する。進捗は順調であることから、同社ホテルのコンセプトがマーケットで受け入れられていることが窺える。なお同社では、アパートメントホテル開発に際しては地元の銀行や建設会社を使うなど、地元の経済活性化につながるよう配慮している。

2023年8月期第2四半期のトピックスとしては、2022年11月に「FAV HOTEL 鹿児島中央」、同年12月に「FAV HOTEL 広島平和大通り」及び「FAV TOKYO 西日暮里」、2023年3月に「FAV TOKYO 両国」が開業した。このうち「FAV TOKYO 西日暮里」及び「FAV TOKYO 両国」はコンパクト設計での多人数向け間取りを実現した、都市型「FAV HOTEL」となる。このほかにも既述のとおり、2023年2月にFAV HOTEL10件を対象とした長期運用型ファンドを組成しており、今後も開発案件のファンド化を進める計画だ。

3. ヘルスケア関連施設開発事業

同社は2021年12月にヘルスケア事業推進部を新設し、ヘルスケア関連施設開発事業に参入した。1号案件として、札幌市でヘルスケア関連施設(ホスピス住宅)を竣工・運用開始した。ホスピス事業を担う子会社KC-Welfare(株)の設立も行い、敏速な事業展開を推進する計画だ。2023年8月期第2四半期のパイプラインは土地確保済み2件/37億円、着工済/竣工済4件/72億円で、事業規模は2022年8月末比21.1%増となっている。施設及び開発用地を取得する一方で売却を進めているが、売却後もできるだけ運営に関わる方針だ。累計で6件を仕込み、うち1件は運用中、開発案件は5件となっている。同事業は、今後は年間10件ペースで開発を行う計画である。なお、2022年8月期は人材やリサーチへの投資が先行したが、2023年8月期からは業績寄与し始めている。

事業展開の背景には、ヘルスケア関連施設の建替えニーズ増加と拡大傾向にあるヘルスケアマーケットがある。ヘルスケア関連施設は老朽化等により建替え時期が近づいており、計画的なヘルスケア関連施設の開発ニーズが高まっている。厚生統計要覧(令和3年度)によれば、人生の最期を迎える場所は、高度成長期には自宅から病院・診療所に大きく置き換わったが、近年はヘルスケア関連施設の割合が急速に拡大している。ヘルスケア関連施設は、最期を迎える場所として重要な役割を担いつつある。

こうした市場分析に基づいて、同社のヘルスケア関連施設開発事業は、社会的課題の解決と景気動向に収益が左右されにくいアセットへの投資機会を提供するもので、高い社会性を持つと言えよう。加えて、優良なオペレーターとの固定・長期の賃貸借契約により、安定した不動産キャッシュ・フローが期待できる。同社は従来の不動産ファンドやJ-REITが主に取り組んできた「介護」という切り口だけではなく、「医療」という切り口でも展開する方針で、ホスピス施設やショートステイ型療養施設を全国で開発する計画である。特に、「病院の安心感」と「自宅の快適さ」の両方の特性を持つホスピスは、これからの超高齢化社会において大きな社会的役割があることから、ホテル開発等で培ってきたノウハウを生かし、付加価値の高いヘルスケアサービスの提供と他社との差別化を図る方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《YI》

提供:フィスコ

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