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Jストリーム Research Memo(6):OTTとEVCを2軸に提供する機能とサービスをバージョンアップ

特集
2018年6月5日 15時36分

■Jストリーム<4308>の事業戦略

1. コモディティ化する動画配信

Wi-Fi環境の充実や今後予定される第5世代移動通信システムの普及など屋内外での動画視聴環境の整備が進み、多くの人がスマートフォンなど動画視聴が可能なデバイスを個人で常時携帯するようになった。テレビから離れた若者は好んでネット動画を視聴、SNSや社内ポータルなどの利用が増加して動画配信環境を充実させている。さらに、動画利用コストの低下と動画利用効果の拡大が、動画利用の拡大に拍車をかけようとしている。このように、動画のコモディティ化により動画利用シーンが急拡大するなど、動画配信の市場は現在、大きく変化している。

このため、動画配信市場では今後、放送とOTT※1の再編や用途特化型サービスの台頭が予測されている。放送とOTTの再編は、NHKが2019年にIPサイマル放送のサービス開始を目指すなどIPサイマル放送※2が盛り上がりを見せる一方で、Netflix(ネットフリックス<NFLX>)やAmazonプライムビデオなどOTT業者の動画配信サービスへの参入により衛星放送やCATVが苦戦、コンテンツホルダーが衛生放送・CATV離れを加速していることを指す。一方、用途特化型サービスの台頭は、BtoB向けeラーニングやWeb会議、統合型マーケティングなどにおいて、トレーニングや社内コミュニケーション、販売促進などに用途を絞ることでより高い効果を狙った動画ニーズへの対応を指す。

※1 OTT(Over The Top):インターネット回線を通じて音声・動画コンテンツなどを提供する、通信事業者以外のネットフリックスやアマゾン・ドット・コムなどの企業やプラットフォーム、サービスのこと。

※2 IPサイマル放送:サイマル配信とも言い、1つの放送局が同じ時間帯に同じコンテンツを、異なるチャンネル(周波数)や放送方式、放送媒体で放送すること。特に、放送(テレビ、ラジオ)と同じものを通信(インターネット)で同時配信することを指すことが多い。

こうした環境変化は同社にとってビジネスチャンスである。このため同社は、同社の機能とサービスの提供方法をそうした環境に合わせてバージョンアップしようとしている。従来、汎用プロダクトと付帯サービスを顧客に提供してきただけだったが、今後は、最先端の動画ソリューション提供会社として、プロダクトの機能を共通プラットフォーム化し、OTTとEVCを2軸に顧客の用途に合わせて機能とサービスを提供していこうというのである。具体的には、メディアに対しては、IPサイマル放送への対応とコンテンツのインターネット配信にフォーカスしたサービスを提供、一般企業に対しては、医薬と金融を重点とした営業戦略を継続するとともに、トレーニングや社内コミュニケーション、販売促進など用途に特化したサービスを提供していく考えである。

メディアではコンテンツホルダーのOTT化を支援

2. メディアに対する事業戦略

スマートフォンの普及などにより、NTTドコモ<9437>など通信事業者による動画配信サービスが既に拡大しているが、次世代インターネット環境が整備されつつあるなか、OTTを利用してキー局や地方局など様々なコンテンツホルダーによる配信が広がっていくことが予測されている。そこで注目されるのが、通信事業者以外のコンテンツホルダーの動向である。OTTでは継続的な開発やシステム運用が必要になるため、すべてのコンテンツホルダーが配信サービスを構築できるわけではなく、コンテンツホルダーは現状、影響力の大きいAmazonプライムビデオやNetflixなどを利用している。しかし、プラットフォームをそうした企業に依存していては、コンテンツホルダーとして自由度の高い戦略もとれず、同業との差別化もできないため、独自のコンテンツ配信サービス(IPサイマル放送)を構築したくなる。キー局や地方メディアといったコンテンツホルダーのこうしたニーズに対して、彼らに代わってセキュリティや運用などの問題を取り除き、広告展開などコンテンツビジネスの収益化を図ることで、彼ら自身のオウンドメディア※のごとくOTTを利用できるサービスを、同社は展開することができる。

※オウンドメディア:広報誌やパンフレット、Webサイト、SNSなど企業自らが所有し、消費者などに向けて発信するための媒体。

このため同社は、IPサイマル放送需要をグループ全体で取り込むべく、24時間365日体制やマルチCDN Cedexis導入など制作・開発・サービス体制を整備しているところである。また、スキニーバンドル※やOTTビジネス需要に対して、サービスをパッケージ化した対応も進めている。さらに、子会社化したイノコスのリソースを利用して、マイナースポーツや地方局において実績を蓄積していく方針である。ちなみに、イノコスはデジタルビデオ関連機器のソリューションを提供する技術商社の側面と、IPサイマル放送向けのサービス基盤を提供するサービス事業者の側面を併せ持つ。同社にとって、イノコスとの協働はサービス内容が補完関係にあるだけでなく、放送設備とIPサイマル放送関連技術及び関係の深い多チャンネル事業者やCATV事業者とのリレーションを、短期間でグループ内に取り込めるという大きなメリットがある。

※スキニーバンドル: 通常のCATVなどに比べて限定されたチャンネルを低価格で提供するサービス。

CATVの低料金プランの意味にも、同様のストリーミングサービスの意味にも使われる言葉。

一般企業の社内外向け動画ニーズにワンストップサービスを提供

3. 一般企業に対する事業戦略

一般企業の動画配信ニーズに対して、同社は制作から配信までのワンストップサービス、セキュリティ対応、豊富な事例などで強みを持つ。既に販売促進用途にWebサイトや各種コンテンツの作成~配信を一括して行っており、トップメッセージの共有や研修など社内コミュニケーションに使われる事例も増加している。欧米では企業の社内外向けの動画活用が一般化しているが、今後日本でも、大企業を中心に、顧客や株主、従業員などステークホルダーとの円滑で効率的なコミュニケーションを図るため、より一層動画を活用する例が増えていくことが予想される。また、5GやIoT、VRなど次世代のインターネット環境が整備されつつあり、更なる大容量動画に対するニーズの拡大も予測されている。加えて、社内コミュニケーションにおける動画活用は、コスト削減や効果の可視化、同報性といったメリットも大きい。

このため同社は、EVC(Enterprise Video Communications)という概念を用い、一般企業が社内コミュニケーションに利用する動画活用をサポートする考えである。具体的には、同社の「J-Stream Equipmedia」や「J-Stream MediaLize」にコンテンツを内製したり、ウェビナー※機能など新機能を実装したりする一方、大口顧客による社内コミュニケーションの活性化ニーズに対しては、企業向けCDNサービス「Kollective SD ECDN」を提供する。また、顧客別では、医薬関連ではWeb講演会をさらに拡販するとともに専門医学会への展開を図り、双方向や4Kなどの新たなニーズを開拓していく。金融向けにはPR用コンテンツ制作や社内利用動画、代理店向けの教育・情報発信などのサービス充実を訴求する。

※ウェビナー:ウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を組み合わせた造語。Webセミナーやオンラインセミナーとも呼ばれる、インターネット上で行われるセミナーのこと。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《MH》

提供:フィスコ

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