明日の株式相場に向けて=半導体関連が満を持して逆襲高へ
きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比907円高の3万8460円と続急騰。引け際に先物主導の巻き戻しで高値引けとなるのはAIアルゴリズムお決まりのコース。中東の地政学リスクを口実に売り仕掛けが入ったものの、イランとイスラエルの対立が先鋭化したとしても、これによって株式市場のトレンド自体が変わることはないというのは、これまで繰り返してきた通りだ。ネタニヤフ首相がバイデン大統領の忠告に従ったことで過度な不安心理が後退し、リスクオフの巻き戻しが入ったという一連の流れは、後付け講釈であって本質ではない。もし相場が立ち直れなければ中東情勢以外の別の理由があるはずだったが、今回それは杞憂だったようだ。
穿った見方ならイラン大使館攻撃に始まった顛末は、株価波乱のトリガーを引いたのではなく、引かせたように見せたという方が的を射ているかもしれない。裏返せば今回のイラン・イスラエルの対立先鋭化がなくとも、何かしらの理由で相場は調整を強いられる時間軸にあったということになる。
これまでの日経平均急落の象徴は半導体セクターの総崩れだったわけだが、きょうは分かりやすく半導体復活を原寸大で投影したような相場だった。 半導体関連は決算発表絡みで主力どころの銘柄は特に手を出しにくいが、きょうの戻りは純粋な値ごろ感からの押し目買いが機能したわけではなく、ショート筋の買い戻しが株価押し上げの原動力となった。売買代金第4位までを半導体セクターを代表する銘柄群が独占し、その中でも日経平均寄与度トップの東京エレクトロン<8035>の上げ足が鮮烈だった。
また、ソシオネクスト<6526>などは直近、外資系証券経由の空売りがかなり積み上がっていたことから、そのアンワインドの動きが続く可能性がある。ただし、同社は今週末26日に24年3月期通期の決算発表を控えているだけに安易に買いも入れにくい。24年3月期は大幅増益で仮に計画を上振れて着地しても、25年3月期予想は保守的に出してくる可能性がそれなりに高いからだ。したがって、見切り発車で追撃するのは賭けである。同社は2ナノ半導体関連の急先鋒として将来的な成長に向けたキャパシティーは十分であり、ここは決算発表通過を待って、株価が上下どちらに振れてもタイミングを見て入り直すというのが“急がば回れ”の正攻法といえる。
このほか、直近で決算発表が絡まない中小型株に照準を合わせる手もある。データセンター関連の穴株では光関連デバイスを手掛ける精工技研<6834>に着目。24年3月期は大幅減益見通しながら株価には既に織り込まれている。進捗率から上振れて着地する公算が大きいが、それ以上に同社株の場合は25年3月期の急回復シナリオが期待できる点が強み。データセンター向けに同社が生産する光コネクタや同製造装置、測定装置などが引っ張りだこになるシナリオが見え隠れする。
更に時価総額100億円未満の小型株ながらシステム受託開発で高実績を有する東海ソフト<4430>もマークしたい。5月期決算企業で、この時期“決算跨ぎ縛り”に該当しない銘柄である点はポイント。高い技術力に加え、地の利を生かしてトヨタ自動車<7203>向け車載用電子制御ユニット(ECU)などで将来性が見込まれる。業績は目を見張る高成長路線を走るが、時価予想PERは10倍を割り込み、株主還元も今期配当利回り3%超と申し分がない。加えて、ROEが14%台と高いにも関わらず、PBRが1.3倍台というのは評価不足が際立つ。株価はここ急速に見直されているとはいえ、水準訂正余地はむしろここからの方が大きい可能性がある。
あすのスケジュールでは、2月の景気動向指数改定値、3月の外食売上高、3月の全国百貨店売上高など。また、この日は東証グロース市場にコージンバイオ<177A>が新規上場する。海外では1~3月期韓国国内総生産(GDP)、トルコ中銀による政策金利発表のほか、米国では週間の新規失業保険申請件数、1~3月期米GDP速報値、3月の米仮契約住宅販売件数が注目される。なお、国内主要企業の決算発表では信越化学工業<4063>、ディスコ<6146>、富士通<6702>、キーエンス<6861>、ルネサスエレクトロニクス<6723>などが予定。海外主要企業ではマイクロソフト<MSFT>、アルファベット<GOOGL>、インテル<INTC>、キャタピラー<CAT>などの決算発表に市場の関心が高い。(銀)
株探ニュース