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窪田製薬ホールディングス 株価材料ニュース

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窪田製薬HD Research Memo(3):遠隔眼科医療モニタリングデバイス等の開発に加え、NASA向け小型OCTの

特集
2019年12月23日 15時03分

■主要開発パイプラインの概要と進捗状況

1. 開発パイプラインの進捗状況について

窪田製薬ホールディングス<4596>が現在進めている開発パイプラインは、医薬品でエミクススタト塩酸塩(適応症:スターガルト病、増殖糖尿病網膜症)、ヒトロドプシン※を用いた遺伝子治療(適応症:網膜色素変性)があり、また、医療デバイスでは遠隔眼科医療モニタリングデバイス「PBOS」がある。また、有人宇宙探査に携行可能な小型OCTの開発をNASAと共同で進めており、2019年12月期第3四半期までの進捗状況は以下のとおりとなっている。

※ヒトの網膜の杆体(かんたい)細胞を構成するタンパク質の一種で、光受容体(光信号を電気信号に変えて脳に伝達する)の機能を果たす。

(1) エミクススタト塩酸塩(スターガルト病)

2019年12月期第3四半期の進捗状況について見ると、エミクススタトのうち、スターガルト病を適応症とした開発は臨床第3相試験(2018年11月開始、予定症例数約160例)が世界11ヶ国、約30ヶ所の医療施設で進んでおり、2019年6月には欧州医薬品庁(EMA:European Medicines Agency)からオーファンドラッグ※指定を受けたことを発表している。被験者の登録状況については各医療施設の稼働が遅れたことや、稀少疾患で対象患者数が少ないということもあり、初期段階では遅れ気味で推移していたものの、直近では登録のペースも当初想定並みまで上がってきたようで、今のペースでいくと被験者登録の完了時期は2020年、臨床試験終了時期は2022年となる見通しだ。

※欧州では、生命を脅かすような疾患や重篤で慢性的な衰弱状態の疾患で、1万人当たり5人未満の発症率である疾患の診断や治療のための医薬品が指定対象となり、上市後10年間の市場独占販売権、医薬品の製造販売承認申請費用の減額、優先承認審査等のインセンティブを受けられることになる。なお、米国でも2017年1月にオーファンドラッグ指定(上市後7年間の独占販売権)を受けている。

(2) エミクススタト塩酸塩(増殖糖尿病網膜症)

増殖糖尿病網膜症を適応症とした開発については、2018年1月に臨床第2相試験を完了し、主要評価項目は達成しなかったものの、網膜症の発症や悪化に関連するバイオマーカーであるVEGF(血管内皮増殖因子)濃度の軽度改善が確認されている。また、米国の視覚と眼科学研究協会(ARVO)が発行する学術雑誌「Investigative Ophthalmology & Visual Sciense(IOVS)」において、マウスモデルでエミクススタトが低照度環境下における網膜内の過剰なエネルギー消費を抑制し、さらに網膜の酸素需要も減らせることを立証したこと、また、同研究結果から網膜の酸素不足を大きな要因として発症すると考えられている糖尿病網膜症のような虚血性網膜疾患に対してエミクススタトの効果が期待できる、との論文が掲載されたことを2019年12月に発表している。同疾患に関しては今後、これらエビデンスを基に共同開発パートナーの探索を進めていく方針となっている。

(3) PBOS

米国で開発を進めている「PBOS」については、患者や医師からの要望も反映させるため、客観的データとなる網膜測定デバイスだけでなく、患者の主観的データを収集するための視力測定機器(測定用眼鏡、専用タブレット端末)もセットにして販売していく方針となった。今後の開発スケジュールとしては、まず視力測定機器の510(k)申請を2020年早々に行い、その後に視力測定装置と「PBOS」を合わせたシステムで510(k)申請を行い、2020年内の認証取得と販売開始を目指している。なお、「PBOS」については現在、網膜の厚み測定精度を向上すべく改良を行っている状況だが、開発スケジュールを変更するほどの影響はないもようだ。なお、保険収載の適用を受けるためには臨床試験を実施する必要があるため、販売後に状況を見ながら臨床試験も行う予定にしている。治験デザインとしては、PBOS利用患者と未使用患者(過去データ援用の可能性もあり)で症状の悪化度合いを比較する内容になる可能性が高く、期間として1~2年程度かかるものと予想される。

(4) 遺伝子治療(網膜色素変性)

網膜色素変性を適応症とした遺伝子治療については、2018年1月にSIRION(ドイツ)とアデノ随伴ウイルスベクター※1確立のための共同開発契約を締結し、同年11月よりプロモーター※2、カプシド※3、導入遺伝子(ヒトロドプシン)の最適化プロセス確立に向けた取り組みを開始している。現在、遺伝子の導入効率や発現量の向上に向けてウイルスベクターの改良研究を重ねている段階で、2021-2022年の非臨床試験開始と量産化技術確立、2022年のIND(臨床試験用の新医薬品)申請を目指している。現在は最適化プロセスの確立に向けて、グローバルな共同研究チームによって実験を繰り返し行っている状況にあり、少しずつ前進しているものと思われる。

※1 治療する細胞に治療遺伝子を導入するために利用されるウイルス。

※2 ゲノムから遺伝子の転写が行われるときの、転写開始部分として機能している領域のことを指す。

※3 ウイルスゲノムを取り囲むタンパク質の殻のことを指し、ウイルスゲノムを核酸分解酵素などから保護し、細胞のレセプター(受容体)への吸着に関与している。カプシドはウイルスが細胞に侵入後、細胞またはウイルス自身の酵素によって取り除かれる。

(5) 宇宙飛行士向けモニタリングデバイス

そのほか、2019年3月に発表したNASAとの開発受託契約では、宇宙飛行で発症する眼疾患に関する研究を行うための小型OCTの開発を進めている。2020年初頭にはNASAに対してプロトタイプによるデモを行い、結果が良好であれば、NASAより資金提供を受けて第2フェーズの開発ステージに移行する予定で、最終的には2022-2023年頃の完成を目指している。なお、NASAからの開発委託金については売上計上する見込みとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MH》

提供:フィスコ

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