明日の株式相場に向けて=メジャーSQ前日に巻き起こった嵐
きょう(7日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比492円安の3万9598円と3日続落。前日までは続落とはいえ2日間合計で20円にも満たない軽微な下げで、値上がり銘柄数が値下がりを大幅に上回るなど実質強調相場だったと言ってもよいが、きょうの下げはそれなりに重いボディーブローとなった。4万円台の景色に慣れつつあったが、あっという間3万9000円台半ばまで引きずり降ろされた。
先物主導の仕掛け的な売りが観測され、あすがメジャーSQ算出日であることを改めて意識させる地合いとなった。2月22日の史上最高値更新を含め、ここ1カ月の日経平均の上げっぷりが派手だったこともあって、その反動は警戒されてはいる。ただ、そうしたなかも売り方の影は見えず、足音も聞こえないような状態でおそらく油断はあった。「好事魔多し」の相場展開は油断があるからこそ生じる。「SQ週の魔の水曜日」を通過したところで、ドタン場の時間差攻撃によって盤石とみられた東京市場は揺さぶられることになった。
実は直近、オプション取引市場でさざ波が立っていた。市場筋によると「日経平均3万8500円のプットの残高が急増し注目を集めていた」(ネット証券マーケットアナリスト)」という。日経平均が4万円台前半で順風満帆の値運びをみせるなかで、3万8500円の“売る権利”を拾いまくっても、元来であればそれはゴミを拾い集めているようなもの。加えて、前日の欧州株市場がほぼ全面高、米国株市場もNYダウなど主要株価指数が揃って下げ止まり、きょうはリスクオンのバトンが東京市場に渡された形となった。実際寄り付きから幅広い銘柄に買いが優勢となった。
ところが、日経平均は朝方に380円強の上昇で4万400円台まで買われた後、午前10時半あたりから急降下を始めた。日銀の金融政策正常化の前倒し観測などが浮上し重荷となったいう見方もあるが、日銀のマイナス金利解除が仮に3月に行われたとしても、それは1カ月前倒しに過ぎず、マーケットが何か決定的な打撃を受けるのかというと、そういうことでもない。売りの口実にされた感が強い。「有名トレーダーの先物手仕舞いがSNSで拡散され、それに歩調を合わせた先物への間断のない売りが全体を押し下げた」(中堅証券ストラテジスト)とする。もっとも、3万8500円のプットにはまだかなり距離がある。買い方に徳俵で踏ん張られ、売り方も押し切れなかったというのが、きょうの相場だった。
中小型株はどこ吹く風の銘柄もある。今週大相場を演じた一連の AI関連株もさすがに上げ足が止まった銘柄は多かったが、そのなかで日本ラッド<4736>は4日連続ストップ高で、取引時間中は商いが成立しなかった。このほかAI関連ではKudan<4425>も大量の買い注文に気配値のまま値幅制限いっぱいまで浮上、3日連続のストップ高。Laboro.AI<5586>もストップ高の2500円で買い物を残した。直近5営業日で4回のストップ高となった。
人気が沸騰しているのはAI関連株だけではない。かつて1999年から2000年のITバブル当時に大化けを演じたのはIT関連株だけではなく、消費関連などITとは無縁の株で中長期にわたる急騰劇を演じる銘柄も少なからずあった。最近の東京市場はそれを思い起こさせる。今がAIバブルのハシリとすれば、今後AI関連以外のどういった銘柄が、大化け株として輩出されていくのか興味深い面もある。例えば、最近は住石ホールディングス<1514>が驚異的な強さで市場でも話題である。きょうもストップ高で張り付いていたが、引け際に剥がれ305円高の5170円ウリ気配で引けた。しかし、前日までの上昇相場は凄まじいの一語。1年前の今の時期、同社の株価は300円台、更に2年前は100円台であった。1年間で100円台の株価が300円台に浮上するだけでも上昇率という点では大変身といってよいが、同社株はその後が空前絶後、とりわけ昨年秋口以降ここまでの値運びには株の持つ魔力が余すことなく投影されている。
あすは株価指数先物・オプション3月物の特別清算指数(メジャーSQ)の算出日にあたる。このほか、1月の家計調査、1月の国際収支、2月の貸出・預金動向、3カ月物国庫短期証券の入札、1月の特定サービス産業動態統計、1月の景気動向指数(速報値)、2月の景気ウォッチャー調査など。海外では、10~12月期のユーロ圏GDP(改定値)のほか、2月の米雇用統計に対するマーケットの関心が高い。(銀)
最終更新日:2024年03月07日 17時55分
株探ニュース