利益成長“青天井”銘柄リスト【総集編】第2弾 33社選出 <成長株特集>
本特集では、7月下旬から8月中旬までの決算発表集中期間に配信した「利益成長“青天井"銘柄リスト」を、“全期間”を対象に再構成した総集編をお届けします。
今回は19日に配信した時価総額2500億円以上の銘柄を対象とした「第1弾」に続き、19日時点の時価総額が750億円以上2500億円未満の中から、24年4-6月期に四半期ベースの過去最高益を更新し、かつ今期も最高益を見込む、いわゆる利益が“青天井”状況になっている銘柄をリストアップした。
下表では、本決算月にかかわらず、24年4-6月期に経常利益が全四半期ベースの過去最高益を更新した銘柄をピックアップ。さらに、会社側が今期(通期計画)も過去最高益見通しを示している33社を選び出し、4-6月期の過去最高益に対する上振れ率が大きい順に記した。
上振れ率トップとなったのは、AnyMind Group <5027> [東証G]。24年4-6月期(第2四半期)の税引き前利益は5.8億円(前年同期比2.6倍)と3四半期連続の最高益更新を遂げた。国内だけでなくグローバルで新規クリエイターの獲得を強化したことが奏功し、パートナーグロース領域のクリエイター向け成長支援事業の収益が急拡大した。業績好調に伴い、24年12月期通期の同利益予想を大幅上方修正し、3期連続の過去最高益見通しをさらに上乗せした。
2位にリスト入りした鴻池運輸 <9025> [東証P]の4-6月期(第1四半期)は、国際旅客便の復便による取扱量増加や単価改定の獲得などで空港関連の収益が拡大したほか、航空貨物運賃市況の回復や米国冷凍冷蔵倉庫での取扱量増加を背景に国際関連も大きく伸びた。併せて、25年3月期上期(4-9月)の業績予想を上方修正したことも好感され、株価は8月30日に上場来高値2531円をつけている。
3位に入ったマースグループホールディングス <6419> [東証P]の4-6月期(第1四半期)の経常利益は前年同期比69.6%増の53.2億円と実に78四半期ぶりとなる最高益更新を果たした。スマート遊技機専用ユニットを中心にプリペイドカードシステムの販売が好調だったほか、7月発行の新紙幣対応でソフトウェアのバージョンアップや機器の入れ替えなどの需要を取り込んだ。上期計画の74.4億円に対する進捗率は71.5%に達しており、業績上振れが期待される。
4位のBuySell Technologies <7685> [東証G]の4-6月期(第2四半期)は売上高、経常利益ともに過去最高を大幅に更新した。出張訪問買取事業で好調な中古品の買い取りによって積み上がった在庫の販売が順調に進んだことに加え、全国のショッピングセンターなどを中心に買取店舗を展開するむすび社の買収効果も収益を押し上げた。好調な業績を踏まえ、24年12月期通期の業績見通しと配当計画を上方修正したことも評価され、株価は年初来高値圏に急浮上している。
5位のゼリア新薬工業 <4559> [東証P]は主力の潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」やクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤「ディフィクリア」、炎症性腸疾患治療剤「エントコート」が欧州を中心に海外で好調だったほか、滋養強壮剤「ヘパリーゼ群」の販売も伸びた。また、為替差益も膨らみ、4-6月期(第1四半期)は売上高、経常利益ともに過去最高を更新した。
6位のタムロン <7740> [東証P]は新製品投入の効果などでカメラ用交換レンズの販売が伸びたうえ、注力分野のFA/マシンビジョン用レンズやカメラモジュールも好調だった。また、原価低減や円安効果も寄与し、4-6月期(第2四半期)は2四半期連続の最高益更新を達成した。業績好調に伴い、24年12月期通期の経常最高益予想をさらに上乗せしたことを受けて、株価は9月3日に上場来高値4840円まで上値を伸ばしている。
7位にリスト入りしたJBCCホールディングス <9889> [東証P]の4-6月期(第1四半期)経常利益は16.5億円と過去最高だった前年同期を34.7%上回って着地。クラウドファーストでのIT環境やシステム化の検討が進み、運用&最適化付きクラウドサービス「EcoOne」が好調を維持したうえ、高度化するサイバー攻撃の急増に伴うセキュリティ対策の引き合いも旺盛だった。また、システム分野では顧客のシステム更改によるハードウェアの刷新が重なったことも利益拡大につながった。株価は8月29日に約24年3ヵ月ぶりの高値4655円まで上昇する場面があった。
選出リストには上場来高値を更新した企業が目立つ。鴻池運輸、タムロン、Genki Global Dining Concepts <9828> [東証S]、ミズノ <8022> [東証P]、太陽ホールディングス <4626> [東証P]、湖北工業 <6524> [東証S]、アルゴグラフィックス <7595> [東証P]、松風 <7979> [東証P]、Genky DrugStores <9267> [東証P]、ニッコンホールディングス <9072> [東証P]はいずれも好決算を受けて上場来高値を塗り替えた。こうした銘柄は過去の売買による抵抗帯がない“株価青天井”銘柄としても注目される。
┌─ 四半期 経常利益 ─┐ ┌── 通期 経常利益 ──┐ 予想
コード 銘柄名 上振れ率 4-6月期 過去最高 上振れ率 今期予想 過去最高 PER
<5027> エニマインド 81.9 584 321 194 1846 628 56.2 *
<9025> 鴻池運輸 44.7 6857 4738 5.7 18000 17034 10.8
<6419> マースGHD 40.4 5320 3789 0.2 12520 12500 7.5
<7685> バイセル 38.6 1707 1232 12.7 4140 3672 36.5
<4559> ゼリア新薬 38.2 5459 3949 17.5 10000 8513 12.7
<7740> タムロン 38.2 6356 4598 36.7 19100 13972 13.2
<9889> JBCCHD 34.7 1658 1231 14.3 5200 4549 18.8
<3110> 日東紡 32.7 4768 3594 39.9 16000 11436 19.6
<9828> ゲンキGDC 32.4 1857 1403 0.4 5100 5081 23.4
<5310> 東洋炭素 28.7 3954 3072 3.1 10500 10182 15.1
<4107> 伊勢化 28.0 2043 1596 29.0 6600 5117 22.5
<4958> 長谷川香料 26.2 3448 2732 10.2 10000 9075 17.3
<9722> 藤田観 24.7 3438 2756 49.6 11000 7355 14.1
<8022> ミズノ 16.9 7398 6328 6.3 20500 19288 15.5
<6670> MCJ 16.6 5999 5145 5.3 18000 17087 11.7
<8014> 蝶理 16.4 4858 4174 3.6 15000 14476 8.8
<7864> フジシール 14.6 5188 4529 5.9 15600 14732 12.1
<7283> 愛三工 14.3 6938 6070 16.3 20000 17201 7.0
<4626> 太陽HD 14.2 6183 5416 10.7 20000 18062 14.9
<6524> 湖北工業 13.3 1623 1432 4.4 4637 4443 27.9
<7595> アルゴグラフ 12.7 3007 2669 3.2 10000 9686 16.9
<7979> 松風 11.4 1812 1627 9.5 5604 5118 19.1
<7327> 第四北越FG 10.7 14776 13350 7.6 33200 30868 9.2
<6454> マックス 9.0 4572 4196 0.2 13740 13717 15.7
<2733> あらた 8.3 5057 4669 8.2 16600 15341 10.6
<4480> メドレー 7.3 2444 2278 18.2 4440 3755 37.3
<9267> Genky 7.2 2580 2406 10.3 10220 9268 16.3
<7189> 西日本FH 6.9 15201 14220 8.3 41000 37868 8.4
<4099> 四国化HD 3.9 3033 2919 2.2 9500 9291 11.7
<8522> 名古屋銀 3.6 5860 5659 7.1 17300 16146 8.7
<6269> 三井海洋 3.1 16851 16347 38.2 42079 30446 7.6 *
<6871> 日本マイクロ 2.6 3401 3316 12.3 11700 10423 17.3
<9072> ニッコンHD 1.7 6536 6428 6.0 25300 23875 13.9
※2023年4月以降に上場した企業と今期見通しを開示していない企業は除いた。四半期の過去最高益は原則、四半期決算の開示が本格化した03年4-6月期以降の業績に基づいたものです。
※過去最高益は同一会計基準内が対象。「*」は国際会計基準を採用する銘柄。
株探ニュース