【杉村富生の短期相場観測】 ─金融正常化はメガバンクにメリット!
「金融正常化はメガバンクにメリット!」
●6月の利上げ説が急浮上!
米中首脳会談にはアメリカ(トランプ大統領)、中国(習近平国家主席)双方の思惑があった、と思う。アメリカは11月の中間選挙、中国は2027年に5年に一度の共産党大会を控えている。議題はイラン、台湾問題、経済・通商政策に絞られたようだが、合意は難しい。ただ、今回の首脳会談は“親密さ”をアピールするのが狙いである。
マーケットでは訪中にアップル<AAPL>、テスラ<TSLA>(スペースX)、エヌビディア<NVDA>などの経営トップが参加したことが話題になっている。中国側は巨大IT企業の投資に期待しているようだが、基本は自社製品の売り込みだ。制約だらけの国に、本気で資金を投じる気はないだろう。
実際、アルファベット<GOOG>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、メタ・プラットフォームズ<META>、マイクロソフト<MSFT>の4社(ハイパースケーラー)の今年の設備投資計画はAI(人工知能)・ 半導体を中心に7100億ドル(約110兆円)に膨らむ。主軸はアメリカ投資である。彼らは技術の流出を恐れている。
日本の株式市場ではベッセント米財務長官が訪中(米中首脳会談)前の多忙な時期になぜ、日本に立ち寄ったのか、が関心事だ。高市首相、片山財務大臣との会談はあったが、植田日銀総裁との接触は公的には確認されていない。話題は為替、および中東諸国のドル不足(原油はドルとリンク→輸出停止、外貨獲得のためにドル債を売る?)の対応にあろう。
ベッセント財務長官は為替介入については一定の理解を示したものの、円安阻止には持論の「金融正常化→利上げを遅らせるな」を主張したはずだ。日銀にはすでに、高市政権を通じ“圧力”をかけているとみられる。日銀は6月15~16日の金融政策決定会合において、利上げを断行するだろう。現在の政策金利は0.75%にすぎない。これを1.00%にする。
●エヌビディアの対抗馬(?)が登場?
6月の利上げは株価にダメージを与える可能性がある。しかし、実質2%強のマイナス金利状態を放置できないのは確かだろう。就任したばかりのウォーシュFRB(米連邦準備制度理事会)議長はとりあえず、前任者の方針を踏襲するだろう。急激な政策転換は1987年10月(ブラックマンデー)のように、パニックを引き起こす可能性が高まる。FRBが利下げを行うのは秋以降になろう。日銀はその前に、金融正常化(1~2回の利上げ)を急ぐ必要がある。
銀行株はジリ高に転じるだろう。 メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]は日米合意の対米投資(総額87兆円)の融資面での支えになる。 地銀の愛媛銀行 <8541> [東証P]、ちゅうぎんフィナンシャルグループ <5832> [東証P]に注目できる。
地銀には再編の思惑に加え、この2行はシップファイナンス(造船業界向け融資)が収益源となっている。九州フィナンシャルグループ <7180> [東証P]、横浜フィナンシャルグループ <7186> [東証P]は稼ぐ力が強いのが魅力である。アメリカはリーマン・ショック以来の金融業界の締め付けを緩和する方針を明らかにしている。
海外投資家(現物)は4月に入って、猛烈な買い越しをみせている、すなわち、4月第1週が1兆9149億円、第2週が1兆6418億円、第3週が9977億円、第4週が7842億円、第5週が3576億円、5月第1週が1兆2351億円だ。いや~、すさまじい。合計6兆9313億円に達する。アベノミクス時(25兆円)を上回るペースである。
アメリカ市場はダイナミックだ。有望企業が次々に上場している。14日にNASDAQ市場に上場したセレブラス・システムズ<CBRS>はAI半導体企業だが、「1枚のウェハーをほぼ丸ごと1つのAIチップにした」という画期的な企業である。すでに、オープンAIが200億ドル(約3兆円)の大型契約を結び、エヌビディアの対抗馬と称されている。
そのオープンAIは11月に、アンソロピックは10月にも株式公開を計画しているとされる。6月には宇宙開発、AIのスペースXが上場する見通しだ。スペースXの時価総額は2兆ドル(約300兆円)を超えるだろう。半導体関連のFIG <4392> [東証P]は買える。FIGには半導体のほか、ドローンの切り口がある。
2026年5月15日 記
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株探ニュース