児玉化 Research Memo(2):自動車部品と住宅設備・冷機部品に強みを持つ樹脂加工メーカー
■事業内容
児玉化学工業<4222>は、わが国初の大型真空成形機を西独より輸入し大型真空成形機によるプラスチックス成形品を日本で生産開始したことが出発点となる。当時は今で言うベンチャー企業であった。その後、樹脂加工の領域で技術を積み上げ、現在は「モビリティ事業」「リビングスペース事業」を主要事業とする。2024年3月期の売上高構成比は、「モビリティ事業」が65.4%、「リビングスペース事業」が30.9%であり、両事業で全体の96.3%を占める。
1. モビリティ事業
各種ピラー類、ラッゲージトリムやトランクトリム、ドアトリム、スポイラー、フェンダーカバー、インストルメントパネル、フロントスポイラーやスカートなどの自動車内外装品を大手自動車メーカーに供給している。国内ではトラック及びRV車を主体とし、海外ではピックアップトラック及び乗用車を主体に展開している。注力するのは新規開発品のガラス繊維マットプレス新工法及び三次元加飾製品の部品供給で、これらは日系メーカーの有力車種に採用されるなど、今後に期待が持てる。
2. リビングスペース事業
主に洗面化粧鏡、キッチン、トイレ、バスなど、水周りに採用される樹脂製品を供給している。設計から生産まで一貫した完全受託生産体制を確立しており、その技術力に対する評価は高い。特に、洗面化粧鏡に強みを持ち、各大手住宅設備メーカーへ供給している。国内のリフォームニーズへの対応だけでなく、大手住宅設備メーカーとのパイプを積極的に活用し拡販を図る考えだ。
3. アドバンスド&エッセンシャル事業
ゲーム用パッケージや自動車部品用トレーなどの樹脂製品を供給している。加えて、将来的には医療分野等への事業拡大を展開していく意向である。ゲーム向けについては、コロナ禍においては巣ごもり需要を背景に収益貢献したが、ヒット製品が飛び出した場合、収益に大きく貢献する。
4. 新技術
新技術として、ガラス繊維マットプレス新工法によるプラスチック製品の工業化に成功、有力車種への搭載が相次いだ。新工法による製品がトヨタ自動車<7203>の「レクサス」に採用されるなど注目度が高い。さらに、三次元加飾工法による高度加飾分野も、トヨタ自動車の「カムリ」やSUV新型「ハリアー」、三菱自動車工業<7211>の「デリカD:5」及び本田技研工業<7267>(ホンダ)の「オデッセイ」にも採用されている。
海外向けについては、2002年よりEcho Autoparts (Thailand) Co., Ltd.(タイ)で自動車部品事業を展開しており、自動車各社の戦略車種に使用される部品の受注により収益確保を図るほか、Thai Kodama Co., Ltd.(タイ)及びThai Kodama (Vietnam) Co., Ltd.(ベトナム)において、冷機成形品事業や食品容器事業等の拡大を進めている。
同社製品はBtoBに位置付けられ、最終製品の多くを日系企業に供給する形であり、大手メーカーとの国内でのつながりを海外でも活用している。自動車、住宅設備・冷機部品など供給先の製品が海外進出エリアで拡大すれば、同社の収益も伸長する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
《HN》
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