平山 Research Memo(1):働き手、顧客企業とWin-Winの関係を構築し、2ケタ台の利益成長目指す
■要約
平山ホールディングス<7781>は、日本のものづくり(製造業)を支える製造支援会社として、インソーシング(請負)・派遣事業や技術者派遣事業、海外事業等を展開している。製造現場の改善につながるコンサルティング力に強みを持つ。M&Aにも積極的で、2018年7月に同業のFUN to FUN(株)を子会社化したのを皮切りに、同年12月に(株)平和鉄工所、2019年6月に(株)大松自動車(現 (株)平山ケアサービス)、2023年7月にブリヂストングリーンランドスケープ(株)(現 (株)平山GL)を相次いで子会社化し、事業規模を拡大している。
1. 2024年6月期の業績概要
2024年6月期の連結業績は、売上高で前期比11.4%増の35,292百万円、営業利益で同25.3%増の1,119百万円と2ケタ増収増益となり、過去最高を連続更新した。主力のインソーシング・派遣事業を中心に、すべての事業セグメントで増収増益を達成した。インソーシング・派遣事業は自動車部品並びに医療機器・医薬品の拡大が続いたほか、新規連結した平山GLの業績※も上乗せ要因となった。また、低採算案件の見直しを進めたことにより利益率も上昇した。技術者派遣事業では電子機器の組み込みソフトウェアや半導体関連・生産設備関連の技術者を中心に旺盛な需要が続き、派遣単価の上昇もあって増収増益となった。そのほか、収益性の高い外国人雇用管理サポート事業が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の収束に伴う外国人技能実習生の受け入れ拡大を背景に好調に推移し、増収増益に寄与した。
※ 平山GSの売上高は1,845百万円、営業利益は33百万円であった。
2. 2025年6月期の業績見通し
2025年6月期の連結業績は、売上高で前期比7.7%増の38,000百万円、営業利益で同20.4%増の1,347百万円と増収増益が続く見通し。前半は自動車やエレクトロニクス業界の生産活動がやや低調なこともあって、伸び率が鈍化する可能性もあるが、下期には景況感も上向き通期では2ケタ増益が続く見通しだ。引き続き積極的な人材採用及び教育によるスキルアップを図ることで高単価案件の受注獲得に注力する。また、外国人雇用管理サポート事業についても、製造業やサービス業の慢性的な人材不足を背景に高成長が続く見通しで、増収増益に寄与する。
3. 成長戦略と株主還元方針
同社は2024年7月に2030年におけるありたい姿『VISION HIRAYAMA 2030』と2025年6月期からスタートする中期経営計画『ファーストステージ2027』を発表した。「製造支援企業として、独自のサービスを常に開発するグローバルオンリー1企業を目指す」ことをビジョンとして掲げ、業績目標として2027年6月期に売上高460億円、営業利益22億円、2030年6月期に売上高600億円、営業利益36億円を掲げた。営業利益の年平均成長率は21.5%となる。慢性的な人材不足が続くなか、目標を達成するためには働き手と企業の双方から選ばれるWin-Winの関係を構築することが重要と、同社は考えている。働き手に対しては働きやすい環境やスキルアップ、キャリアチェンジを実現できる環境を整備し、企業に対しては現場改善力による生産性向上を実現することで顧客からの信頼を獲得するだけでなく、必要とされる派遣社員等を正社員として紹介することで顧客満足度を高める戦略だ。また、人材のスキルアップによる高単価案件の獲得や、収益性の高い外国人雇用管理サポート事業の成長、DX推進による業務効率の向上等により、営業利益率を2030年6月期に6.0%まで引き上げる。株主還元方針としては、総還元性向で50%以内、うち配当性向については従来の30%超を40%超に引き上げた。同方針に基づき、2025年6月期の1株当たり配当金は前期比8.0円増配の50.0円(配当性向44.4%)を予定している。
■Key Points
・2024年6月期は13期連続増収、各利益も過去最高益を連続更新
・2025年6月期は海外事業を除く事業セグメントで増収増益となり、2ケタ増益が続く見通し
・働き手、取引先企業とWin-Winの関係を構築し、営業利益で年率20%強の成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《HN》
株探ニュース