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アクセル Research Memo(2):パチンコ・パチスロ機向けファブレス半導体企業から先端テクノロジー企業へ(1)

特集
2022年7月22日 15時12分

■事業概要

1. 会社概要

アクセル<6730>は遊技機器(パチンコ、パチスロ)に搭載される液晶ディスプレイに画像を映し出すグラフィックスLSI(以降、G-LSI)で市場シェアの約50%を握るトップメーカーで、製造は外部に委託し研究開発・販売戦略に特化するファブレスメーカーである。近年G-LSI加え、遊技機器のコンテンツを格納するメモリモジュールの売上高が拡大しており、同社の主力製品となってきている。その他の製品では、パチンコ・パチスロ機向けのLEDドライバのほか、建設機械や医療機器など組込み機器向けG-LSIの開発・販売を行っている。

また、パチンコ・パチスロ機向けG-LSIの開発で蓄積してきた開発力を活かして、AIソリューション等の新たな事業領域へ展開すべく、2019年5月にax(株)を子会社として設立した。axでは同年6月にソフトウェア開発を行うbitcraft(株)、同年8月に画像認識・処理技術の開発を行うモーションポートレート(株)を相次いで完全子会社化し、のちに吸収合併している。(bitcraftは同年10月、モーションポートレートは2020年12月)。

また、2020年11月に、パチンコ・パチスロ機向け次世代メモリの開発販売を目的に富士通デバイス(株)(現、NVデバイス(株))と合弁で設立したaimRage(株)を、2022年3月期から連結対象子会社に加えている(出資比率85%)。富士通デバイスとは従来からパチンコ・パチスロ機向けメモリ製品に関する取引関係があったが、さらなる次世代メモリモジュールの投入でさらなるシェア拡大とビジネスの安定化を図るため、合弁会社を設立した。なお、2022年3月期末の連結従業員数は、前期末比5名増の116名、うち単体は4名増の92名となっている。

2. 事業セグメント

(1) LSI開発販売関連

「LSI開発販売関連」セグメントでは、パチンコ・パチスロ機向けG-LSIのほか、メモリモジュールやLEDドライバ等周辺デバイスの開発販売を行っており、2022年3月期の売上高構成比で95.1%を占める。なお、同事業セグメントに含めていた産業機器などの組み込み機器用G-LSIについては「新規事業関連」セグメントに移管している。

同社のパチンコ・パチスロ機向けG-LSIの特徴は、比較的廉価なCPUとの組み合わせでも高精細な描画表示を実現する能力を有していることにある。また、画像ロムに格納された圧縮画像データを瞬時に伸長して高速表示するほか、多彩な演出を可能とする各種エフェクト機能も搭載している。パチンコ・パチスロ機向けG-LSIについては、このような特定用途に特化した技術が必要となるだけでなく、設計プロセスの微細化、回路規模の大型化により研究開発費が増大する傾向にあるため参入障壁が高くなっている。競合企業としてはヤマハ<7951>等が挙げられる。

なお、パチンコ・パチスロ機向けG-LSI市場では、リユース(再使用)品が一定規模で使われており、機器の出荷台数とG-LSIの需要が必ずしも連動しない点には注意する必要がある。これはパチンコ・パチスロ機に搭載される部材の品質が複数回の繰り返し利用でも問題ない水準であることに加えて、パチンコ・パチスロ機メーカーがコスト削減のためにリユース品を使う動きが広まったことが背景にある。パチンコ・パチスロ機メーカーはリサイクル業者を介して、または直接パチンコホールなどから部材を回収して再利用している。リユース率はパチンコ・パチスロ機メーカーのコスト削減施策の動向に影響を受けるが、年間需要のおよそ3~4割がリユース品になっていると推定される。また、G-LSIの世代後半期にはリユース率が高まり、次世代品の販売開始とともにリユース率も下がる傾向にある。

同社はファブレスメーカーのため、半導体の製造に関してはすべて外部に委託している。G-LSIについては「AG5」までルネサスエレクトロニクス<6723>を始めとした国内半導体メーカーをメインに製造委託してきたが、次世代品の「AG6」については海外の大手ファンドリーメーカーに製造委託している。最先端の微細回路技術を低コストで量産できるためだ。このため、「AG6」の仕入れについては為替の影響を受けることになるが、専門商社を介して仕入れているため直接的な影響は受けていない。ただ、2021年以降の慢性的な半導体不足に加え、為替の影響もあって、ファンドリーメーカーが製品の値上げを実施しており、同社の仕入価格は従来から上昇している。一方、販路については専門のエレクトロニクス商社を通じてパチンコ・パチスロ機メーカーに販売している。

なお、同社は研究開発型のファブレスメーカーであるため、売上高に占める研究開発費率が高いという特徴がある。特に、2016年3月期から2019年3月期にかけては「AG6」の開発に加えて演出用の周辺LSIなどそのほかのLSIの開発をしていたこともあり、研究開発費として毎期20億円以上を投下、対売上比率が30%以上の水準で推移し、収益圧迫要因となっていた。「AG6」の開発が終了した2020年3月期以降は15億円前後の水準に低下している。なお、「AG6」の後継品の開発についてはパチンコ・パチスロ機市場そのものが縮小傾向となっていることや「AG6」の搭載率なども考慮して、経済合理性を慎重に検討したうえで方針を決めていく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《ST》

提供:フィスコ

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