1stコーポ Research Memo(6):2023年5月期も建築事業が好調、受注高は過去最高を記録
■業績動向
1. 2023年5月期の業績概要
ファーストコーポレーション<1430>の2023年5月期は、売上高が前期比15.4%減の25,543百万円、営業利益が同3.4%増の1,983百万円、経常利益が同4.7%増の1,979百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.5%増の1,364百万円だった。売上高に関しては建築事業、共同事業が伸びた。特に建築事業に関しては、2023年5月期下期においてもレ・ジェイド新横浜、バウス東林間の2件を新たに受注するなど好調だった。これらにより、同事業の受注高、受注残高は過去最高を記録した。一方で、不動産売上高が前期を下回ったことにより、連結ベースの売上高は減収を強いられた。売上は減少したものの、利益面に関しては増益を達成した。不動産売上高総利益率と共同事業収入総利益率がそろって上昇し収益性が高まったほか、完成工事総利益率も上昇し、増益に寄与した。建築事業において、建築資材が高騰する前に資材を手配し着工したことにより原価高騰の影響を最小限に留めたこと、工事案件当たりの生産性を高めたことなどが寄与した格好だ。
事業分類別の業績は、完成工事高が前期比22.9%増の19,796百万円、完成工事総利益が同33.9%増の2,302百万円と大幅な増収増益だった。受注が計画7件に対して実績8件と好調に推移するなかで、資材価格高騰の影響を抑制したこと、工事案件当たりの生産性を向上させたことなどにより、売上の伸びを上回る利益の伸びを実現した。受注実績に関しては、受注高が同208.7%増の35,508百万円と過去最高を達成した。これを受け、受注残高も同70.7%増の36,678百万円と過去最高額が積み上がっている。これらの受注残高は2024年5月期以降、安定して同社の業績を支えていくことが期待される。
不動産売上高は、前期比71.2%減の3,869百万円、不動産売上総利益が同56.0%減の632百万円だった。2023年5月期の下期においても東京都墨田区、福岡県北九州市小倉北区、愛知県名古屋市中区、東京都文京区などの案件を売却したものの、事業用地の成約件数が想定を下回った。加えて、案件当たりの規模も縮小したことが響いた。また、2023年5月期中に売却を予定していた北海道札幌市西区の案件に関しても、2024年5月期に持ち越しとなった。2023年5月期においては不動産売上が低調だったものの、2024年5月期において、用地の確保に注力し、V字回復させていく方針だ。
共同事業収入は前期比253.0%増の1,119百万円、共同事業収入総利益は同1,850.0%増の351百万円だった。共同事業案件が順調に拡大するなかで、売上・利益が揃って拡大した。その他の売上高は、同136.9%増の758百万円、その他の売上総利益は100百万円(前期は2百万円の損失)だった。
なお同社は、2023年5月期から連結決算に移行したことに伴い、従来の「分譲マンション建設事業」のみの単一セグメントから、報告セグメントを「建設事業(建築工事)」「不動産事業(不動産売買・仲介・販売代理)」の2セグメントに変更している。セグメントごとの業績は、建設事業の売上高とセグメント利益がそれぞれ19,796百万円、2,242百万円、不動産事業の売上高とセグメント利益がそれぞれ4,994百万円、683百万円、その他(設計監理・不動産賃貸マンション管理運営)の売上高とセグメント利益がそれぞれ752百万円、3百万円となっている。また、前期比増減率は参考値として記載した。
新規の取引先に関しては、大和ハウス工業<1925>とナイス<8089>と新たに取り引きを開始した。これを受け、取引先は36社まで拡大している。
2. ファーストエボリューション(株)
既出のとおり同社は、2020年11月に設立したファーストエボリューションを連結子会社とする連結決算を2023年5月期末から開始している。ファーストエボリューションはウェルビーイングシティ構想に基づく分譲マンションブランド「CANVAS」における販売代理業務ならびに施設運営及び入居者への各種サービス提供を目的に設立された会社であり、具体的にはマンションサービス運営、飲食事業、介護事業、小売店事業・ECサイト事業、分譲販売事業などを手掛けている。ファーストエボリューションを中心に今後は、入居者のニーズに応えるサービスを拡充し、分譲マンションブランド「CANVAS」の魅力を継続的に高めていく方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《YI》
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