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エネクス Research Memo(9):会社予想に対して上振れで着地の可能性が高いとみるが、リスク要因も存在

特集
2018年1月5日 15時09分

■今後の見通し

1. 2018年3月期通期見通し

2018年3月期について伊藤忠エネクス<8133>は、売上高1,150,000百万円(前期比11.8%増)、営業活動に係る利益16,500百万円(同16.2%減)、税引前利益17,800百万円(同8.0%減)、当社株主に帰属する当期純利益10,400百万円(同5百万円減)と増収ながら減益を予想している。これらの予想値は期初予想から変更はない。

今第2四半期決算の通期予想に対する進捗率が高かった結果、今通期予想達成のために必要な今下半期の業績のハードルは大きく低下した。今下期の営業利益は前年同期比40%減益、税引前利益は同20%減益で十分届くという状況だ。同社の業績は季節性から下半期偏重の傾向がある点を踏まえれば、同社の通期予想は控え目に過ぎ、会社予想に対して上振れの期待が高まるのも当然と言えるだろう。

弊社では会社予想を上回る着地となるという見方を基本シナリオとしているが、一方で過度の利益上振れを期待するのは避けるべきと考えている。詳細はセグメント別見通しで後述するが、各事業セグメントそれぞれに利益変動要因が存在している。

事業セグメント別の注目点は以下のとおりだ。

(1) ホームライフ部門

ホームライフ部門の中のLPガス事業は、暖房需要が出てくる下半期に需要期を迎える。需要量は天候に大きく左右され、とりわけ気候温暖な西日本における気温が需要を大きく変動させる。価格については原料価格(CP)と販売価格の価格差は原料費調整制度で一定幅が保たれるため、期中の変動はあまり大きな問題ではない。しかし、期首・期末の価格差は在庫影響額として損益に大きな影響を与えるので注意が必要だ。9月のCPは480ドル/トンであったが、11月のCPは575ドル/トンにまで上昇している。仮に2018年3月までこの水準が続けば、在庫影響額は大きな利益押し上げ要因として働く可能性がある。ここまでは順調だが、天候要因もCPも、下方にも動きやすい点で警戒が必要だ。

ホームライフ部門のもう1つの注目点は、10月1日にスタートしたエネアークを初めとするLPガス事業再編の効果だ。売上高については、商圏がそのまま維持されるため想定どおりに進捗すると期待される。一方利益は事業統合で経費節減がどの程度進むかで変わってくる。今第2四半期において8億円を超える持分法投資損失を計上済みであるため、下半期にはプラスの利益取り込みになると弊社では推測している。同社が傘下に収めた北海道と四国(愛媛・高知)のLPガス販社についても、売上高は前期と同水準(3社合計で約162億円)が期待され、利益についても統合効果の発現でプラス貢献になると弊社ではみている。

(2) 電力・ユーティリティ部門

電力・ユーティリティ部門では10月1日から仙台パワーステーション(仙台PS)が営業運転を開始した。出力は11.2Kwで同社は持ち分に応じてその半分を引き取る。仙台PSの稼働により同社の発電能力は約30%近く増加することになる。しかしながら、これがそのまま同社の電力販売量の増加にはならないことに注意が必要だ。

同社は仙台PSの稼働を見越して、販売先の確保に努めるとともに、その分は外部電力の調達などで対応してきた。仙台PSの稼働後は外部調達分を仙台PS分に切り替える形となるため、電力販売量は仙台PSの稼働分だけ増えることにはならない。

電力事業については、石炭(燃料炭)価格の上昇に注意を払う必要がある。石炭価格の上昇は利益にはプラス方向に作用する面もあるが、卸売市場向けの取引量が減少する可能性もある。また小売市場においては、大手電力会社の巻き返しが強まってきており、1年契約の更新時期が近づきつつあるなか、油断はできない状況だ。同社は、ベイ・コミュニケーションズとの提携の本格稼働や、LPガス販社を通じた家庭向け電力販売の加速などを通じて、小売電力量の成長を維持し、電力事業の収益拡大ペースを維持していく方針だ。

(3) 生活エネルギー・流通部門

生活エネルギー・流通部門では今下半期も不採算CSの閉鎖などの事業再編を粛々と進める方針だ。しかしながら部門全体の事業構造改革の効果については、今下半期は上半期(第2四半期累計)実績に比べて縮小すると想定しておく方が無難だろう。理由は、今年4月の組織再編で加わった産業用燃料(重油など)やフリート(トラック用軽油など)などの事業における経費節減効果が一服するとみられるためだ。

生活エネルギー・流通部門の今下期は、外部要因の変化にも注意が必要だ。上期の収益改善には元売り再編でもたらされた需給ギャップ解消とそれによる市況安定化の効果も大きかったが、この状態が今後も持続するという保証はないためだ。弊社では今下期も上半期と同様の外部環境が続くとみているが、同社自身はこの点に関する警戒を緩めてはいない。

日産大阪販売は、今上期は前年同期対比で増収増益要因として働いたが、下半期は一転してリスク要因となりそうだ。理由は日産自動車<7201>の完成検査問題だ。各店舗で検査のやり直し等に取り組んでいるため、本来の営業活動などが遅れている状況だ。赤字転落に至るほどではないにしても、前年同期比では減益となる可能性は想定しておくべきと弊社では考えている。

(4) 産業エネルギー・流通部門

産業エネルギー・流通部門は主力商材のアスファルトが公共投資関連ということで需要期を迎える。今上半期のアスファルト販売量は前年同期比プラスとなったが、今下期も同様の傾向が続くと弊社では期待している。

一方、需給ギャップ解消による石油製品の需給取引減少という状況は今下期も継続しそうだ。市場の安定が崩れれば需給トレードが再度増えてくる可能性もあるが、それは反面では生活エネルギー・流通部門にとってマイナスになる可能性がある。同社全体で見たときは、市場安定化のプラスメリットの方が大きいというのが弊社の考えだ。

同社が進める複数の新規ビジネスのうち、フライアッシュ事業が今第2四半期にスタートしたことで、後に続く他の新規事業への期待が高まる。スロップや再生油についてはフライアッシュと同様の時間を積み重ねてきており、事業化は近いと期待されている。フライアッシュ事業もエリアの横展開など、まだまだ成長余地は大きい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《MH》

提供:フィスコ

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