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NECキャピ Research Memo(8):次世代循環型社会に向け収益力向上とサステナビリティ経営の推進を加速(2)

特集
2024年6月10日 14時08分

■今後の見通し

2. 中期計画2025の進捗状況

(1) 中期計画2025の概要

NECキャピタルソリューション<8793>は、2023年4月に新たなグループビジョン2030「次世代循環社会をリードするSolution Company」を実現するための第1歩と位置付けられる「中期計画2025」を発表した。このビジョンでは2030年以降を「次世代循環型社会」と位置付け、資源効率化の向上による環境負荷低減のみならず、資源を循環し続ける世界、その循環利用から新たな価値を生み出し続ける循環型経済社会を想定している。同社ではこの循環型経済社会の実現に対応するため、2030年度において「当社らしい循環型サービスの収益確立」を実現すべく、次期中期計画(2026-2030年度)において循環型サービスを発展させるという計画を立案しており、中期計画2025は第1段階として「当社らしい循環型サービスを創出」する時期と位置付けている。

中期計画2025(2023-2025年度)においては、2025年度において当期純利益100億円、ROA0.9%、ROE8%を達成する財務目標を掲げたほか、カーボンニュートラル実現に向けたCO2の削減、社会インフラ整備の推進、ICTビジネス拡大に伴う循環利用の促進、気候変動対応の推進等のベンチマークとしてCO2の2022年度実績比20%削減等の非財務目標も設定した。中期計画2025の事業戦略は、3つの事業戦略と経営基盤強化戦略で構成され、前中期計画の「コア領域の拡充」「新事業の収益化」「事業戦略を支える経営基盤の強化」の取り組みで残された課題の解決を図りながら、新たな価値を創出することを目指す。

(2) 進捗状況

1) 事業戦略(1) サービス事業の拡大、新たな循環型サービスを創出

太陽光発電に関する新たな取り組みや協業を拡大した。例えばコーポレートPPAについて、2023年10月にオクトパス・エナジー・ジェネレーションが運用するグローバルファンドの支援を受ける四ツ谷キャピタル(合)との間で日本市場におけるオフサイトコーポレートPPAの開発に関する協業について合意した。2024年3月には、しろくま電力(株)とオンサイトPPAの共同事業を開始した。具体的には同社としろくま電力との間で(合)NaFを設立し、需要家向けに太陽光発電による電力を供給する。第1号案件として、(株)ヨロズ大分に電力供給を開始した。PFIについては、受託案件数は計画を上回って推移しており、同社が代表企業となる案件も進展している。ヘルスケアウェアハウジングについては、商流の多様化により案件を積み上げ、期中収益の増加、物件売却による売却益計上を実現している。コーポレートアドバイザリーについては、日本M&Aレビューにて日本企業関連の公表案件及び完了案件数でランクインするなど、着実に成果を挙げている。新たな循環型サービスの提供に向けては、ICT領域におけるサブスクリプションモデルや付加機能の拡充に向けた具体的な案件の検討に着手している。

2) 事業戦略(2) 注力事業への戦略的投資による成長加速

ICT関連サービス事業は着実に伸長しているが、さらなる高付加価値化に向けてPC-LCMサービスの利用拡大を推進するとともに、顧客のIT資産管理などの付加価値をもたらすサービスの提供を進めている。また、前述のようにファイナンス事業においては金融プロダクト領域の拡大を推進している。LBOやエクイティ等の共同投資の取り組みを進めることによって着実に収益拡大の裾野は広がっており、収益性の高い資産への入替が進んでいる。インベストメント事業については、リサ・パートナーズにおける収益安定化や持続的な成長投資に向けて、大型のインカムゲインアセットの取得を順調に進めている。

3) 事業戦略(3) ベンダーファイナンスの強化及び顧客基盤拡充

顧客基盤拡充については引き続き官公庁との強固な関係に基づき、複数の大口案件を獲得して紐帯強化を図った。また、NECをはじめとするベンダーと連携したクラウドサービス等の月額提供モデルの取り組みや、ベンダー支援のためのファイナンス・プログラム提供案件を取り扱うことで収益機会の拡大につなげている。

4) 経営基盤強化戦略

DX事業者としての認定更新やその推進のための「DX推進室」の設置、CDP気候変動レポートにおける「A-」スコアの獲得、健康経営優良法人2024の認定取得など、各種施策は順調に進捗中である。

(3) 非財務目標の進捗状況

同社は前述のグループビジョンの下、事業活動そのものが社会価値を創造すると同時に、企業として求めるべき経済価値を創出し、社会と企業双方に共通の価値を生み出すCSV経営を推進している。グループビジョンのゴールは2030年度であるが、その第1段階として中期計画2025においても非財務目標を設定し、マテリアリティ(組織の重要課題)と事業戦略の結びつきを明示している。非財務目標は「環境・社会課題」に関する5項目と「人的資本」に関する2項目からなるが、中期計画の初年度である2024年3月期においてはいずれの項目も2023年3月期の実績以上の成果を挙げており、中期計画上もおおむね計画通りの進捗を見せている。

DX 人材育成の強化に向けた取り組みとして、2024年5月には、DX推進の加速に向けて、DX人材の育成強化を目的とする全社的な教育プログラムを開始すると発表した。2022年4月から同社は経済産業省の「DX認定制度」に基づく「DX認定事業者」に認定されており、社員のITリテラシーの向上に努めた結果、社員の約4割がITパスポート※を取得している。今年度から実施する教育プログラムは、「DX の必要性と、業務の生産性を向上するための基本的な考え方を身に付ける」「日常的な業務用 IT ツールを使いこなし、業務の効率化と品質向上を図る」「データに基づいた意思決定の方法や業務プロセス改善に必要なツールの使い方を習得する」の3つを目的としている。

※ITや経営全般に関する社会人に必要な基礎知識を身に付けることができる国家試験

DXを強力に推進することで、業務の効率や収益性の向上に加え、グループビジョン実現につながる新たなビジネスを創出する基盤の構築を進める。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《AS》

提供:フィスコ

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