すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 amaさんの場合-第1回

イラスト:福島由恵

■amaさん（ハンドルネーム・60代・男性）のプロフィール：
定年退職してから配当収入で暮らしている専業投資家。株資産は2億円弱で、直近1年間の配当は800万円になる。その投資スタイルは、ファンダメンタルズ重視で選んだ1銘柄を超長期で運用する集中投資だ。経営および事業分析を得意とし、サラリーマン時代に新規事業の開発部門を担当してきた経験が強みとなっている。趣味はゴルフ。週3回のペースでラウンドをして、週2回は打ちっぱなしに行くほどの熱中ぶりだ。「株探アンケート～24年の日本株戦略」の回答者で、投資スタイルは「グロース重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。

今回登場するamaちゃんさん（ハンドルネーム、以下amaさん）は、定年退職後にゴルフを楽しみながら、足元では800万円の配当収入で悠々自適に暮らす億り人だ。

「配当収入で悠々自適」というと、そのポートフォリオは安定性を重視していくつかの大型株に銘柄分散するというイメージが浮かびがちだ。だが、amaさんは、その真逆ともいうべきスタイルを取る。

運用額は3億円弱。そのほとんどを中小型グロースの1銘柄に集中させている。加えて、集中投資する現物株を担保にして、同じ株に信用買いを入れる「信用2階建て」のポジションを取っている。足元の現物株の時価は約2億円。それを担保に、1億円相当の信用買いポジションを組んでいる。

amaさんがリスクの高い信用2階建てで運用するのが、トランクルーム運営大手のエリアリンク<8914>だ。現在のスタイルで同社株を運用し始めたのは、2021年の春頃。以降、同社株は期待通り、上昇基調を維持してきたこともあり、足元の含み益は1億2500万円になる。

信用2階建ての集中投資はリスクが高い。そのことは投資歴が20年以上になる本人も十分に承知している。それでも、このスタイルで勝負を続けるのは、過去の失敗からの学びや会社員時代の経験を生かして、同社の業績動向を定点観測し、成長路線に変調がないかを見極める手法を築いていることがある。

そんなamaさんの投資手法を3回に分けて見ていく。1回目はエリアリンクを配当期待で保有しながらも、さらに信用2階建てで勝負を続ける理由について見ていく。

■エリアリンクの週足チャート（2020年末～）

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同

主力は、トランクルームの賃貸経営

エリアリンクの主力事業は、トランクルームの賃貸経営だ。主に、地主から借り上げた土地にコンテナ型のトランクルームを建てて、自社所有で賃料収入を得ていく。一方のコストは、地主に支払う賃借料になる。

前期の2023年12月期のセグメント売上高は174億2300万円と会社全体の78％、セグメント利益は45億6300万円で同85％と大部分を占めている。

■トランクルーム賃貸の「ストレージ事業」が全体業績に占める割合

出所:エリアリンクのIR資料。　注:2023年12月期、営業利益は調整前

同社はトランクルームを北海道から沖縄まで10万室以上を運営している。国内の市場シェアは、22年時点で17％超（室数ベース）と、同社によれば「業界最大手」の位置づけとなる。

エリアリンクとトランクルームを利用契約している8割が個人で、その用途は仕事道具や趣味スペースの確保、引越し時の荷物の保管などとなっている（22年時点）。

■エリアリンクが出店したコンテナ型のトランクルーム

提供：エリアリンク

エリアリンクは「まさに理想の銘柄」

トランクルームの賃貸ビジネスを柱とする同社株は、配当狙いのamaさんにとって「まさに理想の銘柄」だという。その理由は、

・安定的な配当を生み出す収益モデル

・成長路線に変調がないかの見極めが可能

――の2つの条件を兼ね備えているためだ。

下の図のように、エリアリンクは、過去に減配や無配となった時期もあるが、2020年12月以降、配当は増加基調を維持している。同社は2015年12月期から配当性向30%を目標に掲げている。

そんな同社にamaさんが、配当を狙いつつ信用2階建てで集中投資をしているのは、今後も持続成長する確実性が高いと見立てているためだ。それは、どのような分析から下した判断なのか。

■『株探』プレミアムで確認できるエリアリンクの修正1株配当の長期推移

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

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