すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 土志田剛志さんの場合-1
ボラの高いバイオ株で30億円以上を築いた「手堅さ」
登場する銘柄:そーせいグループ <4565> 、ラクオリア創薬 <4579>
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
日頃は弁護士として活躍する兼業投資家。2007年から繰り返して投資を手掛けたバイオ株のそーせいグループ <4565> の株価大幅上昇に乗り、約10年で資産は30億円に到達。投資分野を絞り込んで自身の知識と分析内容を継続的に深め、適正株価を見極めながら投資する方法が実を結ぶ。現在のポートフォリオは全体の約3分の2を値上がり益狙い、残りを配当や魅力的な銘柄に配分し配当収入は年間2000万~3000万円になる。
シリーズ4人目のすご腕投資家さんは、ひとたび注目を浴びると株価が10倍や20倍に「大化け化」することもあるバイオ株やゲーム株狙いで成功した土志田剛志さん(仮名)。数百万円で株式投資を始め、仕事を続けながらも約10年で30億円以上の資産を築いた腕の持ち主だ。
代表的な成功銘柄はバイオベンチャーのそーせいグループ <4565> 。現在のポートフォリオでもバイオ関連のウエイトが高い。値上がり益狙いでは全体資産の3分の2を配分し、その大半を2016年末から購入した創薬ベンチャーのラクオリア創薬<4579> [JQG]に集中させている。
■ラクオリア創薬の株価チャート(月足ベース)
バイオ株やゲーム株で資産を築き、現在も赤字決算が続くラクオリア創薬に巨額の資金を投じていると聞くと、土志田さんの取引は「投資というより投機ではないか」という印象を持つ人もいるだろう。
しかし、「借金を抱える危険を伴う信用取引は、絶対やらない」と強い口調で語る姿が象徴するように、土志田さんの銘柄選びは投機とは一線を画する。ファンダメンタルズをじっくり分析し、長期に資金を寝かせる覚悟を持った上で大化けを狙っており、株価変動の波を取って差益を稼ぐようなデイトレ取引は行っていない。
5つのキーワードで選ぶ候補銘柄
では土志田さんは、どのようにして大化け候補銘柄を選んでいるのだろうか。その選択基準をキーワードで示せば(1)美人投票(2)小型(3)高成長(4)持続(5)割安――の5つになる。現在、保有しているラクオリア創薬を例に見ていこう。
最初に挙げた「美人投票」は、有名な経済学者であるジョン・メイナード・ケインズが株式投資の本質を表現した例え。株式投資は多くの投資家が値上がりすると判断する銘柄に乗ることが有効な投資法であるという考えだ。
土志田さんがバイオ株とゲーム株に注目するのは、新製品開発などの材料が出ると多数の投資家から一気に注目が集まり、株価が吹き上がる傾向があることに気づいたからだ。大型株で投資を始めた土志田さんは当初、思うように成果を上げられずにいた。
「なぜうまくいかないのか」。悩みながら株式市場を眺める日々を送りながら、ある時、株価が急に動意づく銘柄があることに気づいた。それがバイオ銘柄で、そこから医薬株を勉強して掴んだのがそーせいグループ株だった。
バイオ株に注目したのは、土志田さん自身が幾多の医療サービスや医薬品に支えられた経験があるのも重要なポイントの一つ。今度は自分が投資家という立場から、多くの患者を救う高度な医薬品の発展を応援したいという思いもあった。また医薬品は世界が高齢化していく中で中長期的に需要が伸びる分野という期待感もある。
ラクオリア創薬は厳密にいうとバイオ銘柄ではないが、創薬を手がける銘柄はバイオ関連銘柄と同様に新製品開発を材料に株価が動意づきやすいこともあり、投資対象に含めている。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。