ポイントサービスに新時代の風、消費増税で“商機”膨らむ銘柄を追う <株探トップ特集>

特集
2019年4月25日 19時30分

―キャッシュレス決済の裏テーマ株、ポイントサービス関連が上昇点火へ―

現在、多くの人の財布に入っているポイントカード。特定の企業や店舗・サービス内で利用できる「独自ポイント」だけではなく、業種や業態を越えた店舗で利用できる「共通ポイント」など、さまざまなサービスの普及が進んでおり、現在は「国民皆ポイント」時代といえる。「共通ポイント」への加盟企業の増加を背景に、市場も拡大を続け、約2兆円に達しようとしている。

私たちの生活にとって当たり前になりつつあるポイントサービスだが、キャッシュレス決済 との親和性の高さが今注目されている。10月の消費税増税を控えてキャッシュレス決済への関心が高まるなか、ポイントサービス関連にも改めて注目したい。

●多くの人がポイントサービスに加入

日本で初めてバーコードを用いたカードによってポイントカードの使用を始めたのは、家電量販店のヨドバシカメラ(東京都新宿区)といわれているが、現在はカード会社や通信会社、コンビニエンスストア、スーパー、百貨店、ショッピングモール、航空会社などポイント発行業者はさまざまな業種に及んでいる。

会員数1億人以上を数える楽天 <4755> の「楽天スーパーポイント」をはじめ、三菱商事 <8058> やローソン <2651> 、リクルートホールディングス <6098> などが運営し、会員数約9000万人を数える「Ponta」、会員数約7000万人に達しようとするNTTドコモ <9437> の「dポイント」やCCC(東京都渋谷区)の「Tポイント」など、会員数が5000万人を超えるサービスも増えており、多くの人が何かしらのポイントサービスに加入しているのが現状だ。

●顧客囲い込みにビッグデータ獲得効果も

ポイントサービスは、ポイント還元による値引きという消費者にとってはある種の“おまけ”のような存在だが、加盟企業にとってのメリットは大きい。

第一に、顧客を囲い込むマーケティングツールとなることだ。ポイントを貯める・使えるようにすることで、顧客を呼び込み・囲い込みしやすくなる。「共通ポイント」も同様で、加盟店が多種多様であればあるほど顧客の利便性は高くなり、「ポイント経済圏」に誘導することができるようになる。

第二に、顧客属性や購入履歴などのビッグデータの獲得にもメリットを発揮する。会員がさまざまな場所でポイントカードを利用することで、その都度多くのデータを入手でき、企業側はこれを効率的なマーケティングや新商品の開発などにつなげることができる。

●キャッシュレス決済との親和性

最近では、ポイントを「投資」や「資産運用」に活用できるサービスも続々登場するなど、今なお進化しているポイントサービスだが、今年10月に予定されている消費税増税に関連して脚光を浴びる可能性がある。

政府は消費増税に伴う景気対策として、クレジットカードや電子マネーなど現金以外の支払い方法により中小店舗で買い物をした消費者に、政府の補助でポイントを付ける政策を打ち出しており、キャッシュレス決済の拡大に伴いポイント発行額も増加が見込まれている。また、一部のポイントサービスにとっては、これまで取り込めていなかった顧客を獲得できる可能性もある。こうしたことを背景に今後、ポイントサービス関連銘柄への関心も高まることになりそうだ。

●ポイント投資で話題

関連銘柄として注目されるのは、前述のポイントサービス運営会社だ。特に楽天スーパーポイントを運営する楽天は、IDを一度作成すれば、IDとパスワードを入力するだけで楽天カードや楽天ペイなどクレジットカードからQRコード 決済までの多様な決済手段が利用できるというメリットがある。利用店舗もオンライン、リアル店舗ともに多く、関連銘柄の代表格といえる。

また、NTTドコモのdポイントは2018年の1年間でポイント利用が35%増え、提携店舗数が2.0倍に拡大した。スマートフォンのアプリに表示されたQRコードで買い物をする「d払い」のアプリダウンロード数も順調に増加しており、利便性が高まることで、更に会員数を増やしそうだ。

両社ともに「ポイント投資」を行っている点にも注目。ポイントを元手に実際の金融商品(投資信託)を購入する楽天と、疑似投資体験によりポイントが増減するドコモとそのタイプには違いがあるものの、最近話題になっているだけに会員獲得に貢献しよう。

●ポイントサービスとSNSとの連携も

「LINEポイント」を運用するLINE <3938> が18年6月に開始した「LINEポイントコネクト」は、SNSとポイントを連携させたサービスで、ユーザーは店舗のアカウントと友達になり、店頭のQRコードをスマホで読み取って会計時に見せるとポイントが付与される。店舗側にとってはLINEを利用して、セール情報やクーポンを送って販促を行い、来店動機につなげることができるというメリットがある。

また、自社ブランドで発行が可能なハウス電子マネー(プリペイドカード)発行システムを手掛けているバリューデザイン <3960> [東証M]は、キャッシュレス決済との連携などに注力することで、導入店舗数を着実に積み上げている。19年6月期は投資計画の前倒しで営業赤字見通しだが、売上高は増収基調を維持している点が注目できる。

このほか、ポイントカードなどのカード製造を手掛けるカーディナル <7855> [JQG]や、サイトで貯めたポイントを他のポイントに交換できることからビジネスチャンスが拡大しそうなセレス <3696> も関連銘柄として要注目だ。

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