ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (22)上昇銘柄ピックアップの鉄則!投資判断を惑わす罠を回避しよう

特集
2020年6月12日 9時30分

移動平均線を活用して上昇基調の銘柄を探す

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆売られ過ぎ銘柄の修正の動きをキャッチ

好業績銘柄で、かつ上昇基調にある銘柄を探すことができたとしましょう。でも、株価がこれから本当に上昇するのかはやはりわかりませんし、できれば、少しでも安く買って儲けを大きくしたいものです。そこで活用したいのが「25日線マイナスカイリ(-10%)以上」です。

株価は移動平均線に吸い寄せられるように動くことが一般的です。移動平均線から大きく離れることはあっても、やがてその動きは修正されて移動平均線の水準へと戻っていきます。

ですから、株価が移動平均線からどれだけ離れているかを表すカイリ率(株価÷移動平均線×100〔%〕)がプラスになって大きくなればなるほど、株価は買われ過ぎていると考えることができ、いずれは移動平均線に吸い寄せられて下落することになります。

反対に、マイナスになってマイナスの数値が大きくなればなるほど株価は売られ過ぎと考えることができ、いずれは移動平均線に吸い寄せられて上昇することになります。一般的に、25日移動平均線からのカイリ率がマイナス10%以上になると売られ過ぎの水準であるといわれています。そのため、マイナスにカイリしている銘柄の中から、買いのタイミングが近づいていそうな銘柄を探すのです。前述した「移動平均線上昇トレンド銘柄」の一覧表にも「25日線カイリ率」「75日線カイリ率」「200日線カイリ率」が表示されていますので確認するとよいでしょう。

ただ、マイナス10%を超えても株価が下げ止まらずに下落してしまう場合があります。たとえば、コロナショックで株式市場が暴落した時、日経平均株価はマイナス20%超までのカイリが発生しました。株価がどこで下げ止まるのかは誰にもわかりませんから、教科書通りにいくとは限らないという点には注意しましょう。

図4 25日線マイナスカイリ(-10%)以上

【タイトル】

なお、今回は株を購入するという視点で「買いの候補」について詳しく解説しました。「売りの候補」ではこれから値下がりする可能性のある銘柄を一覧で表示していますから、それぞれの項目を反対にして考えればよいでしょう。

私たち投資家の多くにおいて、地合いの良し悪しが感情に影響を与え、そして日々の売買にも影響を及ぼします。今回ご紹介した移動平均線のクロス、トレンド、カイリは広く投資家に知られているツールで、冒頭に触れた「他の投資家にもカンタンに把握してもらえるもの」という条件を満たしています。買われて(売られて)いく銘柄を探すために、また感情に左右されずに客観的に株価の動きを判断するためにも、これらのテクニカル指標を活用してみるのもよいかもしれませんね。

次回も、グローバルナビにある「銘柄探検」のその他の項目について解説していきます。

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