明日の株式相場に向けて=東証「終日売買停止」の衝撃と市場の声

市況
2020年10月1日 15時51分

名実ともに10月相場入りとなった1日の東京株式市場だが、下期相場の幕が上がったタイミングでとんでもない事態が待っていた。朝方の取引開始直前になって東証で配信システムに障害が発生したことが明らかとなり、全銘柄の売買を停止する異例の事態となった。しかも、原因究明に時間がかかり復旧のメドすら立たない状態が続き、結局、前場の取引時間帯終了後の昼になって、終日取引停止を決定した。

2005年11月1日にメリルリンチ日本証券の誤操作によって短時間で大量の通信電文が発生してしまい、コンピュータプログラムに支障が生じ、東証の全上場銘柄の取引が停止したことがある。その時は午後1時30分から取引を開始したが、今回は前引け時点でも復旧の見通しが立たず、結果的に後場の取引も行えない状況となった。

加藤官房長官は1日午前の記者会見で「マーケットの重要なインフラである取引所で取引ができなくなるのは投資家にとって取引の機会が制限される。大変遺憾」と述べたことが伝わっているが、市場では「『取引所で取引ができなくなれば取引の機会が制限される』というのは当たり前すぎる話で、遺憾に思うのはそこではないはず。サイバー攻撃の可能性については否定されているが、今回のシステムダウンが原因不明で再開もできずというのは海外に向けては、恥ずかしい話ではある」(国内ネット証券ストラテジスト)という批判的な意見もあった。

また、きょうから中国では国慶節に伴う大型連休が始まったが、中国や香港、韓国などアジアの主要株市場は総じて休場であり、「欧米からみれば日本も国慶節で休場だったのかと勘違いさせるかのような絶妙のタイミング」(国内投資顧問ストラテジスト)でもあった。ただ、「個別企業のファンダメンタルズには何の影響も及ぼさない。今回の件で日本株売りの端緒となることはない」(同)という見解で、これについては同様の意見が複数の市場関係者から聞かれた。

なお、きょうは終日売買停止にもかかわらず、寄り付き段階で日経平均が前日比19銭安の2万3184円93銭で値がついていることについては日本化薬<4272>とソフトバンク<9434>の日経225銘柄入れ替えに伴う除数の変化分が反映されたもの。

こうしたなかも、先物は粛々と商いをこなしていた。本体不在で尻尾だけが左右に振られているような状況だが、2万3000円台前半で強含みに推移していたのは救いだった。これが、米大統領候補の討論で後場大きく売り込まれた前日のような相場環境であったら大変だった可能性もある。「先物のポジションをとっている投資家にとっては、現物市場がフリーズした状態で裁定が働かないため、流動性の低下に伴いボラティリティが急激に高まることも警戒され、気が気ではなかったはず」(中堅証券ストラテジスト)という指摘が出ていた。

なお、東証は売買停止までの間に受け付けた注文については、すべてあす以降の売買には引き継がれない。また、ToSTNeTでは8時56分までに受け付けた注文については、約定が成立しており、すべて約定通知が配信されていると発表している。

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2020年10月01日 16時00分

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