横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (11)株価の急騰急落を分析する際に活用したいチャート分析
◆売られ過ぎ、買われ過ぎを判定するRSI
では、下段に表示されている「出来高」を「RSI」のチャートに変更してみましょう。変更の仕方ですが、期間の2つ下にある「指標 エリア2」欄にある「RSI」のボタンを選択することで「出来高」から「RSI」に表示を変更できます。
「RSI(アールエスアイ)」はRelative Strength Indexの頭文字を取った略称です。過去一定期間(以下、n日間)の株価の上昇幅と下落幅における、上昇分の割合を表すテクニカルチャートです。計算式を見るとわかりますが、n日間の上昇幅を、上昇幅と下落幅の合計で割っていますので、上昇分の値幅が全体の変動値幅の何%にあたるのか、その比率を表します。RSIは「相対力(性)指数」とも言われ、株価が買われ過ぎか、売られ過ぎかを分析するオシレーター系の代表的なテクニカル指標の一つであり、私も普段使っています。
オシレーター系のテクニカル指標は、株価が上昇から下落に変化するタイミングや、下落から上昇に変化するタイミングを比較的早い段階でとらえることができます。特に株価が一定の幅で変動している「もみ合い(横ばい)相場」や、株価が下落している時に一時的に上昇するリバウンド局面などで利用すると、売買サインが有効に機能しやすいと言われています。一方で、株価が一方向に動く上昇トレンドもしくは下降トレンドにある場合には、売買サインの信頼性は低くなると言われています。
▼RSIの計算式
RSI=n日間の上昇幅の合計÷(n日間の上昇幅合計+n日間の下落幅合計)×100(%)
RSIは0%から100%の数値で表され、その数値で買われ過ぎ、売られ過ぎを分析します。RSIは1本線(青色)で表示され、株価が上昇するとその数値は上昇していきます。反対に、株価が下落するとRSIの数値も下落していきます。一般的には「30%以下になると売られ過ぎ」、「70%以上になると買われ過ぎ」とされています。
ただ、株探のRSIのチャートを見ると、右側の目盛りに数字「0」「40」「80」と記載されています。経験則的に売られ過ぎの30%を割り込むことは少ないですから、30%ではなく緩めの40%を目安にしたのでしょう。また、買われ過ぎの70%を上回ることはそこそこありますので、厳しめの80%を目安にしているのでしょう。
●図2 日経平均株価 多機能チャート 日足・RSI
株探のRSIのチャートを見ると、2021年に入ってからは、70%を超えて80%に近づくといったん目先の天井を打ちやすいこと、反対に40%を下回って30%に近づくような動きになると目先の底になりやすいようだと分析することができます。なお、RSIの数値の詳細が知りたい場合には、カーソルをRSIのラインに合わせることで左にある囲みの中にRSIの数値が表示されますので、確認してください。
チャートでは8月20日の金曜日以降、翌週から株価は窓を空けて上昇し、2万7000円台で推移していることがわかります。この時のRSIは株価の下げ止まりとともに40%台から50%台に向けて上昇し始めます。RSIは0%から100%の範囲で過熱感のレベルを表しますから、50%はちょうど真ん中トントンだと考えられるでしょう。
結果的には、選挙モード突入という事態になったこともあってさらなる上昇となりましたが、株価が2万7000円台まで窓を空けて上昇した時に、RSIが買われ過ぎでも売られ過ぎでもないトントンのレベルだったという状態を踏まえると、短期的にはまだ上値余地が期待できるかもしれないという風に分析することもできるわけです。結果論ではありますが、80%を超えて過熱感がある「買われ過ぎ」の状態までRSIは上昇しました。
ただ、これとは逆に株価が節目を割り込んで悲壮感が漂い出すと、「まだまだ下がるかも」などと不安になる人も多いことでしょう。買った後に株価が下がれば損失になるのですから、投資家としては当たり前の感情だと思います。しかし、こうした感情論だけで株式市場を見ていては買い時を逃してしまいかねません。株価の下落で悲壮感にとらわれて冷静に相場を分析できなければ、株価が反転するタイミングで買えないばかりか、まさに底を打ったそのタイミングで株を売ってしまうことにもなりかねません。
とはいえ、今回ご紹介したRSIだけを見て売買を判断していくことは難しいでしょうから、前回解説した信用取引の動向などを活用して、複数の指標から株式市場の地合いを推し測り、売買タイミングを分析していくようにしましょう。
▼前回の記事 「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (10)信用残や全体の地合いを確認して、株価の動きを分析しよう
株探ニュース