横山利香「ボラティリティ高まる2022年、“新テーマ銘柄”が人気化する兆しを捉えよう!」 <新春特別企画>
新型コロナウイルス感染症の恐怖が株式市場を襲った2020年のコロナショックから2年を迎えようとしています。いまだに新たな変異株が猛威を振るう状況が続いていますが、ワクチンや飲み薬などが登場したことで、2022年は世界が新たな日常生活を徐々に取り戻していくことになるのでしょう。
予想外に長期化したコロナ禍ですが、これにより世界の株式市場は各国が打ち出した金融緩和政策の恩恵を大きく享受しました。日本市場に影響を及ぼす米国の株式市場は、世界中の余剰資金が流入したこともあり、2021年を通して10%以上下落することがない低ボラティリティの年となり、買えば儲かる地合いが継続しました。そして、日経平均株価も1年を通して見れば2万7000円から3万円水準でのレンジ相場が続き、レンジ下限で買って上限で売れば、それなりのパフォーマンスが得られたという年になりました。
コロナが流行したこの2年間を振り返ると、2020年は「三密」の回避に代表される自粛生活が浸透し、オンラインショップや動画配信サービスといった巣ごもり関連やテレワーク関連の銘柄が世界的に関心を集めました。翌21年はコロナに起因する供給制約が問題となり、海運などのサプライチェーン関連の銘柄が賑わうなど、この2年ほどはコロナに関連した銘柄が株式市場で注目を集めてきたと言えるでしょう。まさに、コロナ一色の2年間でした。
しかし、私たちはいま日常生活を取り戻す方向に動き出しています。それは裏返せば、非常時の対応であった緩和的な金融政策が出口に向かって動き出すことを意味します。米国など一部の国はすでにインフレ懸念が顕在化する中、量的緩和の縮小に舵を切っています。
また、ワクチンや治療薬の普及により脅威は薄れていくにしても、コロナは私たちのライフスタイルやビジネスに様々な変化をもたらし続けており、この新常態(ニューノーマル)に合わせたテーマが今後ますます登場していくことになるでしょう。
◆逆転の発想、チャートによる銘柄発掘を起点に
前述のように世界各国が金融政策の正常化に向けて歩み始めたことで、2022年はファンダメンタルズが変化し始める可能性が高まっています。株式市場でもこれまでのような低ボラティリティの値動きやレンジ相場内での推移が継続するとは限らないでしょう。どちらかと言えば、経済指標や材料の一つ一つに一喜一憂する動きとなる可能性も考えられ、これまでとは異なる新たな投資手法を身につけたり、新たな銘柄を発掘しなければならない1年になるかもしれません。
というのも、ボラティリティが高まると、下値不安を感じる投資家が増える傾向にあり、株価が下落した際には売りが出やすくなる一方、下値を拾う動きは限られるようになるため、安値を更新する銘柄が増えます。そうなると、こうした下値不安のある銘柄が避けられるようになる半面、上値が期待できそうな特定の銘柄には多くの投資家が群がるようになります。とりわけ個人投資家が主戦場としている新興市場の東証マザーズではそうした傾向が強く、安値ならひたすら安値を更新する、高値ならひたすら高値を更新する、という風にどちらか一方向に傾きがちです。
また、新たなテーマ銘柄が登場するのであれば、それを先回りして探し出すことは困難を極めるかもしれません。なぜなら、ビジネスやライフスタイルがこれまでとは異なる変化をみせる中で新たに浮上するテーマは、当初は私たちにあまり馴染みのないものである、もしくは一部の人たちの間だけで流行っているものである可能性が高いからです。
そのため、通常であれば有望そうなテーマや好きなセクターから銘柄を探して、株価の動きを確認していくことになりますが、これとは異なる手法が必要になるかもしれません。仮に新しいテーマ候補を見つけることに成功して、それが馴染みのないものであった場合、そのテーマから投資家の注目を集めそうな銘柄を探すのは難易度の高い作業になることでしょう。
こうした場合には、チャートを使って機械的に探した方が良い結果を得られるかもしれません。自分が苦手とする、あるいは馴染みのないテーマから銘柄を探すのが難しければ、出発点をテーマではなく、銘柄とする逆転の発想です。投資家の注目する銘柄をチャートを使って洗い出し、その株価の上昇が本格的なものであるのかを分析していくのです。仮に背景に確かなテーマや材料があるのならば、本格的な上昇である可能性は一段と高まります。
では、チャートを使って投資家が注目する銘柄をどのように探せばよいのでしょうか? 銘柄を抽出する方法としては、2つのやり方が挙げられます。
株探ニュース