横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」―(18)株価下落はいつまで続く?そんな時、ボリンジャーバンドとカイリ率を活用しよう!

特集
2022年3月8日 10時00分

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆カイリ率を併用して判断の精度を高めよう

ここでは日経平均株価のチャートを2021年2月から表示しました(図2)。日経平均株価は21年12月半ばの頃には、株価の大半がミッドバンドを中心にプラス・マイナス1σの範囲内(緑色のゾーン)を推移していることがわかります。2021年全体を見ても、緑色のゾーン内で推移していることが多く、この年の日経平均株価はそれほどボラティリティが高くないことがわかります。このように株価の動きが小さい場合や、株価が一定の範囲内で動いている場合(もみ合いなど)には、バンドの幅は縮小傾向となります。この状態を「スクイーズ(squeeze)」と言い、ボラティリティは低くなる傾向があります。

図2 日経平均株価日足 ボリンジャーバンドと出来高(21年2月~22年3月3日) 

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次に、22年1月半ばからの株価の動きを見てみましょう(図3)。プラス・マイナス1σの範囲内(緑色のゾーン)からマイナス2σの青色のバンドを超えて、マイナス3σのピンク色のバンドまで株価は下落し、その後もピンク色のバンドに沿って下落が続いていることがわかります。なお、21年9月に日経平均株価が3万0795円まで駆け上がった時は、プラス2σの青色のバンドを超えて、プラス3σのピンク色のバンドまで株価は上がり、さらにプラス3σのバンドに沿って大きく上昇しています。

図3 日経平均株価日足 ボリンジャーバンドとカイリ率(21年8月~22年3月3日) 

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このように青色(プラス・マイナス2σ)やピンク色(プラス・マイナス3σ)のバンドに株価が長く滞在しているということは、それだけボラティリティの高い状態が継続していることになります。株価の動きが大きい場合には、バンドの幅は拡大傾向となり、トレンドを形成する場合があります。これを「エクスパンション(expansion)」と呼び、バンドが拡大した方向に合わせて株価が動くことを「バンドウォーク」と言います。21年9月は上昇方向に、22年1月は下落方向にそれぞれ「バンドウォーク」していることになります。

このバンドウォークがいつまで続くのか、ボリンジャーバンドを見ているだけでは判断することは難しいと言えるでしょう。そこで、このボリンジャーバンドに加えて、前回解説した移動平均カイリ率を利用してみましょう。

チャートの下段に表示されている「出来高」を「カイリ率」に変更しましょう。一般的には、株価が上昇し、カイリ率がプラス5%に近づくと調整局面への転換に注意する必要が出てくる水準とされます。さらにプラス10%に近づくとかなり過熱している状態となり、天井打ちのタイミングが近づいているといわれます。反対に、株価が下落し、カイリ率がマイナス5%に近づくと株価の反発が意識される水準とされ、さらにマイナス10%に近づくと悲壮感も高まるほど売られすぎの状態となり、いよいよ底打ちに向かうといわれています。

これを踏まえて、ボリンジャーバンドと移動平均カイリ率を見てみましょう。1月27日に2万6044円まで下落した時の移動平均カイリ率はマイナス7.4%まで低下しており、ここ数カ月の中で最も低い値でした。このようにボリンジャーバンドだけでは判断が難しい場合には、移動平均カイリ率も合わせて使うことで、株価がどれだけ売られすぎなのかを見ることができ、底打ちの判断をする際に役立つことでしょう。

2月24日に2万5775円まで下落した時点の移動平均カイリ率を見ると、まだマイナス4.3%程度でしかありません。この数値からは底打ちと判断するには時期尚早であるという風に考えることもできます。株価は21年9月高値3万0795円から大きく下落していますので、底打ちした後に買っても十分安く買えるでしょう。急ぐ必要はありません。

私が株式投資を始めてから、リーマン・ショックという金融危機はありましたが、2020年代になってまさか世界経済への打撃が懸念される、これほどの規模の紛争が起こるとは微塵も考えていませんでした。リスクをコントロールできてはじめて資産を右肩上がりに増やすことができるわけですから、株価が底を打ってから買ってもまったく遅くはないのです。過度に悲観的に、そして楽観的になることなく、複数のチャートを組み合わせて株価の水準とボラティリティを確認しながら売買戦略を立てていきたいですね。

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