横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」―(22)スイングトレードで勝率をあげる売買手法とエントリーポイントは?

特集
2022年6月17日 11時40分

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆トレンドが発生している時の売買ポイント

では、この3つのトレンドを踏まえて、ドル円のチャートを見てみましょう。積極的に売買を行うのは、具体的には「横ばいトレンド」を除いた「上昇トレンド」と「下降トレンド」が発生している局面となります。

ドル円相場は、2022年3月頃は1ドル=115円前後で推移していましたが、5月には131円台までドルが買われています(図2)。ドル買いのトレンドが発生していることがわかります。トレンド分析に基づく売買では、ドル高が進んでいるのでドルを買う「順張り」の取引となります。2カ月でおよそ15円もドル高が進んでいますが、この間にドルを買うポイントは2回ほどありました。図2の丸印の部分になりますが、1回目は121円、2回目は126円の水準です。強いトレンドが発生している場合に、その途中で生じる小さな調整局面を狙うものであり、いわゆる「押し目買い」という取引手法になります。

図2 ドル円相場 押し目買いのポイントは?

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たとえば、3月にドルを買ったけれども、意外にドルが強いのでさらに買い増したいと考えたとしましょう。このような場合には、2回の丸印の時に買い増しをすることができますし、また、数週間で売買を回転させることも可能です。わかりやすかったのでドル円を例に解説しましたが、考え方は株式の個別銘柄でも同じです。

なお、ドル円は2回目の丸印を通過したあと131円で短期的な天井を形成し、再び126円までドルが売られています。ただ、トレンドが始まった3月からはすでにドル高がかなり進んでおり、このようなポイントで買いを入れてもすぐに天井だったということも考えられます。この例では結果的に135円台までドルが買われていますが、中長期保有という売買スタイルであれば、無理をしてここで入る必要はないかもしれません。

次に、NYダウのチャートを見てみましょう(図3)。

NYダウは、22年1月に3万6952ドルの高値をつけて以降、一貫して下落を続け、節目の3万ドル大台まであともう少しという状況です。22年に入ってから下降トレンドが発生していることがわかります。トレンド分析に基づく戦略では、株価は下落を続けるので、その戻りを売っていく「順張り」の取引となります。この間に売るポイントは4回ほどありました。図3の丸印の部分になります。利益確定を行うポイントにもなりますので、戻りをしっかりと逃さないようにしましょう。

図3 NYダウ 下落トレンド時の戻り売りのポイント

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一般的に、株価が値上がりしている時には「まだまだ上がるだろう」と考える投資家が増えて、買い意欲が旺盛な状態になります。買い意欲が旺盛になれば、株の取引数はどんどん増え、その結果、押し目を形成しながら上昇トレンドは継続していきます。

反対に、株価が値下がりしている時には、「もっと下がるかもしれない」と不安に思う投資家が増えて、取引を控え始めます。また、株を保有している投資家の中には「買った値段に近づいてきたら売ろう」と、売りのタイミングを「今か今か」と狙う人が増えていきます。株の取引を控える投資家と、戻り売りを狙う投資家が増えると、買い意欲はますます減退して買いは一層手控えられ、株価は下落していくことになります。

つまり、株価が上昇する時も下落する時も、トレンドがいったん発生すると、そのトレンドが転換するまではひたすら一方向に動く傾向が強まりますので、基本的に順張りの取引で臨むのがよいと考えることができます。

私たちは欲深いですから、たくさん儲けたいと考えます。そのため、株価が上昇する様子を見ていると、「今買わないと、置いていかれる」と焦って高値に飛びついたり、株価が下落すると「もう耐えられないから売ってしまおう」などと底値で売ってしまったりしまいます。強い上昇トレンドが発生している場合、売買が多少適当であってもごまかせる時もありますが、いったん地合いが悪くなると、段々ごまかしがきかなくなってきます。

勘や雰囲気に頼った売買を続けていては、儲けを吐き出すことになってしまいかねません。地合いが良い時も、悪い時も、コンスタントに勝ち続けるためにトレンド分析を活用した売買手法とエントリーポイントを見極める目をぜひ身につけましょう。

 

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