横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (25)レンジ相場はRSIとRCIの特性を活かした逆張り戦略で

特集
2022年8月1日 13時00分

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆小まめなスイングトレードに適した「RCI」

では、次にRCI(Rank Correlation Index:順位相関指数)のチャートを見てみましょう(図3)。RCIもオシレーター系のテクニカル指標で、RSI同様に株価の過熱感を分析するチャートです。RCIはマイナス100%からプラス100%の数値で表され、プラス80%以上で買われ過ぎ、マイナス80%以下で売られ過ぎと判断されます。また、天井圏から下がり始めてプラス80%を下回った時が「売り」、底値圏から上がり始めてマイナス80%を上回った時が「買い」のタイミングとされています。さらに長期線と短期線の位置関係に着目して、短期線が長期線を下から上抜いた時を「買い」のタイミング(ゴールデンクロス)、短期線が長期線を上から下抜いた時を「売り」のタイミング(デッドクロス)としています(図3の赤い丸印)。RCIではこれらのタイミングが逆張りを狙うポイントとなります。

図3 日経平均株価 日足(RCI)

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図3のRCIのチャートでは下段の領域に、9日の短期線と、26日の長期線が表示されています。3カ月ほどの時間軸でもみ合いを抜く売買であれば、チャートを見てわかる通り、どちらかと言えば短期線の方が合っていると言えるでしょう。このため、私は短期線を使っています。また、RCIはこの後にみるようにオシレーターのテクニカル指標の中では反応が速いことで知られており、短期の売買に適した指標といえます。

ここではRSIとRCIの2つの指標を併用した合わせ技をみていきます(図4は前ページ掲載のRSIチャートと同じものです)。先ほどのRSIに加えてこのRCIを利用することで判断の精度を高められます。3月に日経平均株価が2万4000円台まで急落した後、RSIとRCI(短期線)はともに買いシグナルを発して上昇に転じていますので、レンジ上限に向けてリバウンド上昇が発生している可能性があると判断することができます。

図4 日経平均株価 日足(RSI)

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さらに、その後はRCIがプラス100%あたりで推移を続ける一方、RSIも80%以上に達し、ともに買われ過ぎであることを示唆しています。RCIはいち早く低下に転じ、3月30日にはプラス80%を割り込み第1弾の売りシグナル、翌日には短期線と長期線がデッドクロスする第2弾の売りシグナルが点灯しています。一方、RSIは高値圏でもみ合った後、やや遅れて4月6日に70%を割り込んで売りシグナルが点灯。この時点で3月25日の高値でリバウンド上昇が終了し下落に転じたことがテクニカル指標からはほぼ確定します。安全をみるならRSIの売りシグナルを確認した後に、またリスクを取って仕掛けるのならばRCIで売りシグナルを確認した後が売りのポイントになるでしょう。

この後、日経平均株価は2万7000円を挟んでもみ合う動きに移行するとともに、RSIも50%を挟んでの推移が続くようになりました。このようにRSIは反応は遅れますが、やや中期の流れを捉えるのに適していると言えそうです。一方、この間のRCIを見ると、短期のリバウンド上昇に合わせて機能していることがわかります。横ばいでの動きが継続している場合、RSIもRCIもそれぞれの特性に合わせて比較的に機能していると言えますし、特に短期のRCIは小まめにスイングトレードを繰り返す人には合っていそうですね。

横ばいでの推移が続く場合、トレンド系のテクニカル指標である25日移動平均線と75日移動平均線はあまり動きが見られない状況になりますが、オシレーター系のテクニカル指標は機能しやすい状況であることがわかります。ということは、一方的な上昇(もしくは下降)トレンドが発生すると、今度はオシレーター系のテクニカル指標は機能しにくくなり、トレンド系のテクニカル指標が機能し始めるようになります。

閑散とした夏休み相場ということもあって、足元はもみ合いの状況が続いています。しかし、いずれはこのもみ合いも終わり、相場は新たな動きに変化していくことになります。新たな相場にしっかりと乗れるように、トレンドに合わせてチャートを使い分けられるように準備しておきたいですね。

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