横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (28)利益確定を視野に入れて、スイングトレードで安いところをサクッと狙おう!

特集
2022年9月29日 10時00分

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆売られ過ぎ銘柄をテクニカルでダブルチェック

株を買う時に最も重要なことは、「今後、株価が上昇する確率は高いのか」ということです。どんな場合に株価が上昇する確率が高いのかと言えば、株価が割安、いわゆる売られ過ぎの状況になった時だと言えるでしょう。「スクリーニング」という銘柄を検索する機能を活用して、売られ過ぎの銘柄を探す流れを順番に見ていきましょう。

【STEP① RSIでふるいにかける】

まずは「株価が割安=売られ過ぎ」の状態にある銘柄を探すことになりますので、オシレーター系のテクニカル指標を使って検索をかけます。私がオススメするテクニカル指標の一つが「RSI」です。

「RSI(Relative Strength Index:相対力指数)」は、株価の強弱を表すオシレーター系のテクニカル指標の一つで、株価が上昇から下落に変化するタイミングや、下落から上昇に変化するタイミングを比較的早い段階で捉えることができます。株価が一定の幅で変動している「もみ合い(横ばい)相場」や、株価が下落している時に一時的に上昇するリバウンド局面などで利用すると、売買サインが有効に機能しやすいと言われています。

図1 トヨタ自動車 <7203> [東証P] RSI 日足チャート

【タイトル】

RSIは0%から100%までの数値で表され、株価が上昇するとその数値は高くなります。「70%以上になると買われ過ぎ」、反対に株価が下落するとRSIの数値も低下して「30%以下になると売られ過ぎ」とされます。そのため、スクリーニングを行う際には、その基準を「RSI が30%以下」という風に設定します。数値を厳しくすれば厳しくするほど、より売られている銘柄ということになりますが、検索に引っかかる銘柄は少なくなるというデメリットがあります。ただ、スクリーニングで検索をかけてみればわかりますが、ものすごい数の銘柄が検索結果として表示されるのが一般的です。

【STEP② MACDで絞り込む】

念には念を入れてダブルチェックをかけたいので、次に「MACD(マックディー)」を利用しましょう。

「MACD」は「Moving Average Convergence and Divergence」の略で、移動平均収束拡散法とも言われます。MACDは短期と中長期の2本の移動平均線で構成されますが、このテクニカル指標では単純移動平均ではなく、指数平滑移動平均(EMA)を用います。指数平滑移動平均は、過去の株価よりも現在の株価の方が今後の値動きへの影響力が強いだろうと考えて、直近の株価に重きを置いて計算するものです。短期と長期の指数平滑移動平均を使って計算されるのが「MACD(短期EMA-長期EMA)」、それをさらに移動平均したものが「シグナル」です。

チャートをみると、青色の線である「MACD」が先に動き、その後を追いかけるように緑色の線の「シグナル」が遅れて動きます。「MACD」と「シグナル」の2本の線の位置で過熱感を見たり、クロスするタイミングで売り時や買い時を分析したり、2本の線の方向性を見ることで相場の強弱を判断することができます。

移動平均線と同じように、「MACD」が「シグナル」を下から上に突き抜けると「ゴールデンクロス」で買いサインとなり、反対に「MACD」が「シグナル」を上から下に抜くと「デッドクロス」で売りサインになります。

図2 トヨタ自動車 <7203> [東証P] MACD 日足チャート

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スクリーニングの流れとして、まずRSIでふるいにかけて売られ過ぎの銘柄を抽出し、その後にMACDでさらに買いサインが出た銘柄の絞り込みを行うのです。ダブルチェックを行うことで2つのハードルをクリアすることのできた銘柄だけが残りますので、その中から銘柄を選別すれば値上がりする確率を高められるといえるでしょう。

なお、株探には複合的にスクリーニングを行える機能は現段階ではありません。ただ、特定のテクニカル指標については単独の条件でスクリーニング結果を表示する機能が備わっていますので、それをご紹介しておきます。トップページの最上部にあるグローバルナビから「銘柄探検」のタブをクリックしてください。そうすると、「ファンダメンタルズで探す」「テクニカルで探す」の2つのタイトルが並んでいるページに移ります。安値圏から上昇していく売られ過ぎの銘柄を探したいので、ここでは「テクニカルで探す」の中にある一番下のメニューの「オシレーター系の指標【主に逆張り】」を活用します。

上から「RSI(14日線)20%以下」「RSI(14日線)80%以上」「MACD/買いシグナル」「MACD/売りシグナル」の4項目が記載されています。買い時の銘柄を探すので、その中から「RSI(14日線)20%以下」と「MACD/買いシグナル」の2つを活用します(図3、図4参照)。この2つのスクリーニング結果を照らし合わすことで、前述したダブルチェックが行えるのです。ただし、RSIの絞り込みの基準は前述した「30%・70%」よりも「20%・80%」と厳しめの数値が設定されていますので、抽出できる銘柄は少なくなると思いますが、その分、信頼度は高まることでしょう。

なお、株式市場が急落し始めた初動の動きでは、そもそも売られすぎの状態ではありませんから、経験則的にシグナルが出現することはあまりないでしょう。ただし、その後も下げが続くことで売られすぎの状況となっていきますから、いずれシグナルが現れた銘柄が出てくることになります。

ただ、下落幅が大きければ大きいほど、急落のスピードが早ければ早いほど、おそらく悲壮感が高まって陰の極みといった状況となっていることが想定されます。このような時は多くの銘柄が一斉に売られているため、底打ちした局面ではものすごい数の銘柄に買いシグナルが現れることになります。下げの初動から継続的にスクリーニングをかけて、抽出される銘柄数の推移を見守ることが大事です。いずれ相場は下げ止まりますから、その推移も落ち着くことになります。「待ってました!」とばかりに急いで焦って買う必要はありません。

ただ、陰の極みの時に買うことは勇気がいるという人が大半でしょう。スクリーニングもダブルチェックを行うことでより精度を高めることができるようになりますから、淡々と日々スクリーニングを行うようにしましょう。

図3 テクニカル - RSI(14日線)20%以下 【銘柄探検】

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図4 テクニカル - MACD/買いシグナル 【銘柄探検】

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なお、今回はファンダメンタルズによる選別は行っていませんので、業績についてはまったく考慮していません。ですので、機械的な売買が重要となりますから、買った時よりも10%や20%上(下)という風にあらかじめ売る時の価格の目安を決めておいて、指値注文を出しておいてもよいかもしれません。

私たち投資家は、株価が下がると「どこまで下がるのだろう」と悲壮感に塗りつぶされて買うことを躊躇してしまう一方で、株価が上がると「まだまだ儲かるだろう!」などと欲にとりつかれて売り時を逃してしまいがちです。人間ですから欲に負けて当然です。だからこそ、テクニカル指標が示す売り時、買い時を投資の判断に活かしていくことが重要なのです。スイングトレードで着実に利益を積み上げるために、できるだけ安い時に株を買うようにしたいものですね。

 

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