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機関投資家の弱点を逆手にとった「キャッシュ温存戦略」で億り人

特集
2022年9月15日 10時00分

第32回 日本株&アメ株で勝つ人~個人投資家4800人の調査で判明!

(億り人・バガー投資家・トビンさんの場合その1)

登場する銘柄
パシフィックネット<3021>、レーザーテク<6920>、アップル<AAPL>、THEグローバル社<3271>

取材/真弓重孝・富田祥平、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

【タイトル】トビンさん(40代・男性・専業投資家):
2003年から1000万円を元手に株式投資をスタート。アベノミクスの波に乗り18年には運用資産が8000万円まで増加。専業投資家デビューを機に投資スタイルを短期売買へと切り替えたことで資産増に弾みがつき、19年には億トレを達成。外資系の運用会社で営業マンとして機関投資家を相手にしていた経験を活かし、「待機資金を残して暴落時の投資に回す」「中小型グロース株の短期売買」という投資手法を編み出す。運用資産の一部は海外不動産への投資やアメ株、スタートアップ企業へのエンジェル投資へと回している。写真は米ハワイに所有するコンドミニアムから撮影した写真。

今月20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を巡る思惑で、株式相場のボラティリティ(株価の変動率)が上昇している。

先行き不透明な相場環境に、投資家心理が悪化しやすくなっている。そうした中で虎視眈々と次の投資機会をうかがうのが、今回登場する専業投資家のトビンさん(ハンドルネーム)だ。

トビンさんの主な投資スタイルは2つ。1つ目はグロース株投資を主軸に、暴落時まで待機資金を備えておく「キャッシュ温存戦略」、2つ目が「中小型グロース株の波乗りトレード」という投資スタイルだ。足元の軟調な相場展開も、待機資金を備えるトビンさんの目を通せば絶好の投資機会に映る。

1回目の今回は暴落時が好機となる「キャッシュ温存戦略」にフォーカスし、資産を拡大させた背景に迫る。

有望成長株が暴落から立ち直るタイミングを狙う

この戦略でターゲットとするのは、好業績かつ成長性を内包している銘柄だ。相場の調整に巻き込まれて株価が下落した銘柄が、反発局面に入ってきたタイミングで待機資金を一気に投入し、株価モメンタムに沿って買い増しを行うのがトビンさんの基本ステップとなる。

最近の成功事例はコロナショック時に取得したパソコンやIT(情報技術)機器のレンタルを行っているパシフィックネット(PCNET)<3021>と、GAFAM(グーグルの親会社のアルファベット、アップル、旧フェイスブックのメタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)の1つ、米アップル<AAPL>だ。

PCNETに注目したのは、2018年頃から消費者向けの事業から、法人向けの情報機器レンタルへとビジネスモデルを転換したことで、同社の収益力の強化が進んでいることがある。

現在は運用管理からセキュリティ対策、リユースまで企業の情報システムの総合支援を「サブスクリプション」モデルで提供し、収益基盤を強固にしている。

■『株探プレミアム』で確認できるPCNETの通期業績の長期の成長性推移

【タイトル】

同社株は20年春のコロナショック時に、直近高値から半値近く下落したものの、トンビさんは同社の事業基盤はコロナ禍でも影響を受けづらいと分析した。

むしろ、同社は法人向けにリモート対応を中心とした保守サービスやセキュリティ対策を手がけており、「テレワークの普及が業績に追い風となる」と考えた。

企業価値は今後、向上が見込める一方で、株価の調整によって、お買い得価格と判断し、反転し始めたことに買い出動した(下のチャート)。

■『株探プレミアム』で確認できるPCNETのヒストリカルPERと日足チャート(20年3月~)

【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同

手仕舞ったのは半年後の20年9月頃。買値から株価が2倍以上となったことを目安にした。リターンは約900万円になった。

PCNETでは、暴落した要因と収益性・成長性への影響を分析したうえで、底値拾いではなく、あくまでも暴落の反発の初動に乗ることがトビンさんの投資のポイントとなった。

同じくコロナショック時に待機資金を投入したのがアップル<AAPL>だ。当時はコロナショック直前の高値から30%以上も下落。一方で依然として高い成長性やブランド力と比較し、通常ではなかなか株価が下がらず手を出しづらい大型優良株が、一時的に投げ売られていると判断した。

■米アップルの週足チャート(2019年9月~)

【タイトル】

20年3月末頃から反発、株価上昇に弾みがついたタイミングを狙い目と考えて同社株を取得。同社含め米ハイテク株がコロナ禍での過剰流動性の恩恵を享受できたこともあり、株価は2倍以上まで上昇した。

売却を決めた理由は米長期金利が上昇を始めたことだ。金利上昇により将来利益の現在価値が減少するグロース株には厳しい環境に転換したと判断。21年10月頃に同社株を売却して約300万円以上のリターンを獲得した。

相場の反転は米国の金融動向を注視

暴落時の相場の反転を見極めるのに注視しているのが、米国の金融動向だ。以前登場した川羊さん(参考記事)もグロース株を手がけるなかで米国の金融指標から相場環境を読み取る材料としており、投資家にはチェックが欠かせない視点の1つとなっている。

トビンさんは過去に外資系の運用会社務めていた経験があり、米国の金融指標などには常に目を光らせるようになったという。

具体的にはGAFAMなど大型グロース株の値動きや米長期金利、米国市場の波乱時には上昇する米VIX(変動性指数)を参考に、暴落からの反発時期や、グロースorバリュー株狙いかどうかの投資対象を検討する参考にすることが多いそうだ。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ 業績成長と株価のギャップを狙う

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