後場に注目すべき3つのポイント~半導体急落に中東情勢の緊迫化も加わり37000円割れ
19日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
・日経平均は急落、半導体急落に中東情勢の緊迫化も加わり37000円割れ
・ドル・円は大幅安、中東混迷にらみ円買い
・値下り寄与トップは東京エレクトロン<8035>、同2位はアドバンテスト<6857>
■日経平均は急落、半導体急落に中東情勢の緊迫化も加わり37000円割れ
日経平均は急落。前日比1260.89円安(-3.31%)の36818.81円(出来高概算10億8000万株)で前場の取引を終えている。
18日の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は22.07ドル高(+0.06%)の37775.38ドル、ナスダックは81.87ポイント安(-0.52%)の15601.50、S&P500は11.09ポイント安(-0.22%)の5011.12で取引を終了した。良好な雇用や製造業関連指標を好感し、寄り付き後、上昇。ダウは弱いハイテクに押され下落に転じる局面もあったが、良好な経済成長が持続可能との期待に終日底堅く推移した。一方、ナスダックは米連邦準備制度理事会(FRB)高官のタカ派発言などを受けた利下げ期待の後退や、半導体関連メーカーの台湾積体電路製造(TSMC)がスマホ・PC販売低迷で市場見通しを引き下げたため、需要鈍化が警戒され下落、まちまちで終了した。
ナスダック安を受けて、東京市場は売り優勢で取引を開始した。日経平均は38000円を割り込んでスタートした後はじりじりと下げ幅を拡大。値がさ半導体株の下げが影響して、下げ幅は1000円超まで拡大した。10時過ぎに「イランの複数個所で爆発音」と伝わったことで、日経平均は一段安の展開に。プライム市場の9割超の銘柄が下落する全面安の展開となり、取引時間中としては2月9日以来の37000円割れとなった。
日経平均採用銘柄では、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の下落なども影響して、ソシオネクスト<6526>、レーザーテック<6920>、スクリーンHD<7735>、ディスコ<6146>、東京エレクトロン<8035>、アドバンテスト<6857>など半導体株の下げが目立った。また、フジクラ<5803>、ソフトバンクグループ<9984>、キーエンス<6861>、日立<6501>、楽天グループ<4755>も売りに押された。
一方、中東情勢の緊迫化で原油価格が時間外で上昇したことなどが影響してINPEX<1605>、出光興産<5019>、ENEOSホールディングス<5020>が上昇したほか、川崎汽船<9107>、商船三井<9104>、日本郵船<9101>など海運株もそろって買われた。日経平均採用以外の銘柄では、経産省の支援補助が伝わったことでさくら<3778>が一時ストップ高。
セクター別では、電気機器、機械、精密機器、証券・商品先物取引業、金属製品などが下落した一方、鉱業、海運業、石油・石炭製品の3セクターのみ上昇した。
ランチタイムの為替は1ドル153円70銭台まで円高ドル安が進行している。時間外の米10年債利回りは4.50%台まで下落したが、ドルインデックスは106.1台と逆行高しており、「有事のドル買い」のような動きも見られている。足元、「有事のドル買い」を上回る「リスクオフの円買い」が入っており円高ドル安となっていると考える。後場は、中東情勢の続報を見極める展開となりそうだが、投資家心理の悪化を受けて、押し目を狙う動きは限定的となる可能性もある。
■ドル・円は大幅安、中東混迷にらみ円買い
19日午前の東京市場でドル・円は大幅安となり、154円67銭から153円59銭まで値を下げた。イスラエルがイランの施設に対し攻撃を加えたもようで、中東情勢の不透明感からリスク回避の円買いが優勢に。主要通貨はドルや円に対して値を下げる展開。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は153円59銭から154円67銭、ユーロ・円は163円02銭から164円63銭、ユーロ・ドルは1.0610ドルから1.0644ドル。
■後場のチェック銘柄
・新都ホールディングス<2776>、さくらインターネット<3778>など、3銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値下り寄与トップは東京エレクトロン<8035>、同2位はアドバンテスト<6857>
■経済指標・要人発言
【経済指標】
・日・3月全国消費者物価指数(生鮮食品除く):前年比+2.6%(予想:+2.7%、2月+2.8%)
【要人発言】
・米政府高官
「イスラエルがイランの標的を空爆したことを確認」
<国内>
・植田日銀総裁講演(米ピーターソン国際経済研究所)
<海外>
・15:00 英・3月小売売上高(自動車燃料含む)(前月比予想:+0.3%、2月:0.0%)
《CS》