24年10-12月期【利益倍増】企業はこれだ!〔第1弾〕 31社選出 <成長株特集>
3月期決算企業の4-12月期決算がほぼ出そろった。本特集では、直近3ヵ月実績である10-12月期(第3四半期)に経常利益が前年同期と比べて2倍超の大幅増益を達成した企業にスポットライトを当てた。
今回は第1弾として、時価総額1500億円以上の銘柄(銀行を除く)の中から利益倍増企業として31社をリストアップし、増益率の大きい順に並べた。なお、下表では四半期ベースの「増益連続期数」、4-12月期経常利益の通期計画に対する進捗割合を表す「対通期進捗率」も併せて記した。
増益率トップとなったのは、富士通 <6702> [東証P]。24年10-12月期(第3四半期)の税引き前利益は前年同期の1億0500万円から781億8100万円に急拡大して着地。主力のサービスソリューション事業がデジタルトランスフォーメーション(DX)やシステム刷新案件を中心に拡大したうえ、採算性の改善も着実に進んだ。前年に構造改革費用を計上した反動も利益拡大につながった。
2位の古河電気工業 <5801> [東証P]はインフラ事業で国内の地中線工事案件が好調だったほか、機能製品事業では生成AI(人工知能)の需要増加に伴うデータセンター関連投資の活況を背景にサーマル製品やハードディスク用アルミブランク材などの引き合いが旺盛だった。また、円安による為替差損益の改善も大幅増益に貢献した。業績好調に伴い、25年3月期通期の業績予想と配当計画を上方修正している。
生成AIやデータセンターの需要拡大が追い風になった銘柄では、半導体検査装置で世界大手のアドバンテスト <6857> [東証P]が17位、電線・ケーブル大手のフジクラ <5803> [東証P]が20位、半導体製造装置メーカーの東京精密 <7729> [東証P]が28位にそれぞれリスト入りした。フジクラは好決算と業績上方修正が評価され、株価は13日に上場来高値7620円まで上値を伸ばしている。
3位に入ったのは医用電子機器メーカーの日本光電工業 <6849> [東証P]。10-12月期の経常利益は前年同期比16.0倍の113億円に急拡大し、3四半期ぶりの大幅増益を達成した。国内で自動体外式除細動器(AED)の販売が伸びたほか、注力する北米では生体情報モニターや人工呼吸器が増勢だった。また、売上構成の良化に加え、為替差損益が好転したことも利益を大きく押し上げた。
8位のバンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]は家庭用ゲームで24年10月に発売した「ドラゴンボールZ Sparking!」シリーズの新作が世界販売本数500万本を超えるヒットを記録したほか、人気アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデルやトレーディングカードゲームなども伸びた。業績好調に伴い、通期業績予想と配当計画を上方修正するとともに、350億円を上限とする自社株買いの実施も発表。これを受けて株価は急騰し、上場来高値圏を快走している。
同じくIPビジネスに強みを持つ27位のサンリオ <8136> [東証P]の株価も青空圏を舞う展開にある。10-12月期は「ハローキティ」50周年関連の施策や複数キャラクター戦略が奏功し、北米や中国のライセンス事業を中心に収益が大きく伸び、3四半期連続の最高益更新を果たした。好調な業績を踏まえ、通期の経常利益予想を25期ぶりの最高益見通しに上方修正し、配当計画も増額修正している。
23位にリスト入りしたNEC <6701> [東証P]は自治体向けDX支援サービスの増加やテレコムサービスでの知財ライセンス契約締結に伴う利益計上などが寄与し、10-12月期の税引き前利益は876億円と前年同期比2.4倍に膨らんだ。併せて、通期業績見通しを上方修正し、さらに3月末の株主を対象とする1→5の株式分割実施を発表したことも好感され、株価は約23年半ぶりの高値圏に浮上している。
このほか、配当利回りが年間ベースで3.5%を超えている、川崎汽船 <9107> [東証P]、エーザイ <4523> [東証P]、日本郵船 <9101> [東証P]、商船三井 <9104> [東証P]、大林組 <1802> [東証P]、東急不動産ホールディングス <3289> [東証P]、アルプスアルパイン <6770> [東証P]、飯田グループホールディングス <3291> [東証P]、かんぽ生命保険 <7181> [東証P]は足もとの業績が好調な高配当株として注目したい。
┌ 経常利益 ┐ 増益 対通期 予想
コード 銘柄名 増益率 10-12月期 連続期数 進捗率 PER
<6702> 富士通 74358 78181 1 - 25.0 *
<5801> 古河電 2500 17135 1 78.5 16.3
<6849> 日本光電 1496 11367 1 75.0 30.2
<9504> 中国電 736 28775 1 103 4.3
<9107> 川崎汽 538 101529 3 96.3 4.5
<1801> 大成建 531 42825 1 95.4 14.6
<6976> 太陽誘電 492 6926 1 97.8 66.4
<7832> バンナムHD 345 69860 4 99.2 25.5
<6902> デンソー 305 166154 3 73.5 12.7 *
<9533> 邦ガス 276 4864 1 83.9 16.2
<4523> エーザイ 268 29551 2 102 28.1 *
<9435> 光通信 262 74945 1 - 14.0 *
<9101> 郵船 259 147190 3 90.9 5.0
<8473> SBI 237 100506 1 - - *
<9104> 商船三井 194 125841 3 91.4 4.8
<4681> リゾートトラ 175 14413 5 98.6 18.1
<6857> アドテスト 169 70547 3 72.5 42.2 *
<9501> 東電HD 153 98029 1 - -
<6645> オムロン 152 16321 2 59.2 73.1
<5803> フジクラ 151 43560 4 78.5 24.7
<7012> 川重 146 40726 1 64.5 16.9 *
<1802> 大林組 142 55965 4 73.9 11.2
<6701> NEC 142 87652 1 - 22.1 *
<3289> 東急不HD 136 34299 1 65.1 9.5
<6770> アルプスアル 133 16266 1 102 9.9
<3291> 飯田GHD 126 21890 2 82.5 14.0 *
<8136> サンリオ 123 18469 13 80.7 41.1
<7729> 東京精 122 6633 2 69.4 15.8
<7181> かんぽ生命 114 55870 3 101.0 9.2
<7911> TOPPAN 104 27734 1 67.4 16.6
<6586> マキタ 102 32419 3 84.6 18.0 *
※経常利益の単位は百万円。増益率は前年同期に比べた増加率、単位は%。「*」は国際会計基準、米国会計基準を採用する銘柄。
※増益連続期数は四半期ベースの連続回数、同一会計基準内が対象。対通期進捗率は経常利益の通期計画に対する4-12月期の進捗割合、単位は%。黒字転換、赤字縮小は増益に含めません。
株探ニュース