概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

AI半導体への一極集中相場の調整を模索する展開へ【フィリップ証券】

市況
2026年5月20日 15時28分

「AI半導体への一極集中相場」はいつまで続くのだろうか? 米国株市場ではフィラデルフィア半導体株指数をS&P500指数で割った倍率が5/14終値で1.6倍と、2000年3月の「ドット・コム・バブル」のピーク時の0.96倍を大幅に上回っている。それを受けて日本株市場でも日経平均株価をTOPIXで割った「NT倍率」も16倍台と歴史的高水準で推移している。米国株市場では、4月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)の上昇率の加速が鮮明となり、マクロ経済面からはグロース(成長)銘柄への逆風となりつつある。

ベッセント米財務長官が5/11に来日し、翌12日にかけて片山財務相、高市首相と会談。当初予定されていた植田日銀総裁との会談は行われなかったものの、ベッセント氏は植田氏への強い信頼を表明。ベッセント氏はかねてより日本の為替介入に批判的で、円安是正には日銀の利上げが必要との立場を示してきた。日本政府が日銀の利上げを回避しつつ、物価対策として補助金支出のために国債を増発すれば、長期・超長期国債の需給を悪化させて米国債利回りにも影響が出る懸念もある。ベッセント氏は日本政府に対し日銀の利上げへの理解を求めた可能性があり、銀行株への追い風が見込まれる。

5/14-15に北京で開催された米中首脳会談では、イラン情勢、市場開放問題、台湾問題が協議された。イランの原油輸出の90%以上が中国向けであることから、ホルムズ海峡の開放に中国の力が欠かせない。市場開放問題では米政府が米エヌビディアのAI(人工知能)半導体「H200」について中国企業約10社への販売を許可したほか、中国がボーイング製航空機200機に加えて米国産大豆や原油、液化天然ガス(LNG)の購入で合意。その一方、台湾問題では、中国の習近平主席が両国の「衝突」や「極めて危険な状況」を引き起こすこともあり得ると強硬な警告を発した。これがアジアの地政学リスクへの関心を引きつけ、防衛関連銘柄に物色が戻る契機になる可能性がある。

米国時間5/20、エヌビディアの2026年2~4月期決算発表がある。AI半導体をめぐる状況は変化が激しい。通常のAIチップは、薄い円形の基板であるシリコンウェハを小さく切って複数のチップを作るのに対し、5/14にナスダック市場に上場したセレブラスシステムズ<CBRS>は、ウェハをほぼ丸ごと1枚使って「一つの巨大チップ」を作っている。これにより、エヌビディアのGPUではチップ間で何度もデータをやり取りする制約があるのに対し、セレブラスの巨大チップではデータ移動の遅延が劇的に減少する。また、GPUはチップ面積に制約があり、計算コアの近くに十分な高速メモリを置けず、外部の高帯域幅メモリ(HBM)をチップの横に付けている。一方で、セレブラスの巨大チップでは計算コアとメモリを同じシリコン上に配置でき、HBMを不要にできるとされ、半導体メモリ企業にも影響が及ぶと考えられる。

■銀行貸出残高の伸びが加速

日銀が5/13に発表した4月の貸出・預金動向(速報)によると、全国の銀行の貸出平残は前年同月比6.0%増と、伸び率が前月(5.2%)から拡大。日銀の追加利上げを後押しする内容だった。

そのうち、メガバンクなど都銀は大手企業グループによる傘下企業の完全子会社化といったM&A関連の大型ファイナンス案件を背景に4月が8.0%増。第一地銀の4月は4.6%増。不動産業向けの資金需要が強く、県境を越えた「越境融資」も積極的に対応しているほか、原材料・エネルギー価格の高止まりや人件費上昇を受けた中小企業向けを含む企業の資金繰り需要が堅調であることが伸び加速の背景にある。日銀が2025年12月に政策金利を引き上げた後でも資金需要が強いことが示唆されている。

【タイトル】

参考銘柄

レンゴー<3941>

・1909年に井上貞治郎が日本で初めて段ボール事業を開始し創業。板紙や段ボールを扱う板紙・紙加工関連事業のほか軟包装関連事業、重包装関連事業、海外関連事業、その他事業を営む。

・5/14発表の2026/3通期は、売上高が前期比1.5%増の1兆83億円、営業利益が同0.9%減の370億円。事業別営業利益は、板紙・紙加工(売上比率52%)が10%増の256億円、軟包装(同19%)が85%増の93億円、重包装(同5%)が13%増の19億円。海外(同21%)が▲16億円へ赤字転落。

・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比8.1%増の1兆900億円、営業利益が同24.0%増の460億円、年間配当が同10円増配の50円。同社は5/15~来年1/29を取得期間として上限を2500万株(自己株式を除く発行済株数の10.1%)または250億円とする自社株買いを発表。累進配当を基本とする中、2026年度より連結配当性向40%、DOE(株主資本配当率)3%を下限とする配当政策を実施。

ダイキン工業<6367>

・1924年に大阪金属工業所として航空機用部品等で設立。空調・冷凍機事業(住宅・業務・舶用)、化学事業(冷媒・フッ素)、その他事業(油機・特機製品含む)を営む。エアコンは世界首位級。

・5/12発表の2026/3通期は、売上高が前期比5.5%増の5兆150億円、営業利益が同3.3%増の4149億円。売上比率92%の空調・冷凍機事業のうち米州(地域別構成比41%)が9%、欧州(同17%)が10%、日本(同15%)が5%それぞれ増収。中国除くアジア(同11%)と中国(同9%)は減収だった。

・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比2.7%増の5兆1500億円、営業利益が同5.1%増の4360億円、年間配当が同20円増配の360円。2027年4月から日本でエアコン省エネ基準が上がることを受けて「エアコンの2027年問題」として価格上昇が警戒される中、導入費用増を電気代削減効果で相殺できる可能性も指摘される。省エネエアコンに対して自治体による補助金の恩恵も見込まれる。

ルネサスエレクトロニクス<6723>

・NEC<6701>から分社化したNECエレクトロニクスが2010年にルネサステクノロジーと合併して設立した半導体専業メーカー。車載制御など自動車向け事業、および産業・インフラ・IoT向け事業を営む。

・4/24発表の2026/12期1Qは、非GAAPの調整後売上収益が前年同期比20.6%増の3723億円(会社予想3675~3825億円)、調整後営業利益率が同6.5ポイント上昇の33.7%(会社予想32.0%)。事業別の調整後営業利益は、自動車が34%増の618億円、産業・インフラ・IoTが99%増の642億円。

・2026/12期1H(1-6月)会社計画は、調整後売上収益が前年同期比18.9~21.2%増の7528~7678億円、調整後営業利益率が同3.6ポイント上昇の31.3%。同社はCPUの動作速度とDRAMの遅さのギャップを埋めるキャッシュメモリとして使われる高速かつ低消費電力SRAMについて、産業・通信・自動車の用途向けで世界的に強みを持つ。CPU需要増に伴いSRAMの重要性が高まると見込まれる。

能美防災<6744>

・1916年に能美輝一が大阪市で能美商会を創立。セコム<9735>が親会社。火災報知設備・消火設備機器の製造・販売・取付工事、およびこれらの設備の保守業務を主な事業内容とする。

・5/11発表の2026/3通期は、売上高が前期比4.5%増の1396億円、営業利益が同17.0%増の183億円。受注高は15.4%増の1611億円。主な事業別営業利益は、火災報知設備(売上比率37%)が17%増の99億円、消火設備(同34%)が30%増の108億円、保守点検(同26%)が1%減の79億円。

・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比12.8%増の1576億円、営業利益が同3.5%増の190億円、年間配当が同横ばいの116円。同社は2025年、天井に放射状に設置されたノズルから出るミストが大型ファンの風に乗って広がる「シーリングミスト」の特許を取得。外気温の上昇による室外機の熱交換効率の低下や電力消費量の増加を抑えることから、データセンター向けの引き合いが増加。

※執筆日 2026年5月15日

フィリップ証券
フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

【免責・注意事項】
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
<日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則 平14.1.25」に基づく告知事項>

・ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。



フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集