日米6月IPO、史上最大規模「スペースX」上場に世界の視線集中 <株探トップ特集>
―米巨大宇宙企業のデビューはAI株相場に影響も、日本では「GO」に関心―
日経平均株価は1日には一時6万7000円台まで急上昇する活況に沸いている。特に、 AI・ 半導体関連株への一極集中状態が続いている。この状況のなか、 6月IPOが始まる。日本のIPOは盛り上がりに欠け3銘柄にとどまる見通しだが、目を海外に転じれば米国では「史上最大のIPO」との呼び声が高いスペースX<SPCX>の上場が秒読み段階に入った。同社株の新規上場は、世界の株式市場に多大な影響を与えることは必至だ。日米IPOの行方を探った。
●日本の6月IPOは3社と低迷状態が続く
日米では、IPO市場の明暗が分かれている。日本のIPOは低迷状態が続き6月はグロース市場への3社にとどまる見通しだ。昨年に比べ4社の減少となる。2026年では最大規模となる配車アプリ大手のGO <581A> [東証G]の登場が予定されているものの、年初から6月までの上場企業数は17社と昨年同期に比べても11社の減少となっている。東京証券取引所のグロース市場改革が影響しているとみられるほか、日経平均株価が最高値圏を邁進する一方で中小型株物色の盛り上がりに欠けている。
●米国では巨大企業「スペースX」上場に話題集中
そんななか、投資家のIPOへの関心は米国へと向かっている。3月にはスマートフォン決済大手のPayPay<PAYP>が米ナスダック市場に上場し話題を集めたことは記憶に新しい。更に、米国では6月に歴史的な超大型IPOが予定されている。巨大宇宙ベンチャー企業「スペースX」のIPOがそれだ。著名起業家イーロン・マスク氏が率いるスペースXの上場時の時価総額は1.8兆ドル(約286兆円)ともみられている。資金調達額は750億ドル(約12兆円)に達しそうだ。同社株の公開価格などは未定だが、最短で12日にもナスダックに上場するとの観測が出ている。
現在の世界時価総額トップ企業は約5.4兆ドルの米半導体大手エヌビディア<NVDA>だが、スペースXはメタ・プラットフォームズ<META>やテスラ<TSLA>を上回り世界10位以内の企業となり、巨大テック企業の一角に躍り出るとみられている。これまでの史上最大のIPOは19年のサウジアラビアの国営石油会社「サウジアラムコ」だった。同社の上場時の調達資金は約290億ドルだったが、スペースXはこれを上回る「史上最大のIPO」との呼び声が高い。
●宇宙開発のトップ企業でAI開発進め市場への影響は特大級
スペースXは、 宇宙開発のトップ企業であり、主力ロケット「ファルコン9」は通算600回以上の打ち上げ実績を持ち、ロケット打ち上げでは世界シェアの半分を握るとみられている。また、衛星通信サービスの「スターリンク」は現在の同社の稼ぎ頭となっているほか、今年2月にAI開発の「xAI(エックス・エーアイ)」を統合し、SNSの「X(旧ツイッター)」なども擁している。
IPOによる調達資金は、データセンターや半導体などのAIインフラに投資されるとみられている。上場後の株価動向によるものの「スペースXの上場はAI・半導体関連株物色に一層拍車をかけることが予想される」(アナリスト)との声も出ている。同社株は「ナスダック100」などの主要指数に、早期に組み入れられる見通しであり、機関投資家やETFなども買わざるを得ない状況が予想される。ただ、25年12月期の売上高は186億7400万ドル、最終損益は49億3700万ドルの赤字だった。市場では、今後の同社の利益改善がどう進むかが注目されている。
●米国では「オープンAI」など超大型IPOの登場続く
更に年内には、米国ではAI開発企業の「オープンAI」、「アンソロピック」によるメガIPOも見込まれている。両社ともに時価総額は1兆ドル超との見方が多い。スペースXを含む巨大新興企業3社が登場することは米株式市場の勢力図を一気に塗り替える可能性が高く、AI・半導体関連株へ大きな影響を与えることになりそうだ。
スペースXの上場に絡んでは、ispace <9348> [東証G]やアストロスケールホールディングス <186A> [東証G]、Synspective <290A> [東証G]、アクセルスペースホールディングス <402A> [東証G]、QPSホールディングス <464A> [東証G]など宇宙ベンチャー企業が関連銘柄として注目されるが、ロケット開発の三菱重工業 <7011> [東証P]やIHI <7013> [東証P]など大手重工会社や、NEC <6701> [東証P]や富士通 <6702> [東証P]など。それに、衛星関連のスカパーJSAT <9412> [東証P]や宇宙機用ソフトウェアのセック <3741> [東証P]、スペースXに出資するアステリア <3853> [東証P]などが注目されている。
●「GO」は自動運転やライドシェア関連としても注目
一方、国内の6月IPO企業に目を戻すと、16日にグロース市場に上場する配車アプリ最大手であるGOへの注目度が高い。仮条件で弾いた資金吸収額は970億円前後、時価総額は1860億円強と今年最大規模となる見通しだ。同社と提携するタクシーは25年12月時点で約8万5000台となり、アプリの累計ダウンロード数は今年2月時点で約3500万に達している。同社は、自動運転タクシーの実証実験に取り組んでいるほか、ライドシェア関連株としても注目されている。
また、23日にはLiNKX <584A> [東証G]が上場する。同社は金融分野を中心とした基幹システムなどのモダナイゼーション事業を展開している。資金吸収額は約12億円、時価総額は50億円前後の見通しだ。30日にはネイス <589A> [東証G]が新規上場する。同社は子ども向け体操教室の運営や児童発達支援・放課後等デイサービス施設の運営を行っている。資金吸収額は17億円前後、時価総額は50億円前後の見通しだ。
■6月IPO一覧
上場日 コード・上場市場 企業名 主幹事
6月16日 581A・東G GO 野村
23日 584A・東G LiNKX 野村
30日 589A・東G ネイス 岡三
(注)東Gは東証グロース
株探ニュース