笹木和弘氏【止まらない日経平均、AI人気で上値追いどこまで】(2) <相場観特集>
―早くも一時6万7000円台、このまま7万円に突き進むのか―
週明け1日の東京株式市場は日経平均株価が上値追い態勢を強め、一時6万7000円台に乗せ最高値街道をまい進している。前週末の米国株市場でNYダウをはじめ主要株価3指数が揃って最高値を更新しており、その流れを引き継ぎリスク選好ムードに陰りが見られない。ただ、 AI・ 半導体関連株に物色人気が集中しており、全体を見渡すと値下がり銘柄数の方が多く、その意味では局地的な超強気相場といえる。ここからの相場展望や物色の方向性について、今回は第一ライフ資産運用経済研究所(第一生命経済研究所から社名変更)の桂畑誠治氏、フィリップ証券の笹木和弘氏にそれぞれ話を聞いた。
●「AI株物色は加速も、需給の良好さが相場押し上げ」
笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)
AI・半導体関連を中心とする上昇基調が続いているが、この状況は当面続くとみられ、更に加速する可能性もあると思う。まず、6月は1年のうちでも一番需給の良い月だと言える。10兆円超の配当金の大半が6月に支払われると見込まれており、再投資に向けた動きなどが期待されるほか、下旬以降に夏のボーナスも支給される。
また、今月は米国では「史上最大のIPO」となるスペースX<SPCX>が登場する予定だ。宇宙ベンチャー企業である同社は、衛星通信網の「スターリンク」やAIの「xAI」などを擁しており、AI関連企業としての色彩も濃い。特に、同社は「ナスダック100」などの指数に、早期に組み入れられる見通しであり、機関投資家やETFなど指数連動資金などが買わざるを得ない状況が予想される。スペースXの上場はAI・半導体関連株の物色に弾みをつける可能性がある。ただ、スペースXのような巨大IPO企業を買うためには、売却される銘柄も出てくることになり、一部のソフトウェア関連株や消費関連株などには軟調な銘柄が続出することも予想される。
こうしたなか、6月相場の日経平均株価は6万5000~7万円を中心とするレンジを見込んでいる。上昇基調の継続が予想されるが、指数が高値圏で一服してもAI関連株の物色は見落とされている銘柄へと横に広がる展開が予想される。
例えば、NTT <9432> [東証P]は、データセンター運営では中国を除いて世界3位のシェアを誇っており、株価面では再評価余地があると思う。また、ソニーグループ <6758> [東証P]は台湾の台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>との提携で合弁会社設立を発表した。半導体に絡む画像センサーの開発・生産を進めることが目的とされており、ソニーGは半導体関連としても再評価できそうだ。また、米投資会社バークシャーハサウェイ<BRK.B>のデルタ・エア・ラインズ<DAL>買いにならい、先行きの原油価格下落を視野に入れれば日本航空 <9201> [東証P]も面白そうだ。今後、賃料引き上げの動きが予想されるJ―REITはインフレヘッジ資産としての本領発揮の余地が残されており、その中でもホテル中心に投資し、高い予想分配金利回りに加えて優待もあるインヴィンシブル投資法人 <8963> [東証R]などに妙味がありそうだ。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(ささき・かずひろ)
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家の傍ら投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・香港・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。
株探ニュース