桂畑誠治氏【どこまで続く超強気相場、日経平均の上値診断】(1) <相場観特集>

特集
2018年1月9日 18時30分

―利益確定売り圧力を吸収、大相場の匂い漂う日本株―

東京株式市場は年が明けてからも強力な上昇波を形成している。大発会に日経平均株価は741円高の急騰をみせたが、その後は利益確定売りも観測されるなか、買い向かう動きがそれ以上に強い典型的なブル相場が繰り広げられている。市場第一線で活躍する業界関係者の目に今の相場はどう映っているのか。そして今後の見通しは。また、リスクオン相場の鍵を握る為替相場の動向についても専門家に意見を求めた。

●「米国株主導で日経平均2万6000円を目指す」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

米国株市場を中心に年前半は世界的に強気相場が継続し、東京市場もその流れに乗り上値を指向する展開が見込めそうだ。米国市場ではこれまでの35%を21%に引き下げる法人税減税や所得税率の低減など税制改革が、企業業績や実体経済に好影響をもたらし、これを背景に年前半は上昇しやすい相場環境が続くとみられる。また、米国ではレパトリエーションを底流とした企業の配当の増加が投資家のリスク選好を促し、上げ相場を後押しする形が想定される。中間選挙を控えて金融分野をはじめとした規制緩和の動きも株高に貢献しそうだ。

こうした好環境が東京市場にも恩恵を与える。米国を中心とした良好な世界経済が日本企業にとって輸出の増加をもたらし、収益拡大を助長する格好となる。日銀の金融緩和姿勢も基本的には変化がない。日銀の次期総裁人事では4月に任期満了を迎える黒田総裁の再選が有力視されるが、仮に黒田総裁以外の人物が選出されても、現状の緩和路線から軌道を外れる公算は小さい。1~3月に次期総裁人事に絡み、全体相場は警戒感の台頭から不安定な動きに転じるケースも考えられるが、それは一時的なものにとどまり、結果的に買い場を提供することになろう。

米国経済の上振れを拠りどころとした世界景気の拡大期待から日経平均は年前半に2万6000円を目指す展開を予想している。業種別には輸出株が牽引する形で半導体関連などへの見直し買いが見込まれる。内需株では安倍政権の打ち出す政策や東京五輪などに絡む需要喚起で建設セクターなどを注目している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)

第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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